シリーズモノの話題作を2本観て来た。
「踊る大走査線3」と「トイストーリー3」である。
くしくも、両者共にシリーズ3作目に当たる。
それぞれ全く趣向の違う映画なので単純比較なんて出来っこないが、私の基準である映画にどれだけ感情移入してハマって見れるかという尺度で計ると、優劣はハッキリする。
「トイストーリー3」の大勝利だ。
エンターテーメントとは何かを知り尽くしてる出来に大満足。
最初っから最後まで主人公達の目線で観てしまい、映画が間延びすることなどなく、時間を感じさせなかった。
脚本なのか、演出なのか、観る者をグイグイとスクリーンに引きつける魅力があった。
いかにも、アメリカ映画、ディズニー映画らしくて、子供も大人も楽しめる。
一方、踊る大走査線の方は、なんだか焦点がボヤケ過ぎて、最後まで盛り上がることなく、見終わってしまった。
7年のブランクがあり過ぎたのか、テレビシリーズや前作の設定やイメージを引きずりすぎてしまったのか、主人公ががんじがらめになってしまって、動くに動けないそんな印象だった。
過去の出演者達の懐かしい面々を同窓会気分で見るのはいいけど、肝心の事件解決への中心的部分に熱いドラマがなく、骨太く描かれてない。
確かに警察のお役所っぽい所を面白おかしく描いたのが新しい視点として、注目されたテレビドラマであったわけで、でもそんな中で、青島刑事がその枠をはみ出して活躍するところが面白かったのに、今回は活躍しきれてない印象が強い。
係長になっても青島は青島であるはずなのに、現実的すぎたのかな。
室井も偉くなりすぎて、青島との距離が離れてしまった。
あまりにも現実的すぎる設定が面白みに欠けたのかな。
まぁ、要するにジーンと感動するような、ドラマを描ききれてなかったと思うし、観る者をそこまで引きこむレベルには、いってないと思った。
不思議とそんな時は、設定や配役なんかに不満が出てしまうもんなんだね。
本当に面白い映画のときは、強引で、あり得ない設定でも、何の抵抗もなく入っていけるのにねぇ。
とはいえ、織田裕二と柳葉敏郎が不仲な為に、そういう設定になったのではと、想像できたりするし、このシリーズをずっと見てきた者には、とにかく彼らが帰ってきたというのが、ホントに嬉しく感激するのも事実。
「トイストーリー3」はそれ単体での完成度が高く、前作なんて見てなくても全く関係ないほどのレベルであったのに対し、「踊る大走査線3」はあくまでシリーズ最新作であって、初めてこれだけを観たのなら、評価はかなり下がるのではないか。
今まで全部見た来たファンに贈る為の映画だといっても過言じゃない気がする。
シリーズモノのコンセプトや出来の対比が面白かった両作品だった。