イバラノツルヒコの華麗なる生活

ボンソワール、今夜も僕と素敵な話をしよう

気になるもの

2005-02-27 22:11:59 | Weblog

花の週末といえど、試験中の学生にそう面白いことはないから、今日はこの間の試験のことでも書くね。といっても、内容云々のことじゃないんだけど。
その試験で、たまたま僕の前の席にいたのが3年生の佐藤君だった。彼は多分、学内ではちょっとした有名人だ。というのも、彼の髪の毛が男性としては、あるいは女性にしてもかなり長いせいだ。今日び長髪くらいでは誰も驚かないところだけれど、彼のはちょっと違う。腰くらいまでのまっすぐな黒髪をいつも長い三つ編みにして後ろにたらしているんだ。
普段は遠目で見るくらいのその髪が、僕の目の前にあるわけで、試験中だというのに思わずしげしげと眺めてしまった。
こんな髪を手入れするのは大変だろうなあ、とか、この三つ編みは自分で編むんだろうなあ、とか、どうでもいいことをつらつら考える。僕の髪はたいそうなクセッ毛だから、こんなにのばしたら大変なことになるだろうななんてことまで。

もちろん試験中ずっとそんなことをしていたわけじゃないよ。
でも、流行の格好ならそれがどんなに奇妙なとりあわせでもなんとも思わないのに、そうでなくて珍しい格好のときは、なんでその人がそういうスタイルを通すのかとか、そんなことまで気になってしまうのは不思議なことだよね。

学生街の喫茶店

2005-02-25 17:23:42 | Weblog


世の大学生の大半はもう春休みだというのに、うちは試験中だ。
でも、これが終われば晴れて休みを謳歌できるんだからがんばらないとね。

今日も雪が降って、寒がりの僕は家までの道のりが
辛抱できずに、行きつけの喫茶店で一服することにした。
小さな店だけれどそれなりに歴史があって、雑誌に載ったりするような
名店ではないけれど学生たちに愛されている店だ。

メニューは少なくて、コーヒーはブレンドとアメリカンとアイスくらいしかないし、
紅茶もレモンとミルクを選べるくらい(ストレートという言葉は
この店ではあまりきかない)。
あとはココアと、なぜかホットレモネードがある。
それから年中腹ペコの学生たちのために、カレーとオムライス、
女の子たちに人気の日替わりのケーキが少し。

僕がこの店を気に入っているのは、どんなに寒い日でも
店内がすっかり暖まっていて、それから店のカウンターごしに
置かれたいろいろな飾り物を見ていると
一人でもちっとも退屈しないですむからだ。

この飾り物は、多分歴代の学生たちが置いていったものなんだろう。
明らかにどこかのお土産とおぼしきものたち、
小さな壜に入ったさくら貝とか星の砂、ミニチュアの提灯、
ドライフラワーを閉じ込めたガラスの文鎮、
山や高原の名前が入った、良く似たデザインの木製カレンダー。
陶器の人形や編みぐるみ、紙で作った小さな日本傘、
きれいな模様のついた鞠なんかもある。

僕の目の前には棚からはみだしたらしい
白鳥のかたちの小物入れと、ビー玉をつないだような
飾り物が置いてあった。

もし僕がこの店に何かを置いていって、
何十年後かにまたここを訪れることがあったら。

きっとこの棚は今以上にあふれそうになりながらも
同じ姿で僕を迎えてくれるんだろうか。

そうであってくれたらいいなあ。




翠先生

2005-02-24 01:22:46 | Weblog

 学校帰りに駅前を歩いていたら、珍しい人に出会った。
華子が教わっているピアノの先生だ。遠目に見ても目立つひとで、長身にコートを羽織った姿はピアノの先生というよりもどこかのモデルみたいだ。華子も雪子ちゃんもこの先生が大好きで、ピアノの練習に熱心なのは、半分はこの人に認めてもらいたいからなんだろうなと思う。
 僕が会釈すると先方も気づいて、エレガントな仕草で手を振ってきた。
 このひとを見るたび僕は「大人の女性」ってこういうひとのことを言うんじゃないかと思う。今は後輩の育成に専念しているけれど、以前はいろいろなコンクールで賞をとったりしてそのまま演奏家の道を歩むだろうと思われていたそうだ。何か理由があったんじゃないかと思うけど、そういうミステリアスな部分もますます大人って感じがする。

 うわあ、すっかり遅くなってしまった。明日ははやいから今日はこのへんでお休みなさい。

サクラサク

2005-02-22 22:32:07 | Weblog

今日はうちの学校の合格発表だった。
別に知り合いが受けているわけでもないけれど、なんとなく
気になって外を眺めていたら、
一人の受験生が学生に胴上げをされていた。
へえ、やっぱりこういうのってやるんだなあ、と思っていると
その一団の中に秀虎を発見した。

後で奴に会ったので、後輩か誰かだったのかと尋ねたら
あっさり「さあ知らねえ」と返された。
じゃあ誰か友達の知り合いかと思えばそうでもないらしい。

でもまてよ、そうするとあの受験生は
いきなり見ず知らずの学生に胴上げされて訳がわからないってことに
なるんだろうか。
まあ、めでたい話だからいいかもしれないけど、
驚いてウチに来なくなったりしないよね、と少し心配になった。

それにしても友人ながら秀虎の行動には不可解なことが多い。
なので、最近では不可解なことに遭遇すると
奴がかんでいやしないかと疑ってしまうことがある。
そういえばこの前も学生食堂の入り口にある
料理の見本(日替わりなので、見本といえど
ケースに入った本物だ)の一部がなくなっていたんだけど、
・・・・・・
いや、いくらなんでも失礼な気がするので
今日の話はこれでおしまい。

かみあわないひと

2005-02-19 19:39:34 | Weblog

誰でも「馬の合う」人と合わない人がいると思うんだけど。
そういうのとはちょっと違って、なんていうか、「かみ合わない」人っているよね。

昨日僕がラウンジにいると、遠くからパタパタ走りよってきた子がいる。
真理子女史とときどき一緒にいる子だ。
多分「ヒメカちゃん」と呼ばれていた気がする。
そんなことをぼんやり考えながら立ち止まると
ヒメカちゃんは
いきなりスパイラルのノートを僕の目の前で広げてこう言った、
「あたしつるピーのサイン考えちゃった、ホラッ!」

え?
つるピー?
サイン??
僕が一瞬状況を理解できないでいる間に、
ヒメカちゃんはそのページをやぶりとって僕に押し付けると
また同じように走り去っていった。

あれがいわゆる「不思議ちゃん」っていうやつかなあ。
どうリアクションしたらいいのか、なんだかいまだにわからない。



下駄を鳴らしてヤツが来る

2005-02-17 00:18:47 | Weblog


今日は来学期の講座の登録日で授業がなかった。
それで早く帰ってきたので、いろいろたまった用事を片付けようとしていた矢先、電話が鳴った。
嫌な予感、
は的中して、例によって秀虎からの「今からそっちにいってもいいか」電話だった。
「今日はいろいろやることがあるし、第一冷蔵庫も空っぽだ」と冷たく断ったつもりだったのだけれど「そんなこと気にするな」の一言で切られてしまった。
いや、それをなんでオマエが言うんだ。
なんて理屈はこいつに通用しない。

それで、結局今こうしてかろうじてモニターにむかっているわけなんだけど、
・・・ちょっと意識が朦朧としてもうだめかも。
それにしてもなんでこんな20年前の学生みたいなヤツが僕の友達なんだろう。
ごめん、今日はこれで撃沈。アデュー。

試される感性

2005-02-12 19:04:24 | Weblog

ブログのデザインを変えてみたよ。実は、今までも白い背景にグレーの文字のつもりだったのだけれど、人によってとんでもなく見づらい配色になっているらしいと教えてもらったから。
今回のはできあいのを使ったから、大丈夫じゃないかな。
今まで読みにくかった人はごめんね。

ところで、出会いっていうのは不思議なものだと思わない?
唐突で面食らうかもしれないけど、僕は昨日実に奇妙な「出会い」をしてしまった。
駅前の「うめや陶器店」で。
そもそも僕は今までその店に入ったことがない。置いてあるのがほとんど和食器で、しかも民芸調というか、素朴でごつい感じのものが多くて、有体にいって僕の趣味とあわなかったからだ。

でも昨日僕は時間をつぶさなくちゃいけなかった。
それで、なんとなく店の中をふらついてみる気になったんだ。

そこで、「それ」に出会った。

「それ」は、簡単に言うと「亀のかたちをしたポット」だった。
でも実はポットだとわかるまでに一瞬以上の時間が必要だった、なぜなら亀の頭が蓋で、注ぎ口が前足(あしでいいんだろうか)、甲羅部分がお湯を入れる部分…と、良く言えばたくみに造形がなされていたからだ。

実に奇妙なシロモノだと思った。全体は、ちょうど信楽焼きの狸みたいな雰囲気。でも妙にポップな赤いスカーフを首に巻いている。きわめつけは、腹の部分に筆文字で「東京」と書いてある。

東京と亀。
亀と東京。

全然わからない。

素朴な民芸品にも、かわいいキャラクターにも、気の抜けた土産品にもなりそこねてしまったようなそれは、しかもものすごい存在感を持って棚に鎮座していた。

僕は思わずそれを手にとってしまった。
機能一点張りの、シンプルというよりは面白みのないデザインは好きじゃない。
だから、こういう「遊び心」とか「無駄な装飾」は嫌いじゃないはずだ。
こういうものを「面白いよね」と買える余裕が、
僕の求める感性ってものかもしれない、と思ってみたりする。

でも、明らかに僕の趣味とは違う。
というか、多分これは誰の趣味とも違うんじゃないんだろうか。
さらに言えば、何かの間違いなんじゃないだろうか、これは。

店には誰も、そう、店番のおばさんひとりさえもいなかった。
きっと、呼ぶまで出てこないつもりなんだろう。いかにもそういう感じの店だ。
こういう店だから、きっとこの亀も置いてもらっているに違いない。
もしかしたら、あることさえ忘れられて、もう10年もこうしている可能性だってないとはいえない。(かなりほこりっぽいし)

僕が買わなかったら、

そこまで考えた時に待ち合わせの時間がせまっていることに気が付いた。

それで、結局僕はそれを棚に戻して店をあとにしたわけだけれど。
今こうやってモニターに向かいながら、あれをもし部屋に飾ったらどうなってしまうのか考えている僕がいる。

パンサーとジャガーと亀がいる部屋。

ううん、困ったものだ。





妹に限って

2005-02-09 19:26:27 | Weblog
やあ、ごめんごめん、またすっかりサボってしまった。
どうも風邪をもらってきたみたいだ。なにしろ周り中みんな風邪っぴきなんだから嫌になるよ。

ところで、週末は久々に実家にかえってのんびりしてきた。
でもそこで僕としてはかなりショックなことがあったんだ。
今の炬燵に入ってテレビでもみようとしたら、そこに新しい毛糸玉と編み物の本があるのが目に入った。そういえば、僕らが子供の頃は、母さんが帽子やミトンを編んでくれたっけなあ。また久々に何か編んでくれるんだろうか。と、少し期待して(あ、ここで笑わないでね)母さんにきいたら、僕が予期しない答えが返ってきた。

「あら、それは華子のよ。バレンタインまでにマフラーを編むんだって」


僕はしばらく口がきけなかった。

あの華子が?

マフラーを編む?

誰に?

僕の様子をみた母は、まずいことを言ったと思ったのか、慌てて
「私が言ったってことは内緒にしてよ。あの子最近いろいろうるさいんだから」と
口止めしてきた。

いや、内緒もなにも…
そもそもあいつに編み物なんて出来たっけ?家庭科の宿題も満足にできないヤツじゃなかったか?だいいち、この前まで「男の子なんて乱暴でキライ」って言ってなかったっけ。

ショックをひきずったまま月曜を迎えた僕は、たまたま学食で一緒になった真理子女史(ノートの貸し借りをする間柄だ)にうっかりそのことを言ってしまった。彼女はあきれたように、
「あのねえ、華子ちゃんてもう高校生でしょ。好きな人も一人くらいできないほうがおかしいじゃない。いつまでも子供あつかいしているとそのうちとっとと嫁にいっちゃうかもしれないわよ」
とさらに僕を脅かした。(いや、本人は脅かすつもりじゃないんだろうけど)。

うん、わかってはいるんだけど。
やっぱり兄としてはショックなんだよ。
この気持ちってわかってもらえるかなあ。