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Pretenderの備忘録

市場と権力

2020-02-22 17:04:23 | 読書
「資本主義と闘った男」が、良かったので、同じ著者の作品を読む。

こういう本、読みたかった。2013年に出て、賞もいろいろ取ってるのにも関わらず、寡聞にして知らなかった、恥じ入る。

友人ともこういう本、読みたいよねと語っていて、実は出てたんだなと。きちんと取材をして、怪しくないソースで、知性のある人が書く、まさに日本は弱いが海外での良質なジャーナリズム。

生い立ちから書き起こし、なぜああいう人物がというのを描く。東大入試の話は笑った。真相を初めて知った。入試がなかったことが、バネになっているのかと思っていた。

自腹で、勉強会をやっていた等の記載はフェアだ。ただ、自腹を切れるほどの稼ぎはどこから生じていたかというのと表裏の関係になっている。

田原総一朗お気に入りの野党のスポークスマンというイメージだったが、入閣したときはびっくりしたのを思い出す。学生時代の民青といい、権力に対して正直なのだろう。民青から転向して、自民党のブレーンになった学者を何人か知っているが、学者としての矜持があった方々だった。

彼は、博士論文や出版の逸話を読むとなるほどと納得する。やはり学者ではない。あるPhDを持つ方が、彼と会合の席で一緒になり、衝撃を受けていたことがあった。「経済の原則なんて全く無視で話す、IS/LM曲線の導出、できないんじゃないか」、と憤慨していたのを思い出す。

権力だけでなく、カネもというのは、平成以降の動きだろうか。昭和の時代は権力とカネがここまで一緒に追求されるものではなかったように思う。

彼の手法は、反面教師にもなるし、良くも悪くも参考になる。

今、麻生氏に疎まれているのも良くわかった。また、森氏が評価しないのも、森氏には小池百合子と同じ匂いがするのではないかと思った。

いろいろと考えさせられるという意味で、良書であると思う。
著者に改めて敬意を表したい。


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