イバラノツルヒコの華麗なる生活

ボンソワール、今夜も僕と素敵な話をしよう

手を振ること

2005-08-31 22:26:48 | Weblog


この前電車に乗っていたときのこと。窓からなんとなく外を眺めていたら、男の人が手を振っているのが見えた。へえ、いまどき電車に手を振るなんて、なんだかすごく素直な人かロマンチストかなあ、と思ってよくみたら、その人は小さい、まだ赤ちゃんくらいの子供と手をつないでいた。

そうか、子供に「あれが電車だよ」なんて言いながら、手を振っているんだな。
そう思ったら急に納得がいったんだけれど。

考えてみると、僕自身も最近すっかり遠くに向かって手を振るなんていうことをしなくなった気がする。友達がいたりすれば話は別だけど、それでも例えば姿が見えなくなってもいつまでも手を振ったり、ということはほとんどしていない。どうせみえないから、というのもあるし、周りに妙に思われる、っていう気持ちもあるんだと思う。

それで思い出したんだけれど、以前久しく会っていない友人からメールが来て、彼が見た印象的な光景、というのが書いてあった。バス停で、子供が友達を見送っていて、どうも相手の子供は目の見えない子で、やってきたバスに乗り込んだんだけど、見送った子供はバスにむかってずっと手を振っていたんだって。それで、僕の友人は、目の見えない友達にも手を振る子供の気持ちってすごい、って書いていたんだけど。僕はその光景に気づいて、感激している友人もすごいなあと思いながらそのメールを読んだんだっけ。

たまには電車かなにかにむかって、無心に手を振ってみるのもいいかもしれないね。


終わりとはじまり

2005-08-30 21:03:41 | Weblog


買い物帰りに河原を歩いていたら、風の中にもう秋の気配が混ざっていたよ。まだそんなに涼しくないし、これくらいの風なら真夏にも吹いたことがあるかもしれないのに、ハッキリと「ああ、これはもう秋の風だなあ」って感じるのは不思議なものだね。

僕は一年の内で一番秋が好きだし、もうすぐいい季節が来るんだと思うと嬉しいはずだけど、「もう夏も終わりなんだな」と思ったらなんだか妙に感傷的な気分になってしまった。

よく、目の前にあるものを見て「これしかない」と思う人と「こんなにある」って思う人がいて、前者を悲観的、後者を楽天的なんていうふうに分けたりするけど、「秋がきて嬉しいなあ」じゃなくて「夏が終わっちゃうなあ」と感じる僕は悲観的ってことになるんだろうか。

でも、過ぎ去っていく夏を思い返しながら、なんとなく切ない気持ちになるのもそんなに悪いものじゃないと思わない?たとえ来年また夏がきても、同じ夏は二度と来ないんだから、この夏のことをちゃんと思い出して、見送ってあげるひとときがあってもいいんじゃないかって思うんだ。

秀虎も帰還

2005-08-29 23:20:09 | Weblog


図書館のバイトが終わって、食事でもして帰ろうと思ったら、後ろのほうからなんだか僕を呼ぶすごい声がきこえてきた。そうか、もう秀虎も帰ってきたんだ。いよいよ夏休みも終わりだなあ、と思ったけど、僕がいつもやめろといってる呼び方を連呼するので無視無視。

でも結局僕が食堂で食事をしてきたら奴もやってきた。ちょっと久しぶりに会う秀虎は、以前より2段階くらい日焼けして、しきりに暑い暑いとこぼしていた。今日なんかずいぶん涼しいじゃないかと思うけど、山ではもう寒いような日が結構あるんだそうだ。

いつもそうだけど、山から下りてきたての秀虎はなんとなく機嫌がいい。いつもよりはしゃべるし、何より目の前の人間を無視した行動が減るような気がする。長いこと山小屋で集団生活をしていたせいかもしれないし、山で文字通り英気を養ってきたのかもしれない。
まあ、とりあえずは事故もなく無事に帰ってきたことを素直に喜んであげようと思う。


父のお土産

2005-08-28 23:55:17 | Weblog


今日は帰りがけに雨に降られてひどい目にあっちゃった。皆は大丈夫だった?

さて、この前コメントでちょっと書いたら「面白い」と言ってもらえたので、今日はささやかな思い出話。
僕の父は昔から仕事で家を空けることが多くて、帰ってくるときも大抵深夜だし、数ヶ月もろくに顔をあわせないなんてことはしょっちゅうあった。物心ついたころからずっとそうだったし、特に寂しいと思ったこともなかったけど、父もたまには気にしたのか、僕や華子が小さいうちは時々お土産なんかを買ってきてくれたりした。そういう時の父はだいたいお酒を飲んでいて、妙に明るいんだ。

ある日、僕はもう中学生になっていたんだけど、数年ぶりに父が上機嫌でお土産を買ってきてくれたことがあった。そろそろ生意気なことを考え始めるような年頃だから、僕はあんまり嬉しそうにもしないで、でも内心はちょっとドキドキしながら何が出てくるのか待っていたんだけど、出てきたものをみて愕然とした。
だってそれはチャンバラ遊び用の刀のセットだったんだもの。
よく小さい子供が遊ぶような、プラスチックでできた、中が空洞になっているようなやつ。
うん、確かに僕もそういうのが好きだったこともある。多分、5歳ぐらいの頃かな。・・・そういえばその頃からだんだん父が忙しくなって家にいなかった気がするけど、いくらなんでも5歳の頃に好きだったものを13歳にもなって好きなはずがないじゃないか。いつまでもあの頃の僕じゃないんだよ、と思ったけれど、そこで文句をいってもしょうがないや、と考えるくらいの分別もでてきた頃だったので、ものすごくテンションは低かったけど一応ありがとうを言ってそれを受け取ったのだった。

恐らくその後母に何かを言われたに違いないのだけれど、父はいまだに思い出したようにお土産を買ってきたりする。それがまた毎回誰にとっても微妙な選択で、これは家族といる時間が長いとか短いの問題よりも、実は当人の趣味がはじめから特殊なんじゃないかと、今は思っている僕だ。


人形と花束

2005-08-27 18:36:56 | Weblog


ボンソワール、更新が遅れちゃってごめんね。気がついたらここ2ヶ月くらいはほとんど休みなく書いていたことになるので、自分でもちょっと驚いた。いつも読んでくれる皆には感謝しているよ。ありがとう。

さて、この間、ある人形作家の人の個展に行って来たんだ。そもそもこの話は華子を通じて翠先生からきたんだけど、先生の学生時代の友達の個展に、自分がいけないから代わりに花を届けてほしいって言われたんだ。翠先生とはあんまり話をしたこともないのに、なんで僕なんだろうと思うけど、多分華子があることないこと吹き込んでいるに違いない。いくら僕がそういうものが好きでも、人形はものによっては結構怖いし、あんまりかわいすぎるのも趣味じゃないんだけど。

そう思いながらも、妹の先生ではあるし、時間もないわけじゃないので、頼まれるまま花屋の代わりを勤めることにした。先生が注文していた花はまるでこれからプロポーズにいきます、っていう感じの薔薇の花束だったので電車の中ではちょっと照れくさかったけど。

人形の大きさはいろいろで、どれもきれいな顔をしているけど表情が豊かだ。衣装はほとんどクラッシックな感じで、それぞれが物語の一場面みたいな背景と一緒になっていて、本当によくできていた。作った本人もなんだか人形に似ていて(もっとも人形が作り手に似るんだろうけど)、花を渡すときにはなんだか緊張してしまった。翠先生からだというと大層喜んでくれて、学生時代の話とかを少しきかせてくれた。なんだか僕には想像がつかない感じの、若き芸術家の集いっていう感じのエピソードで、同じ学生でもずいぶん違うんだなあと思うのだった。

万華鏡

2005-08-25 19:48:39 | Weblog


また台風が近づいていて心配だけど、おかげで今日は秋みたいに涼しくなった。ああ、もう暦の上では秋なんだっけ?

こういう日は、なんとなくこまごました作業なんかもやる気になるもので、だいぶ前に買ってそのままにしていた「万華鏡キット」を作ることにした。万華鏡ばかり専門にあつかっている店があって、そこにある作品はオブジェとしても芸術品みたいにキレイなものばかりなんだ。僕はこういうものが大好きだから、端からのぞいては喜んでいたわけだけど、何しろ学生に買えるような値段じゃない。かといって、かわりに安いのを、というのも寂しい話だしと思ってたら、このキットを見つけたのだった。

つくりとしては、鏡を3枚あわせて中にパーツを入れるだけなんだけど、それだけでびっくりするくらいきれいな図柄を見ることができる。ためしにトンボ玉なんかも入れてみたけど、単品できれいなものよりもかえって小さいビーズみたいに、ひとつひとつは単純でちいさいもののほうが変化が大きくて面白いみたいだ。

それにしても、こういうものって「ただきれいなだけ」なのに、どうしてこんなに心惹かれるんだろうね。きれいなものを見ているだけですごく幸せな気持ちになったり、飽きないっていうのは考えてみたら不思議な気がする。
それとも、そういう気持ちになるものを僕らは「きれい」と認識するのかなあ。

吉岡さんに怒られる

2005-08-24 00:15:56 | Weblog


約束通り、昨日の続きを書くね。
やや不安を感じながら部室に行くと、神埼も他の3年生も来ていて、幹部ミーティングみたいな面子になっていた。合宿の反省会はしちゃったし、なんだろうなあと思っていたら、なんとこの前神埼に呼び出されていったあの「わざわざ暑いところへ電車の旅」の件だった。

なんでその話で幹部ミーティングになっちゃうのか僕は全然わからなくて困ってしまったんだけど、どうやら「この時期に」「部長と副部長が」「2年生の男子だけ連れて」行っちゃったことが甚だ宜しくない、ということらしい。ええ、ちょっと待ってよ、どっちかっていうと連れて行かれたのは僕のほうなんだけど、と思ったけど、ここで下手に口をはさむのもかえってよくない気がした。だからしおらしく吉岡さんの怒りが収まるのを待とう、と思ったのに、そこでまた神埼が「まあいいんじゃない、そこまでナーバスにならなくても」とか言い出したので一段と場の空気が冷たくなってしまったのだ。

僕はどうも「部の運営が」とか組織内の人間関係が、とかそういう話がまったく見えていないみたいだ。そういえば幹部を決めるときも、うちみたいなところじゃあまり関係ないかもしれないけど、学生によっては部活やサークルの幹部をやったかどうかが就職活動にも影響するからっていうことで、幹部になれるかどうかは結構大事な問題なんだって話をきいたりもした。神埼はなんとなくそういうのをわかっていて敢えて知らないふりをしている感じがするし、僕に至っては全く何も考えていない。大体部活内の誰と誰がどうだとか、子供じゃないんだから別に好きにさせておけばいいと思うんだけど、そんなのが部長と副部長なんだからもしかすると吉岡さんたちがいなかったらうちの部はとっくにバラバラに空中分解しちゃったりしているのかもしれない。

そんなわけで、こういう二人を前にして箸にも棒にもかからないと思ったのか、最後は「以後気をつけるように」という言葉で終わりにしてもらったんだけど、なんだか申し訳ないような、理不尽に怒られたような、そもそも僕って状況の被害者だったはずなのになんでお説教されてるんだろうとか、ちょっと切ない気持ちになったりもしたのだった。




**隠れお知らせ**
先日借りてそれっきりの「ツルヒコ絵描き部屋」ですが今晩22:00~24:00くらいまでひっそりラクガキしています。チャットだけの参加もできるので時間があったら遊びにきてみてね。(ブックマークのところにあります)



タイミング

2005-08-23 19:10:13 | Weblog


ボンソワール、寝苦しい夜が続くけど皆はちゃんと眠れてる?
僕はなかなか寝付かれなくて、夜中に何度も目覚めちゃったりしているせいか、今日はすっかり寝坊してしまった。まあ、午後のバイトに間に合えばいいわけだから、とのんびり支度をしていたら、ちょうど歯を磨いているときに電話が鳴った。

不思議なもので、電話だとか訪問者だとかいうものは、こっちが出にくいときに限ってやってくる。まあこんな時間に歯を磨いている自分が悪いわけだけど、それにしてもタイミングが悪いやと思いながら出ると、珍しいことに路上観察部の吉岡さんからだった。今日学校に来る?ときかれたので、バイトがあるから行く、と答えると、じゃあ帰りに部室に寄ってね、首をよーく洗っておいてね、と言われた。

一瞬今起きたのがばれたのかと思ったけど、そういう意味じゃないよね。なんだろう、僕なにかしたっけ。だんだん不安になってきたけど、考えてもしょうがないのでまた身支度に戻る僕だった。こんなことならもう家を出たことにして電話を無視しちゃえば、僕は携帯がないんだからこれで知らん振りできたのにな、なんて考えると、重ね重ねタイミングの悪い電話ではあった。

それで、結局吉岡さんの用事がなんだったのかというと、長くなるのでこのことは明日にでも書くよ。というわけで、続き物のようにひっぱったりしてみながら今日はこのへんでアデュー。

阪田君の帰還

2005-08-22 17:40:41 | Weblog


お盆で帰省していた阪田君が、お土産を手にやって来た。彼とは1年生からの付き合いで、仲の良い友人だけど、個人的にお土産なんかもらったことはない。これはきっと同窓会のための服選びにつきあったからなんだな、と思ったので、服の評判はどうだった?ときいてみた。すると、うん、悪く無かったよ、とは言うんだけど、それ以上はなんだかあんまり話してくれない。これは実は思ったほどの反応はなかったのかなあ、なんて思ってなんとなく責任を感じちゃったりした僕だったんだけど。

部屋に来てから2時間もたったころに、阪田君がぽそりと切り出したことには。

どうやら彼女ができたらしい。

僕は一瞬思考がとまってしまって、「…そう、それはよかったね」と甚だ間の抜けた返事をしてしまったんだけど、阪田君はその言葉に相好を崩して、ひかえめに、でも嬉しそうにいきさつを話しはじめた。
それで僕はあわてて、そういうことなら祝杯をあげながらにしようよ、といって二人でコンビニまでお酒を買いに繰り出した。本人はともかく、僕のほうは素面でのろけ話なんかきかされちゃたまったものじゃないからね。

というわけで、夏も終わりに近いっていうのに、なんだか僕のまわりだけ急に春だよ。やれやれ。

ティータイム

2005-08-21 19:34:12 | Weblog


夕べ突然、思い立ってアイスティーを作ることにした。といっても、茶葉をメッシュの袋にいれて、水を注いで冷蔵庫で一晩冷やしておくだけの簡易版だけどね。本当は袋にいれないで葉を十分開かせたほうがいいに決まってるだろうけど、あとで容器を洗うのが手間だし、注ぐにも毎回茶漉しを使うのはちょっと面倒だ。

僕が気に入っている紅茶専門店のフレーバーティーの中から、冷やしてもおいしそうなベリー系のやつを選んでつくると、水出しとはいえすごくいい香りがする。出来上がったら、お気に入りのグラスに氷を入れて、ぬかりなくCDもセットして、一杯のアイスティーをゆっくり楽しむんだよ。

ぼんやり窓の外を眺めながら、そういえば引っ越してきたときに、夏はここにウインドベルでもつるそうかと思ったことを思い出す。来年の夏にはきっとつるそう。そして、来年の夏にもこうやってお茶を楽しめる時間と気持ちが、僕にありますように。