なら学びの会

学び・なら総合研究所
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10.25天理市訪問 ②

2018-11-24 23:47:15 | 日記
10.25天理市立櫟本小学校
「学びづくり」の自主公開研究会
 今年で3年目の訪問になりました。今年の春に訪問した時より学校の雰囲気が何となく落ちつている様にも感じました。廊下や教室で出会う子どもたちは、すかさず「こんにちは」とあいさつを交わしてくれました。教室もすべて「コの字」に揃えられていました。そして、「インクルーシブ教育」を実践されており、すべての先生が、すべての子どもの支援にあたっているという理念がいきわたっている雰囲気がありました。各クラスには、複数の先生が授業の補助や、子ども同士をつないだり、廊下でクールダウンにつき合ったりとその姿勢や視線ひとつ見ても低く、しっかりと子どもを引き受けておられました。
さて、到着後運動場に目をやると、1年生の学年体育でしょうか、3クラスがリレーの練習をしていました。リレーゾーンで「バトンをつなぐ」というより「スピードのつなぎ」という感覚で、前走者から逃げる(鬼ごっこ風)ことで、うまくスピードを落とさずつないでいくということを、ゲーム感覚で実に楽しそうにやっていました。これ一つとっても、先生方の意気込みが感じとれる授業でした。ただ、現場(外)での活動(クラス合同で、先生の役割を分担するなど)や説明にひと工夫(言葉だけではなく)あれば、もっとたくさん実技ができるのではとも思いました。
2年生は、国語「お手紙」教科書は2人に1冊、ペア読みを中心にすすめられていました。先生の声も低く、無駄なく子どもたちにあたっておられまし
 

た。5年生は、算数テストでしたが、その後の活動が明示してあり終わった子どもから、静かに取り組めていました。4年生は、書写と算数。1年生は、国語。座席は個別並びでしたが、意見や発表の聴き方が徹底されており、また意見のつなぎ方にも気を配っておられました。

 

2年生音楽。ピアニカでの演奏。一人演奏、交互演奏、合奏、などちょうど国語の読みを連想させる組立でした。そこでテンポを上げてほしいとの声で、80から110へ。子どもたちは必死にかつ楽しそうに演奏します。仕上げは、元のテンポでの合奏。これがまた、最初一人演奏がおぼつかなかった子どもが、満面の笑みで演奏しきりました。

今日も提案授業が2本、3年生道徳「島ひきおに」と5年生算数です。最近公開授業の希望者が多くてとうれしい報告がありました。

5年生算数「分数の足し算」4年生での既習事項を利用して、異分母の足し算に挑戦。授業者としては、ジャンプ課題から導入することの反応を試してみたとのことでした。準備物は、課題の量に調整した野菜ジュースのペットボトルとワークシート。
座席は、コの字からグループ(風車形)へ。導入は、授業者の家庭事情から、2本のジュースを1本にして冷蔵庫を整理(2/3ℓと2/7ℓを合わせと、1ℓのボトルに入るか。)したい。という設定。やはり、実体物と身近な課題の登場で子どもたちの注目は一気に上昇。



グループに1枚のワークシートが配られてスタート。ここまで3分。すべてのグループが、2本のボトルの絵を物差しやフリーハンドで分割しています。

  

この状態を見て、3分後グループを解いて、ワークシートを回収して、全体の交流に。ここで、授業者のデザインを見ると、「自発的に話す子どもだけでなく、みとった姿をもとに指名する」とありました。一人が前に出てきて、2本のボトルを描いて、それぞれ分割したところまでしかできなかったと発表しました。続けて3人の発表後、小数に直す方法が出たので、女の子が、前で直しますが詰まってしまいます。すかさず同じグループから助け船がでて、ひっ算ですることに。ここで、足したら「1」に満たないので目の前で実際に移すことになりましたが、「こぼれる」からと待ったがかかり、5人目の男の子が前に出て、「2/3 ℓへ2/7 ℓから1(1/7 ℓ)を移したら3/3になって、1余るから「あふれる」。フロアから「分母が同じでないの(計算)できない」とチェックが入り、本人も納得して自席へ戻り、実際にボトルに移すことに。すると前列の男の子が出てきて、授業者のボトルの下にプリントで受け皿を出しに来ました。・・これはすばらしい・・なんという機転の利くことでしょうか。いく度も移す途中で止めながら「大丈夫か?」と子どもたちの注意を引き付けて移し見事に全部入ったので拍手が・・。ここまで、20分。
  

 そこで、全部はいったけど、これって(ボトル)何ℓ?「1ℓ」という声が。でもジュースの量は少し少なくない?という問いかけから、いよいよ本課題「2/3ℓ と2/7ℓを合わせた量は、何ℓ?」とみごとに展開していきます。2度目のグループに入ります。ワークシートが配られまたまた頭を突き合せ学びが始まりました。5分後、「ちょっといいかな」と言って、一旦止めて体ごと向けさせました。(聴かせる)そして、子どもの発言に注目させます。
     

計算式 2/3+2/7= を確認します。続けて、どのように計算するのかを考えさせます。通分で計算したグループや分割で考えるグループなど悪戦苦闘。もう一度止めて、解答を確認します。20/21という解答が出たので計算の方法を説明させて、「同じ分母にして足した。」を導き出しましたが、違う解答(異分母のまま、分子を足してしまう)も出たので、説明させてフロアからの意見も参考にしながら、分数の足し算の基本(通分が必要)を確認させました。そして、引き続き通分した時の2/3と14/21が同じかどうかを考えるように促しました。ここまで40分。


詰まっているところに支援に行きます。チャイムが鳴りますが、延々と続ける子どもたち。3分後、グループを解いてまとめに入って次時も続きをすることを告げて終了。終了後、子どもたちが授業者のところに集まって説明をし始めました。実にいい雰囲気で、学びが続いていることの証と言えるでしょう。



研究協議会も2つに分かれて開催されました。授業者の思いや参観者からの報告や発言の他に、一般参観者の方々からの意見も子どもたちの見取りから多く出てたのが印象的でした。私のほうからは、最近の教育事情と前術のように、今春から比べて格段に先生方の意欲や子どもたちが明るくなっていることなどをお話しさせていただきました。ますます充実した取り組みになっていくことを願っています。先生方、お疲れさまでした。そしてありがとうございました。


お知らせ
第17回学びの共同体研究会 1次案内 
申し込みは、間もなく発表されます。
奈良の会 12月22日(土)14時から

10.24 天理市内学校訪問①

2018-11-22 17:17:51 | 日記
晴耕雨読 今日は一番の冷え込みでした。小雨でしたので、今日は、畑はお休みにしてレポートをまとめました。日記をコピペしたので時間軸にずれがありますのでご容赦ください。

今日明日と続けて天理市内小学校に行きます。
柳本小学校、創立140年。歴史豊かな学校です。周辺には、有名な古墳群、戦時中には「飛行場」また、山の辺の道に沿い長弓寺やミカン園がありすぐ南は桜井市に隣接しています。果物というと、今旬の「柿」。中でも「刀根柿」の生まれ故郷とのこと。
さて、いつも通り、全クラスを参観させていただき、午後の提案授業にそなえます。

1年生道徳「かぼちゃのつる」2人でのお話しもちゃんとできています。
      
1年生算数 足し算 おっ指も使って   グループで答え合わせ
      
3年生道徳「ちいちゃんのかげおくり」丁寧な板書

4年生道徳「点字」発表会   カチューシャまでつけて大奮闘
      
5年生体育 高跳び

5年生理科 「地面を流れる水」外で実験 自作模型実験!


提案授業
5年生 算数「分数」魔法陣を使った分数のジャンプの課題に挑戦
まず、魔法陣の説明と練習課題から、規則を見つけ出させたいところ。10分ぐらい過ぎたところで、ペースが遅かったので、先生が説明しちゃいました。
規則を全体で確認した後、ペアに1枚のワークシートが配られて、グループになって始まりました。
  

先生方も挑戦中 


 およそ8分、集中して取り組んだ後、先生から「実は、もうできた班があります。」といって、「何故、わかった?」と説明させます。わかった理由を重ねて訊きます。「前(魔法陣の例題)を見て」と答えました。すかさず、「なんで、そうなるのか教えて」と続けます。前で、説明を続けます。

 

フロアに、質問がないか尋ねます。通分するポイントがつかめていないペアやグループもあって、そのまま悪戦苦闘を続けます。

  

終了近くになって、「最大のヒントは、(どこの列を)足したら全て同じ数になる」ことです。「また、考えておいてください」で終了となりましたが。あいさつの後も子どもたちが頭を突き合わせてしばらく取組んでいる姿が大変印象に残りました。



 この後の研究協議会では、子どもたちの学びの様子の交流を中心に進められ、発言された先生方が、子どもの名前とともに、非常に細かく見取っておられました。最後に、私のほうから、最近の教育事情や「授業づくりは学校づくり」と題してスライドを用いて「どこをどう変えるのか」についてお話しさせていただきました。


 
柳本小学校の校長先生は若いころ奈良市内で活躍もされた、旧知の先生だったので大変懐かしく思いました。また、提案授業をされた先生は今年の転勤で、奈良市内定期訪問校から来られた先生でしたので、何か「縁」めいたものを感じた研究会でした。先生方お疲れさまでした。帰りに、学校菜園で採れたお野菜をお土産にいただきありがとうございました。


11.16 桜井南小学校に行ってきました

2018-11-19 12:21:46 | 日記
晴耕雨読

自主公開研究会に参加してきました。





 午後1時からの公開授業に合わせて参加してきました。南小学校は、談山神社に向かう道路の近くにありました。初めての自主公開授業ということでしたが、実に落ち着いた雰囲気の中で子どもたちが学んでいました。校舎・教室にさすが「木材のまち」らしく木材がふんだんに使われていました。特に、机には大いに興味を惹かれました。
 さて、公開授業ですが、11クラスが公開されていました。6年生の道徳「カーテンの向こう」ヤコブの病室の場面を描いた絵を提示して、読み進めながらグループでの話し合いなどを通して子どもたちの気持ちの変化に気づかせていく流れ。黒板のカーテンの仕掛けが子どもたちの興味をさらに引き付けていました。
 5年生では、ちょうど提案授業の単元でした。少し時間をかけて参観させていただきました。「図形の面積」課題は「ひし形の面積の求め方を考え、公式をつくってみよう」です。班に1枚のワークシートが配られていて、意見交換のあと発表する流れ。ひし形の頂点を結んで長方形をつくり、ひし形の周辺の三角形を使って解答するパターン。多くの班が、式だけを表示して発表する中、発表内容を文章で記していた班があったのでレベルの高さに感心しました。また、フロアからの「なんで、1/2にするのがわからん」という質問に一生懸命応えている姿がほほえましくも思えました。



 
さて、提案授業はT・T体制。2年生国語「一人ぼっちのライオン」(7/9)から課題「「そのばん」のライオンについて」・・公開授業の時間をつかって、子どもたちに十分に読ませたとのこと。・・ペアに1冊のコピーをしたテキスト。課題のページを開かせて、カラーの挿絵を提示しながら、ライオンの居場所や情景をペアで話し合わせてスタート。ペアで話し合うよう細かく質問を繰り返しながらこども達の反応も良く進んでいきました。ちょうど私の前の男の子が女の子とじゃれ合っていましたが、10分過ぎあたりから、気がそがれたのか、ペア活動もやらなくなってきました。T2やご自身でも数回促しに来れましたが応じることなく過ぎていきました。終了15分前から、課題に関するところの読みもはじまりテキストへの戻しも着実におこなわれていました。そこで、先ほどの子どもに指名をしたのちは、ペアでの活動をやり始めました。また、先生の子ども達に寄り添う姿勢や立ち位置も工夫されていて、「聴く」こと力を入れておられるのがよくわかりました。

   

研究協議会
 授業者から、「学び合い」をはじめてから子どもたちが、すぐ教師を頼ることが少なくなったことや、「一人ぼっちのライオン」を好きだと言ってくる子どもがおおくいる。意見のつながりは、普段ならもっと活発なのだが、今日は公開授業が初めてでもあり緊張していたかな。という感想などを話されました。その後、フロアも含めてグループで意見交換して、全体で交流しました。
小畑先生のお話し
 ①「聴く」≠「反応を要求すること」
  聴くことは、受けとめることで、しゃべらせることではない。
 ②対話的学び≠話し合い 
  より聴くこと。手をあげる子どもらで授業が進めてはいけない。
 ③ペア読みの効果
  読み通しが難しい子、一人で読ませると雑な子らが先の子の読みをよく聞いて読むようになる。
 ④「文章」は読まないと意味がない。
国語としては、読み・音読を中心に据えて、話し合いを入れるパターン。

授業から
 ①3匹それぞれの友達になろうとする違いを読み取らせる。特に「鹿」の時。テキストのどの部分からそう思ったのかを大切にする。
その他
 ①作者と挿絵との関係は、同一人物の場合作者の思いが描かれている。お手紙やスイミーなど。違う場合は、挿絵を描いた人の感情が入るので気を付けたい。




第1回目ということでしたが、かなり多くの参観者がおられて、関心の高さがうかがわれる研究会でした。また、最近の研究会では、「道徳」の授業公開が多くみられるようになりました。今回11本の公開授業のうち、実に9本ありました。全国的な関心ごとのようです。私どもも、先生方に混乱を招かないよう、腰を据えて教材研究しないといけないと強く感じた研究会でした。先生方お疲れさまでした。
  

11.7 10年目の挑戦はじまる

2018-11-14 21:16:31 | 日記
学校訪問が混んでくると、レポートもついつい後回しになって記憶が薄れてしまいます。

10年目の挑戦
 「大阿蘇」(学び合う教室・育ち合う学校 佐藤 学先生 小学館)、10月佐藤 暁先生以来、3年ぶりの訪問となりました。退職後、4名の校長先生方に受け継がれてきたであろう「協同的な学習」「学び合う学び」。幸いにも立ち上げ当時のメンバーが校長として着任し改めて一歩を踏み出そうという折に、お声がかかり訪問してきました。
 
小中一貫教育を基本方針とする動きとして、4限目5限目と6限目提案授業の授業公開が組まれていました。校区の先生方をはじめ市人権研究会、地域のボランティアの皆さんに、熱心に参観していただきました。ただ、研究協議会で参加者を含めた交流会が設定時間の都合で持てなかったのは残念でしたが、久しぶりの公開授業でご苦労が多くあったのではないかと思われます。


   
 さて、公開授業の予定時刻より早く着いたので、3年生から順次見て回りました。以前とは違ってすべてのクラスがコの字型座席で学習していました。どのクラスも、たいへん静かで先生の声がはっきり聞こえるほどでした。4限目の公開授業では、2年生体育実技(バドミントン)ここ数年来男女共修を踏襲されています。体育委員のリードのもと、準備体操からスムースに流れていきます。次は、2,3年生の国語「徒然草」と「作られた物語をこえて」ワークシートを使って進められていました。教科書には多くの書き込みも見られいずれも熱心に先生の話を聴いて、ノートをしっかりとる姿が多くありました。次に、1年生の数学「点の座標と三角形の面積」と「反比例のグラフ」少人数制ですすめられていて、年度途中で担当教師が入れ変わるシステムとのことでした。自然とペアで考え合える雰囲気ができていました。同じく、1年生の英語「3単元のS」グループで紹介をし合う活動で詰まった生徒へフォローも忘れず、和やかな雰囲気で流れていました。

   

 給食(市ではすべての中学校で自校給食が始まりました)の後、3年生数学は図形の相似、グループを入れながらスムースに展開。社会は、模擬裁判。かなりハイレベルな内容にチャレンジしていました。将来陪審員に選出されることもあるでしょうし重要な設定でした。2年生は、音楽「歌舞伎」、美術「生活に役立つプレート」づくり。伝統芸能をテーマにした授業で、単なる鑑賞だけでなく歴史や演目、役者のしぐさ、衣装・舞台の仕組みなどビデオを使った授業は多くの生徒を引き付けていました。プレートづくりは、完成の域にきていて、完成品の工夫を交流したり、作業中の作品に助言をしたりとグループで和やかにすすんでいました。
 


いよいよ、提案授業。2年生理科「銅と酸素が結びつくときの質量の関係」(ブルーストの法則)再任用4年目の先生が担当です。率先垂範の手本、頭が下がります。ワークシートを使った授業。課題解決のための手順をグループで考えさせてから、演習に入るパターン。グループで1枚のカードが配布されたのちに全体交流。ここでは、カードを誰が支配しているかに注目してみました。8班編成のうち実に6班が女子の手元にありました。しかし、全体交流で発表(3班分後ろのホワイトボードに書く)となると、3班とも男子が出てきて発表しました。この辺りは、どうなんでしょう。この学校の風潮なのでしょうか。(のちの研究会では、女子があまり前向きでない、元気がないとの話もありましたが・・)
 この発表時に、先生がしきりとグラフを書くときの注意として、数学と「理科」との違いただ点を結ぶ場合に、この点は「測定点」だということや、幅が生じることなどの「理科」的事項の確認を再三されていたことが大変印象に残りました。この辺りは、さすがとかいいようのないところで大いに参考にしてもらうよう研究協議会で申し添えておきました。
 その後の研究協議会は、校内の先生方だけにはなりましたが、「10年目の挑戦」と名づけて、20年後の社会を生き抜ける生徒を育てるために、教師の一方的な思考・理解を受け取るだけの授業から、「協同的学習」「学び合う学び」を実践して生徒自らが、相互依存・相乗効果をもたらす授業の創造をめざしてもらうようお願いしました。

 よね言
① 10年も経つと、「学び合い」の効果(不登校や問題行動の激減・男女間の仲よささ、学習領域の向上など)を経験した先生がいなくなったダメージは大きいですが、人事異動は避けられないこと。何年間続けても、積み上げはなく毎年一からスタート頑張り過ぎずに続けましょう。
② 校長先生、先生方に研修旅費を、「百聞は一見にしかず」。
③ 研究授業中、生徒が考えあぐねていたら「つい支援してあげたい」という「先生」らしい気持ちはわかりますが、「隣に訊いてごらん」と「生徒同士につないであげましょう」。
④ 生徒も先生も誰一人、「ひとりにしない」。教員の学び合いを通して教員の同僚性を高めましょう。いいアイデアが生まれるかも。校内ランを使って、ジャンプ課題をストックしましょう。

全国的に、管理職のなり手が少ない様に報道されています。何もしないで責任を負わせられるより、自ら「生徒の楽園」をつくってみませんか。「世界の○○中」のように。


自主公開授業のご案内
明後日、16日(金)櫻井南小学校年生国語(一人ぼっちのライオン)5年生算数 平行四辺形の面積 詳細前号参照