なら学びの会

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12.6本年最終定期訪問

2018-12-13 20:57:39 | 日記
次第に寒さも厳しさを増してきました。
皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、今回も最終の訪問記となりました。いつになく長編となりましたが、根気よくご覧ください。

今日は、大阪から府立高校の先生も参観にお見えでしたので、午前中ご一緒することになりました。「学校として学び合いを始めて8年、今年管理職が変わって、やりたい人はどうぞと方向転換。かなり厳しい状態になってきたが、先輩から「学び合いは、小学校に学べ」ということで参観に来させてもらった。」ということでした。生むも難し、継続も難し、なんとも厄介な学び合いかな。たとえそうであっても、続ける限り、学校は崩れない。(どこかで、耳にしたような!)
さて、
1時間目 1年生国語 「おとうとねずみ チロ」10/15 
男女ペア3列。
目標 チロの好きなところをカードに書き、友達と伝え合うことができる。
授業者の思い 2学期から国語では音読を中心に据えた取り組みをしている。

めあての説明からスタート。(音読の目標を持たせたい)
第1場面の音読 男女ペアの3列なので、列ごとにチロ、ナレーション、その他の役に分かれて読ませます。続いて、第二・第三の場面を今度は、ペアで2回。終われば男子が移動して読みます、引き続いて今度は、女子が移動して読みます。(ここまで、27分)この後、自席に戻らせてチロの気持ちが表れている言葉に着目させるために読み直しをさせながら書き込みをさせます。(ここまで、31分)

    
一通り終えたところで、自分の好きなところを紹介するためのワークシートを配って記入させます。かなりしっかり書けていました。ワークシートを回収して、次回にワークシートを使って交流すると伝えて終了。
 趣向を変えた音読にかなりの工夫が見られた授業でした。また、支援を要する子どもさんへの先生なり、子どもさんたちの取り組みが功を奏して実ににこやかに過ごせていた授業でもありました。


   

2時間目は、中学3年生 社会科 「私たちの暮らしと経済」1/11
男女ペアの3列からグループへ
目標 シュミレーションを通して学習への意欲を高め、経済に興味・関心を持つ。
課題 経営者と消費者の立場から、多面的・多角的に考察する。
   (ある町の地図にコンビニを開店するとして、その立地条件を考える)
授業者の思い 
   経営者の視点から消費者の消費行動について考えることで、自分の生活と経済を結び付けて欲しい。

まず、黒板に2種類の数字だけを書き上げて、何の数値かを問う課題から。
51,814と9,730,900,000,000 (2014年全国のコンビニ店の数と売上高)6分ほどで、7/11との解答が出たので、生徒たちのコンビニとのかかわりを聞きながら、先生のほうから解説。(ここまで、8分)
学習の流れ(テーマ)を板書。(コンビニ店の経営者になろう)教科書を使って考えさせます。まず、個人で考えさせたのち、グループに1枚ワークシート(位置・店舗の名前や選んだ理由などを記入)が配られ交流。そしてグループで意見が固まったら、店長以外は他の店舗に出張して意見交流(店長の出張者へのプレゼンが主)を2回繰り返したのち、自分の店舗に戻り再検討をして全体交流となる流れ。(ここまで、17分)

     

生活班での交流へ。(学習班になると、多くなりすぎるのでとのこと)にこやかに話し合いが続きます。(ここまで、27分)
ほぼまとまったようなので、1回目の出張が始まり、店長のプレゼンで盛り上がります。引き続き2回目の出張。ここで気がつくのが、1グループを除き男女別になっていることです。(ワールドカフェ式は指示をしない限りこのようなケースが目立ちます。)(ここまで32分)元に戻して、最終確認をして、全体交流に入ります。ワークシートを黒板に張り出し順次先生が読み上げたのち、次の課題を出します。「それぞれの店舗で、一押しの商品を考える」引き続き話し合いが始まり、立地に応じた商品が次々に出し合いながら盛り上がります。(ここまで、46分)再び、ワークシートが張り出され、今度は各グループからの発表になります。店長さんは、身振り手振りを交えながら発表します。(発表者が先生を向いているのが気になります。)

     

そしてやや延長になり終了となりましたが、あいさつ直後女子の声で、「ああ、楽しかった。」と。いいですねー!こんな声毎回聞きたい。導入と言い、展開と言い申し分のない授業でした。ただ、グループの座席を少し考えていただくと「話しづらさ」がなくなるのではないでしょうか。


 

3時間目は、5年生 算数 「三角形の大きさ」 履修後のジャンプ課題に挑戦
座席 コの字からグループへ
目標 三角形の角の計算方法を使って、複雑な図形の角度を求める。
授業者の思い 三角形の角度の計算方法を使って、ジャンプの課題を解く。この単元の知識だけでなく、既習事項を使って、児童が知識を出し合いながら課題解決していけるようにしたい。



まず、全員で教科書を読んで、三角形の角度の求め方を確認したのちグループに分かれ、A3サイズで半分(A4)それぞれに課題が印刷されたワークシートをグループの代表にとりにこさせます。この時、男子のひとりが「メッチャ!面白そう!!」とつぶやきながら戻りました。(このつぶやきが、先生の取組を象徴していると思いました。)



この後、それぞれのグループで「学び合い」が始まります。(ここまで、5分)
このあとしばらくして、急な所用で先生は不在になりましたが、子どもたちは気にすることなく延々と取り組みます。そこで、分度器が登場(う~ん!でも、角度をずらせてあるので解答は出ないとのこと。やるね!)どういうわけか、前後で取り組んでいるペアも。およそ10分経過しましたが、解答に至らず苦戦中。

     

そこで、タブレットを使って、わかっているところまでを説明させます。(足掛け課題)これで、一気に進むグループも出てきました。そろばんで暗算する子も登場。16分後ついに、BDに対角線の補助線を引いて考えるグループが出てきました。20分後もう一度別のグループの考えを説明させます。そして、30分後ついに、先ほどの対角線グループが「わかった」ということで説明させます。子ども達も全員集中して解説に耳を傾けます。続いて、別のグループが登場します。対角線を使わない方法でやったところは?と続けますが、先ほどの解答に異論が出ます。(実は、途中で計算違い)先生が検算をして正解を発表。思わず喜ぶ子どもたち。最後に、別のグループが改めて、タブレットを用いて説明します。時間が6分程度伸びましたが終了。


     
 対角線を使う解答は、予測はしていなかったそうで子どもたちの取り組みを大いに褒めておられました。概ね、45分間この課題に挑戦し続けられたことになります。課題の持つ役割を再認識させていただいた授業でした。

4時間目は特別支援学級 2年生 国語 「かさこじぞう」4/16
男女2人
目標 第三場面の動作化を通して内容を理解しよう。
共有の課題 じいさまは、どんな気持ちで売り物のかさを地蔵様にかぶせたのだろう。
授業者の思い 初めて意味を知る昔の言葉も多いので、丁寧に意味を伝えて読み進めたい。二人の特色を生かせる意味で、読み進めながら、動作化をして物語のイメージがわくようにお互い伝え合えることを期待したい。

あいさつの後、学習の流れをホワイトボードで確認します。

 

第一場面から第三場面までを交互に読ませますが、女の子のところは先生が代読。女の子は指追い黙読をします。一通り読んだ後クイズ形式で、「1/1」「12/31」「つらら」「ふぶき」「年こし」「かさこ」に番号をつけて、くじ引き風に当たった番号の言葉を説明(ホワイトボードに書く。)させます。難しいところは、先生と一緒に考えます。(ここまで、18分)



いよいよ、寸劇仕立ての動作化に入ります。第三場面から4つのシーンを選びそれぞれじいさまがどんな気持ちだったかをワークシートに書かせるのに、じいさまとお地蔵様に扮した劇に入ります。まず、男の子がお地蔵様を、女の子がじいさまを演じることになりました。先生のナレーションにあわせて、それぞれ思い思いの動作をつ けて演じます。次は交代して演じます。男の子は、場面場面を声に出しながら演じます。(ここまで、30分)終わったところで、ワークシートにまとめさせます。10分ほどで書けたようなのでペアで交流します。女の子のところは先生が代読して、本人はその個所を指でなぞってお互い交流したところで終了です。


     

男の子があまり自席に長く座ることが難しいところを、クイズ形式や寸劇を取り入れて集中が途切れることなく取り組めた授業でした。また、何かと世話をやく男の子のけなげな様子も見て取れたほほえましい授業でもありました。クイズの場面では、写真や実体物、身近な物事を準備して進める方法もありかなと思いました。

5時間目は中学1年生 家庭科(共修)「住みたい住み方と間取り」8/10
座席 男女ペア3列からグループへ
目標 住み方から間取りを考える
授業者の思い 生活に関する関心が高く、発言も多い。発言を大事にしながら課題を深めたい。ワークシートを使った課題をグループで取り組むことで、発言の少ない生徒にもその機会を与えながら進めたい。

学習の流れの確認 黒板に授業の流れを書き上げている。


      

前時の復習(ワークシートの中身の確認)
15分後からグループに分かれてワークシートの課題に取り組みます。各自選んできた広告の間取りの部屋をどのように使うかで、家具の配置や調度品を書き入れていく作業。概ねできてきたので、グループ内での交流を勧めます。(ここまで、35分)かなり長時間でしたが、熱心に取り組めていました。交流の後、変更するところに書き加えをさせます。(ここまで、45分)今日のまとめに入ります。グループを解いて次時の予告をして終了。

この授業では、ややなじめない女生徒へのかかわりとグループへのつなぎが大いに勉強になりました。以下のように、先生の声掛けのあと、自ら声をかけてなじんでいき、笑顔も見える展開となりました。1時間中にこの生徒への声がけは4回ありました。あとで、お聞きすると長く特別支援学級を担当していらしたそうで、今回のような「困り感」を持つ生徒への対応がうなずける大変意義のある授業でした。ただ、カリキュラム編成で授業時数が激減し余裕のない授業構成(次時が2週間跳ぶこともあって、教材の精選を余儀なくされる等)をしなければならないのでかなり厳しいというお声も聴かせていただきました。

    

今日は、1時間目から多くの成果を見せていただくことができました。年内最後でもあり、気持ちよく帰路に就くことができました。先生方お疲れさまでした。では、また来年よろしくお願いします。

1月早々16日(水曜日)小畑公志郎先生をお迎えしての、研究会となります。

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