ルシネマ
ロン・ハワード監督
本人のインタビューを含め、パヴァロッティの生涯を描いたドキュメンタリー。面白かった。
90年代に実際に何度か生で米国で聴いたことがある。凄い伸びのある声量で、ドミンゴ、カレーラスよりもあまた一つ出ている感じがしたのを覚えている。
色々な人がインタビューに応じ、彼の人となりを描いている。共演が多かったフレーニのインタビューがなかったのは残念。
ポピュラー歌手との共演が多かったり、チャリティーを中心にしたりとオペラの舞台から離れて、戻ってきた時に、酷評されるわけだが、それについてボノが歌とは人間性だと言ったのは印象的だった。そうかもしれないが、安くないお金を払って、ファンは、芸術を聴きに行っているのだ。歌舞伎の世界で、歳をとって、セリフもおぼつかず、ただ出てきて立っているだけの役を死ぬ前に演じる俳優がいる。それについて、評論家氏達は、「出てくるだけで存在感がある、これが至芸だ」と宣う。本当にそうだろうか、とこうした場面に遭遇するたびに思うのだ。舞台の上で死にたいというのは役者のエゴではないかと。それに近いものをボノがパバロッティを擁護するコメントに感じた。
マネージャーが、活動の範囲によって変わっていく様はちらっと描かれたが、これはドラマがあったのだろうなあ。
もちろん、最初の夫人、不倫相手、最後の夫人と娘たちというのもドラマだろう。
やっぱり芸術家だよなあと思う
- アンドレア・グリミネッリ〈フルート奏者〉
- プラシド・ドミンゴ〈テノール歌手〉
- アンジェラ・ゲオルギュー〈ソプラノ歌手〉
- キャロル・ヴァネス〈ソプラノ歌手〉
- ヴィットリオ・グリゴーロ〈テノール歌手〉
- マデリン・レニー〈ソプラノ歌手〉
- ズービン・メータ〈指揮者〉
- アンヌ・ミジェット〈ワシントンポスト紙・オペラ批評家〉
- ハーバート・ブレスリン〈マネージャー〉(1967年-2003年)
- テリ・ロブソン〈マネージャー〉(2003年-2007年)
- ユージン・コーン〈ピアニスト・指揮者〉
- ジョゼフ・ヴォルピ〈MET〉(1966年-2006年)
- ハーヴェイ・ゴールドスミス〈コンサート・プロモーター〉
- マイケル・クーン〈ポリグラム〉(1978年-2006年)
- ランラン〈ピアニスト〉
- ホセ・カレーラス〈テノール歌手〉
- ディコン・スタイナー〈デッカ・レコード〉
- ボノ〈U2〉
- ニコレッタ・マントヴァーニ〈妻〉
- アドゥア・ヴェローニ〈前妻〉
- ロレンツァ・パヴァロッティ〈娘〉
- ジュリアーナ・パヴァロッティ〈娘〉
- クリスティーナ・パヴァロッティ〈娘〉
- 冷たい手を〈プッチーニ「ラ・ボエーム」〉
- 友よ、今日は楽しい日〈ドニゼッティ「連隊の娘」〉
- あれかこれか〈ヴェルディ「リゴレット」〉
- 女心の歌〈ヴェルディ「リゴレット」〉
- 衣装をつけろ〈レオンカヴァッロ「道化師」〉
- 見たこともない美人〈プッチーニ「マノン・レスコー」〉
- オ・ソレ・ミオ〈ディ・カプア〉
- 誰も寝てはならぬ〈プッチーニ「トゥーランドット」〉
- 人知れぬ涙〈ドニゼッティ「愛の妙薬」〉
- 星は光りぬ〈プッチーニ「トスカ」〉など20曲