イバラノツルヒコの華麗なる生活

ボンソワール、今夜も僕と素敵な話をしよう

父のお土産

2005-08-28 23:55:17 | Weblog


今日は帰りがけに雨に降られてひどい目にあっちゃった。皆は大丈夫だった?

さて、この前コメントでちょっと書いたら「面白い」と言ってもらえたので、今日はささやかな思い出話。
僕の父は昔から仕事で家を空けることが多くて、帰ってくるときも大抵深夜だし、数ヶ月もろくに顔をあわせないなんてことはしょっちゅうあった。物心ついたころからずっとそうだったし、特に寂しいと思ったこともなかったけど、父もたまには気にしたのか、僕や華子が小さいうちは時々お土産なんかを買ってきてくれたりした。そういう時の父はだいたいお酒を飲んでいて、妙に明るいんだ。

ある日、僕はもう中学生になっていたんだけど、数年ぶりに父が上機嫌でお土産を買ってきてくれたことがあった。そろそろ生意気なことを考え始めるような年頃だから、僕はあんまり嬉しそうにもしないで、でも内心はちょっとドキドキしながら何が出てくるのか待っていたんだけど、出てきたものをみて愕然とした。
だってそれはチャンバラ遊び用の刀のセットだったんだもの。
よく小さい子供が遊ぶような、プラスチックでできた、中が空洞になっているようなやつ。
うん、確かに僕もそういうのが好きだったこともある。多分、5歳ぐらいの頃かな。・・・そういえばその頃からだんだん父が忙しくなって家にいなかった気がするけど、いくらなんでも5歳の頃に好きだったものを13歳にもなって好きなはずがないじゃないか。いつまでもあの頃の僕じゃないんだよ、と思ったけれど、そこで文句をいってもしょうがないや、と考えるくらいの分別もでてきた頃だったので、ものすごくテンションは低かったけど一応ありがとうを言ってそれを受け取ったのだった。

恐らくその後母に何かを言われたに違いないのだけれど、父はいまだに思い出したようにお土産を買ってきたりする。それがまた毎回誰にとっても微妙な選択で、これは家族といる時間が長いとか短いの問題よりも、実は当人の趣味がはじめから特殊なんじゃないかと、今は思っている僕だ。