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Pretenderの備忘録

丸山眞男の時代

2005-12-06 22:53:36 | 読書
新書の種類が増えて、随分と新書のイメージが変わった。
岩波と中公に講談社が加わったくらいのときは、岩波と中公が硬くて、講談社は実用中心というイメージだった。いまや、新潮、光文、文春、集英社、角川、等々。岩波が大往生以来、軽めの路線を強化する中で、中公は軽めはラクレ(と言っても硬派なものもある)と棲み分け、しっかりしたものを出している。能力開発競争なんてそうだったなあ。

教育史等に強い京都の竹内先生の丸山眞男論。それぞれの時代における大学・知識人、・ジャーナリズムの中に丸山先生を位置づけ、論じている。
新書という制約もあり、ターニングポイントとなる事件の選択についての背景等の論じ方が十分とはいえないが、非常に面白く読ませる。筆者自身が丸山先生を眩しく見て、限界を見出すようになってきたということもあり、かなり感情移入があり、書籍としての構成としてすっきりとしたシャープさはなく、いろいろなものをとりあえず並べて括ったというところだ。

丸山先生が死後なおこうした形で論じられることこそ、その影響力の大きさを改めて思う。そして、頭脳明晰な学者が、明晰に論じきれない状況になるほど、個人体験としても大きかったのだろうと思う。僕は高校時代に日本の思想を読み、大学時代にいくつかの著書に触れ、死後刊行された講義録に目を通した。僕の世代では、表に出なくなっていただけに、神格化が進み、ウェーバー等と同じく読んでいないとは言えないムードがあった。

筆者の指摘でうなずけるところも多い。まだ丸山先生は事象として語られるのであろう。

コメント
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