tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

食べていて思い出したこと

2005年03月21日 23時58分50秒 | Weblog
家にいてると、ふつうに食べていても腹が減ってくる時がある。今日は珍しくホットケーキを焼いて食べた。腹が減っているということもあるが、ホットケーキがこれほどおいしかったとは思ってみなかった。

休日、外にいる時はほとんど食べない。時間がもったいないと考えるのと、一人でいることが多いからだ。真夏にペットボトルを買って飲みだしたのも、90年代の終わりくらいからである。それまではほぼ一日飲まず食わずの状態にあることもあった。大学院のころ、缶コーヒーを買って飲む先輩や同期の友人がいた。もっとも、同期の友人は40をすぎたくらいで、健康診断では、尿酸値が高いと指摘を受けているらしい。私も夏場になるとペットボトルを買って飲むことも多くなったが、大部分がお茶かミネラルウォーターである。炭酸系や紅茶、コーヒーのたぐいは稀に缶で買うくらいだ。去年は、サントリーのウーロン茶をよく買って飲んだ。とりわけ好きという訳ではない。i-Podが当たるキャンペーンをやっていたからだ。結局当たらなかったが。

おいしいものをおいしいと感じること・・・・そう感じて思い出したことがある。

1990年代の前半、私は大学入試のために予備校に通っていた。バブルがはじけたころである。あの頃の予備校はどこもすごい大盛況だった。何のことはない。人が多くて二人に一人は浪人する時代だったからだ。私の通っていた予備校であるとき、ひげをのばし、まるで仙人のような物理の先生を見たことがある。友人の一人が「あの人がそうだよ」と教えてくれた。
私は一言「すごいなあ」といったことを覚えている。単純に尊敬の意味から発した言葉である。

その人物のことを、同僚の先生はこう表現していた。
「あいつも変な奴でね。飲まず食わずで研究するんだ。あるとき、それじゃ体が持たんだろうと聞いたら、俺は丸薬一個で生きながらえたらそれでいいんだって言うんだ。おいしいものを食べれたらそれがいいのにね。薬で腹が満たせたらいいと言うんだ。昔はそんなふうな奴だった。最近でこそ変わってきたけどね。」

今日、ホットケーキを食べていて、何となく思い出した言葉だ。

それから彼の名前をテレビで見たのは1996年くらいだったと思う。大学紛争時、彼は全学のリーダーであった。紛争が終結した後、当時のことで何度か報道関係の取材の要請を受けていたが、すべて断って静かな生活をしていた。当然、テレビには出演していない。その直後、大学紛争時のいわゆる「ビラ」をまとめて、国立国会図書館へ寄贈したという。これは現在でも紛争当時の1次資料として、重要な意味を持っている。

そして二年くらい前だったと思うが、再び彼の名を新聞に見つけることが出来た。

大佛次郎文壇賞受賞者発表: 山本義孝 『磁力と重力の発見』 みすず書房

山本は、ノーベル賞を得られる人物として将来を嘱望されていたが、東大紛争時、全学連の議長となった。それは学者世界へ戻れないことを意味していた。その後大学を退学し、予備校の教師となっていた。だが研究を続け、その成果が本になったことをそのとき知った。私が見た時代の証言者の一人である。

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