循環型社会って何!

国の廃棄物政策やごみ処理新技術の危うさを考えるブログ-津川敬

西いぶり広域連合が産廃受入れを断念!

2008年02月09日 | 廃棄物政策
「ごみが足りない」で悲鳴を上げていた北海道西いぶり広域連合(室蘭、伊達、洞爺湖町など二市五町で構成)が禁じ手である産廃受け入れ方針を打ち出したのは昨年夏のことです。
 地元室蘭市でガス化溶融炉導入時から反対運動を続けてきた成澤彰男さんたち「ダイオキシン調査実行委員会」はこの動きに危機感を持ち、再三、公開質問状や要望書を広域連合に提出してきました。昨年11月時点で質問状に対し広域連合から届いた回答は以下のとおりです。

1、ごみの量は毎年5パーセントぐらい減っている。
2、事業所から一般ごみの中に産廃が入っているので、それを区別して産廃として 料金をとり、さらにそれ(産廃受入れ)を拡大したい。
3、あわせ産廃はどこでもやっていることで悪いとは思わない。
4、1炉に減らせというが、ごみが入りきらない時はどうするのか。
5、スラグはJIS化されたものではないが、いろいろなところで使っている。

と、半ばケンカ腰でした。成澤さんは次のようにいいます。
「僕らは今まで210トンの炉は過大といってきたのですが、事務局長は過大ではないと自信ありげにしゃべっていました。実際はごみが足りず、ごみ探しをしているのにーーー」。
 このことは如何にガス化溶融炉の運転に金が掛かるかを暗に物語っています。
 今年に入って再び質問状を出したのですが、これも同じような中身でした。しかし2月に入って広域連合は急きょ産廃受入れ方針を断念したとの記者会見を行なったのです。
詳細な内容は後日成澤さんから送ってくることになっていますが、各種新聞を見る限り「(溶融炉の)コストばっかりかかって肝心のごみが集まらない」とはいっていません。口が裂けてもいえないでしょう。
 代表紙、北海道新聞の記事を要約すると、①事業所の排出物には施設での処理に適さないものも多く、②いちばん受け入れたかった木くずは主に製紙工場で再利用されている、③紙類や廃プラは接着剤や泥など異物が付いたものが多く、④農業用ビニールシートなど、切断しなければ受け入れられないものも多かった、⑤産廃業者の処理料金が広域連合の予定より安い品目もある、などが受入れ断念の理由でした。特に⑤については産廃の中間処理業者も「ごみ集め」に苦労している様子がうかがえます。
 最初から産廃と一廃の混焼が前提だった茨城県「エコフロンティアかさま」や倉敷のエコワークスなどと異なり、一廃の焼却炉や溶融炉でも早晩この問題が出てくるものと思われますが、 西いぶりのケースはその場合の反撃材料のひとつになるでしょう。また溶融炉は「何でも溶かせる」というメーカーのいい分が神話だったことも明るみに出たということです。

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