Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

獣害

2009-07-21 12:28:42 | ひとから学ぶ
 わが家の弁当は、妻が実家から持ってくるたまごが毎日の定番であった。生家でもわたしの子どものころは祖父が鶏をたくさん飼っていて、近所への手土産には必ず持って行ったし、また来客があればたまごを手土産に持っていってもらったものである。飼っていた鶏の数からいけば、自家で消費するだけでは処理できないほどいたから、その昔は出荷もしていたのかもしれないが、そのあたりは記憶にはない。いずれにしてもわたしの記憶のあるあたりからたまごはどんどん値が下がっていった。今ではたまごをいただいても嬉しくないと思う人もいるかもしれないほどに。

 そんな妻の実家の鶏が、獣に捕られたのは年の初めのころだろうか。生みごろになっていた鶏を捕られてしまったので自家消費もままならないほどに残った鶏では間に合わなくなった。ということでここ半年ほどは買ったたまごに頼っている。自家のたまごを利用していた者にとっては、安いたまごを買う気にはなれなかったのだろう、妻の購入するたまごはけっこう高価なたまごである。

 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会のページに「知って欲しい、たまごの適正価格」という記事がある。ちなみに7月の適正価格は528円だというが、市場価格は6月平均で163円だという。適正価格って何なんだということになるだろうが、それは生産者のかかった費用に諸費用を積み重ねていった生産者側重視のものということになるのだろうが、生活クラブ生協では「生産原価保障方式」による安定価格で、国産鶏種のたまごを生産者から買い入れているという。解説には「「生産原価保障方式」とは、ヒナ代、飼料代、人件費などを積み上げて、持続的に生産できることを前提にした価格」ということらしい。同生協では代表的な提携生産者である鹿川グリーンファームから1kg290円で仕入れ、組合員価格は360円(班共同購入価格)ということだ。あくまでも生産者ベースの適正価格であるから、消費者ベースだったら異なるのかということになるが、消費者はあくまでも市場の価格に左右される。ということは供給が過剰になれば値が下がるわけで、豊作貧乏と同じことになる。同生協ではこう指摘する。「異常な価格低迷と原油や飼料高騰により、中小の農家養鶏が廃業に追い込まれています。そして、国産鶏種のたまご生産者は、中小の農家養鶏がほとんどで、国産鶏種のたまごが、なくなってしまう危機が迫っているの」というわけである。たまごを生産する鶏の親は約94%が外国からの輸入だということで、ようは純国産というのは限りなくゼロに近いといってよいわけで、最近影を潜めている鶏インフルエンザが海外で流行したらたまごそのものがなくなってしまうということが予想されるわけである。

 生活クラブが国産種の鶏にこだわる理由というものがネットにあるのでその背景はそちらに譲るとして、鶏に限らずそれに近い農産物という物が多々あることは事実。それらが日本の食糧自給率回復の壁になっているともいえるのだ。わが家でも同生協のものを利用しているが、さすがに毎日使うたまごについては配達サービスのあるいわゆる生協に頼っている。その後購入したひよこたちが盛んに産み始める日を、今は待ち望んでいるばかりである。
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