循環型社会って何!

国の廃棄物政策やごみ処理新技術の危うさを考えるブログ-津川敬

どっこい生きてた!ミニ高炉

2008年03月05日 | ガス化溶融炉
「これはミニ高炉といいまして、たとえば大病院から中堅病院に1つか2つ、住宅団地なら各ブロックごとに1つづつ設置してもらう。生ごみでもプラスチックでもごみと名がつくものはキレイに溶けてしまいます。ダイオキシン発生抑制の観点から、『溶融処理』がもっとも望ましいと考えられます。普通の炉は300度から800度付近の温度域で『焼却』し、その残渣をバーナー方式で溶融するというプロセスを用います。しかしながらバーナーを用いると、十分に安定した熱容量の一定確保が難しく、また、ペットボトルや廃プラスチックを投入すると一時的に酸素不足状態になり、すす(ダイオキシン)が発生しやすくなります。それに対して炉の下部に超高温コークス層(1500度~2000度)を設けたわが社のミニ高炉は、超高温コークス層によって炉内の熱容量の絶対値が大きくできますから、あらゆる産業廃棄物や一般ごみ、汚泥などに含まれた公害物質を安定して分解溶融することができます」。
 運転操作が大変ではないのか、との質問に対して久米氏は「いやそれでは皆様方の生活圏に普及しません。ミニ高炉の優れたところはそのへんの百姓のおじさんやおばさんでもラクに運転できるところです」。
 この久米正一という人物は1965年、八幡製鉄(新日鉄)に入社以来,製銑畑を歩き続けてきました。当時は新日鉄君津で高炉係長の職についていましたが、あまりにも個性豊かな人物だったために周囲との軋轢も絶えなかったようです。1997年新日鉄を止め、前出のベンチャー企業を立ち上げたのです。
 それにしても団地のブロックごとに1台なんて、まるで生ごみ処理機の宣伝を聞いているようでした。それから10年、絶えてミニ高炉の噂を聞くこともなく、やはり浮かんでは消える便乗技術だったかという感慨で、いつしか忘れ去っていました。ところがひょんなことから沖縄の離島でミニ高炉を導入したはいいが、トラブルばかり続き、しかも村長に背任の疑惑まで起きている、という事件を知らせてくれる人がいて、早速現場、慶良間諸島の座間味島(村)の議員に連絡をとったところ、膨大な資料を送ってきました。久米正一氏は沖縄の離島で何をやったのか。ともあれ、どっこいミニ高炉は生きていたの感があります。
 以下はその一部、オンブズマン系とおぼしきローカル紙への投稿という形はとっていますが、たぶんその新聞のオーナーでしょう。全国に広めて欲しいという議員の了解で、今後少しづつ紹介することにします。なお、この問題についてNHKが特番をつくり、西日本に限定して放映したようです(2月中旬)。
 もうひとつ付け加えれば2004年ごろからコークスが急騰し、新日鉄の溶融炉を入れた自治体は頭を抱えています。ちなみに小生が「教えて!ガス化溶融炉」を書いた2001年の時点でコークス価格はトンあたり2万3,500円。しかし現在はトンあたり4万5,000円以上になっています。それを座間味の村長はトンあたり60,000円で買ったまま貯留しているそうで、島中が騒ぎになっています。


投稿者=座間味
 伊平屋村が「ごみ焼却炉問題」が発端でスッタモンダしているが、そもそも伊平屋村を訴えている企業(㈱還元溶融何某)に伊平屋村を訴える資格があるのか疑問である。 バラ色の溶融炉!と鳴り物入りで現れた還元溶融炉だったが、果たして本当にバラ色の溶融炉だったのか?
 その後の還元溶融炉の現状をインターネットで調べてみた(津川注:伊平屋村は与論島の西に位置する島)。
 琉球新報(2006年8月16日付)は「ハエぷんぷん悪臭も 座間味村でごみ山積み」と見出しをつけ、ごみ焼却場に山積みされたままのごみ問題を伝えている。2003年に開設されたこの溶融炉、当初は1ヶ月おきに焼却していたのだが、燃料の価格高騰、操業委託料が負担となり、2005年10月からごみを溜めてからまとめて焼却するようになったという。超高温で溶融し、資源ガスなどのエネルギーに変え、ダイオキシン類の発生を抑制できるのが“売り”のようだ。仲村三雄村長のコメントとして「お金をかければ毎日稼動できるが、できるだけ安く抑えたい」とある。
 06年8月31日の「座間味村議会議員選挙公開討論会」では、候補者の数人がこの問題を指摘していた。「住民とのコンセンサスがとれていない」「他地域の同じ型の溶融炉を見ると、高知県はもう稼動していない。渡名喜村も停止状態。実績のない溶融炉に9億円もかけたのはおかしい」など疑問の声だ。
 座間味村では一昨年からごみの有料化が始まった。堆肥化される生ゴミ以外の、「燃えるごみ」「燃えないごみ」「粗大ごみ」は有料だ。ごみ回収場には分別して出すことになっているが、回収業者が「燃えるごみ」も「燃えないごみ」もまとめて回収するので、「分別しても意味がない」と住民の意識は低下している。そして「燃えないごみ」も溶融炉で燃やされる???何のための有料化か?巨額を投じた溶融炉の稼動実績は?住民は首を傾げる。

編集部・・・少なくともバラ色とは言いがたい現状のようだ。還元と契約しなかった伊平屋村は賢明な選択をしたんである。信じがたい情報に還元溶融炉を選定した各自治体の委員会の委員には工作資金が流れたと噂されている。大事(デージ)やっさ!

バラ色の還元溶融炉?第2弾(沖縄県)
平成19年8月9日
投稿者 = 座間味

 ごみ処理施設建設の請負契約を一方的に破棄され損害を受けたとして、東京のごみ処理施設開発業者が伊平屋村(西銘真助村長)を相手に、約3億2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが06年5月30日那覇地裁で行なわれ、田中健治裁判長は村側に約1億4636万円の損害賠償を命じた。
 この判決を不服として、伊平屋村が控訴したことは、マスメディアの報道により明らかになっている。
 本紙は、環境という視点から本事件を追跡した。

焼却炉計画をめぐる当時の社会状況!
 2002年12月1日から焼却炉のダイオキシン排出基準などが大幅に強化されるのに伴い沖縄県内32ヶ所の焼却炉のうち離島の町村・組合の8施設が廃止された。
 廃止したのは、宮古清掃施設組合、伊良部、座間味(座間味島)、伊是名、伊平屋、粟国、渡名喜、与那国のいずれも離島の8町村組合であった。
 当時、座間味、伊是名、伊平屋、粟国、渡名喜、与那国の6町村は、新炉で対応する計画を発表した。渡名喜村は2003年2月、座間味村は同年8月にそれぞれ新しい炉が稼働しているが、バラ色の還元溶融炉には程遠い状況である。そうであればバラ色の還元溶融炉の今日の危うさをいち早く見抜き、最終的に伊平屋村が求める設計図書を提出できなかったとして東京の企業との契約を取り消した伊平屋村(西銘真助村長)に瑕疵はなかったし、むしろ現在の渡名喜、座間味の現状からしても伊平屋村(西銘真助村長)の当時の決断は英断であった。

バラ色の還元溶融炉?第4弾(沖縄県)
平成19年8月13日、投稿者 =座間味
 ハッキリ言って、この焼却炉は問題である!
 今年の状況はさらにひどい。既に、6ヶ月の家庭ごみが山済みされている。 現場で作業をする職員に取材をした。
「はっきり言って、この溶融路は欠陥商品だね。処理コストも高いけどメンテナンスにも手間隙と金がかかりすぎる。前のストーカー炉の方が良かった・・・」 ?
 実際、何に困っているのか座間味村の担当職員に取材する。

◆年2回操業が限界である!
 この炉の特徴は、コークスベットによる直接溶融です。それにはまずコークスを購入しなければなりません。もちろんコークスは、沖縄にはありません。当初の計画では、トン当たり2万円で購入できる予定でしたが、現在、3倍以上の7万円です。この補助燃料の高騰が大きな原因です。さらに、冷却水等の処理水が1日に40トンから45トン必要です。夏場の本村の水需要が1日400トン必要ですから生活水を優先せざるを得ません。従って、年に2回操業するのが限界です。」
バラ色の還元溶融炉?のイバラの道がつづく。

バラ色の還元溶融炉?第5弾(沖縄県)
平成19年8月17日、投稿者 = 座間味
 色々とトラブルが多い座間味の還元溶融炉だが他に技術的とかシステムの問題点はと現地の担当者に聞いてみた。

「この炉は、炉が中心となっており、ゴミを貯めるピットや排水処理が弱い。また、ガスエネルギーの利用は新たに発電施設を建設しなければなりません。本村の財政から対応は無理です。唯一公約通りなのは最終処分場がいらないくらいです。」
 有用なメタルや砂を資源として回収することができる炉とされていますが・・・。
「スラグはセンター内の路盤財として利用しております」「高額な経費をかけて建設した炉ですから・・・ごまかし、ごまかし利用するだけです。」と、声がだんだんと小さくなった。
「バラ色の焼却炉」の現実は、問題だらけのようだ。

バラ色の還元溶融炉?第6弾(沖縄県)
平成19年8月18日、投稿者 = 座間味
全国で続発するガス化溶融炉事故
ガス化溶融炉は開発以後の歴史が浅く、どこでどんな事故が起きるかを当のメーカーにすら分かっていない。事故報告の一部を紹介する。

①2002年1月28日 愛知県東海市灰溶融炉爆発 新日鉄・コークスベッド型灰溶融炉
②2002年11月2日青森県むつ市 放散塔ガス爆発 三菱マテリアルガス・改質型溶融炉
③2002年12月~島根県出雲市 多彩な事故が連続 日立・キルン型ガス化溶融炉)
④2003年7月17日青森県弘前市 灰溶融炉爆発 荏原製作所・プラズマ式溶融炉
⑤2003年8月29日広島県福山市 圧力異常で火災 JFE・コークスベッド型溶融炉
⑥2003年9月11日福岡県古賀市 セラミック管破裂 三井造船・キルン型ガス化溶融炉
⑦2003年4月~北海道上磯町 機能トラブルが連続 タクマ・キルン型ガス化溶融
⑧2003年4月~兵庫県高砂市 重大事故の連続 日立バブコック・キルン型ガス
⑨2004年1月24日香川県直島 溶融炉で水素爆発 クボタ・表面溶融炉
⑩2004年7月9日静岡県静岡市 灰溶融炉爆発 日立造船・プラズマ式溶融炉
⑪2005年5月26日東京都足立区 灰溶融炉爆発 荏原製作所・プラズマ式溶融炉
   (津川敬・「溶融炉が危ない」より)
編集後記
  座間味村の現場作業員の感想は「直接溶融炉」に対しボロクソな批判であった。担当職員は現状をだまし騙し利用するのに苦労している感じで苦しい説明である。
それに比べ伊平屋村の新焼却炉(ストーカー炉)は、建設後操業停止は一度も無い。仮に、当初通り、訴訟メーカーの直接超高温溶融還元ガス化ミニ高炉を建設していたら座間味村や渡名喜村のような「財政被害」と「環境被害」を村民に与えていた。伊平屋村の西銘村長の行政行為は村民の利益を守ったのだ。 本誌は引き続き裁判の動向を注目したい・・

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1 コメント

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verygoodayitis@yahoo.co.jp (青空)
2008-12-03 23:16:24
津川さんも応援してくれた伊平屋裁判、しかし裁判技術で敗訴、真に残念。正義の声は天に届かないのか?

沖縄タイムス 2008//11/26朝刊/ 社会
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-11-26-M_1-001-1_004.html?PSID=95bc0fc39df96ecefe01bf6dbd5969b8

伊平屋村、1億4600万円賠償確定/焼却炉訴訟最高裁決定上告受理せず

 伊平屋村で計画されていたごみ焼却炉建設工事の請負契約をめぐり、伊平屋村側から一方的に契約を打ち切られたとして、ごみ処理施設開発業者の還元溶融技術研究所(東京)が同村に三億九千二百万円余りの損害賠償を求めていた訴訟で、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は二十五日までに、村側の上告を退ける決定をした。同村の契約不履行を認定し、一億四千六百万円余りの支払いを命じた一審・那覇地裁と二審・福岡高裁那覇支部判決が確定した。
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