Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

定住自立圏構想再び

2009-07-22 12:40:07 | つぶやき
「総務省のドラえもんポケット」の補足として

 定住自立権構想の全国のトップを切って飯田市下伊那地域が関係市町村で締結した。いち早くそれに進んだ理由に、飯田市の牧野市長が定住自立圏構想の推進に関する懇談会の構成員として関わったということがあるようだ。率先してモデルケースをという意識がそこには働いている。それぞれの町村議会において反対票を投じた議員たちの危惧は、中心市の立場になる飯田市の言いなりになってしまうのではないかというものであった。その反対票を投じた議員たちはおおかたが共産党議員であって、異口同音に反対主旨を述べた。みんなが「そりゃあ、いいことだに」といって賛成してしまうよりは、反対意見があることにより議会が「本当にいいんだろうか」と立ち止まってみることは良いことである。しかし立ち止まったところまで行ったかどうかは疑問が残る。どこか慌てて協定を結んでしまったという感が否めない。それもこれも冒頭の理由が絡んでいないだろうか。トップを切って動かなくとも良いことだと思うのだが。大多数の人口を有している飯田市の住民にとってメリットはあるのか、問えばきっと多くの市民は関心がないだろう。そもそもその構想には役割分担的なものがあり、中心市たる立場からは具体的な連携が見えにくいはずだ。締結後に新聞紙上などでも、その実はどうなのかというような意見が市民から出ていることも耳にする。ようはメリットデメリットは何かということなのだが、周辺町村の期待ほどには市民にとっては具体的なものが見えてこないだろう。役割分担と言う視点でいけば、農産物の地産地消という面では市内にある山間地域あるいは農村地域にしてみれば周辺の町村に主体が取って代わられるということも考えられる。何をもって分担するかといえば、むしろ同一行政区域の調整よりも難しくなるだろう。確かに主旨の聞こえは良いのだが、具体的には見え難いことも事実である。できそうなことをスローガン的にかき集めて見出しを設けても、具体論にはならない。もっと集約した構想ではいけなかったのかという印象も残る。

 「長野県政タイムス」の7/15版はそういった意味の指摘をしている。この構想の原点をもう一度うたってみよう。「「中心市」と周辺町村が協定を結び「圏域として定住・自立・発展を目指す」ことが大目標。中心市は病院やショッピングセンターなど都市機能を整備し、自然環境や食料生産などを周辺市町村が担って互いに連携しながら「圏域としての利便性を高めていく」ことで「大都市への人口流出を防ぐ」」というものだと同紙は説く。飯田市には多くの山間部が含まれる。そうした山間部と周辺町村という図式はどうなのだろう。そもそも飯田市内部においてそうした圏域思想を持った行政が望まれているはず。病院問題はともかくとしてショッピングセンターなどの都市機能とうたわれると同紙が指摘しているように、ますます中心と周辺の格差が生じかねない。そして締結したことによって補助金をもらうからにはそれに見合った活動が求められる。そのことに目を奪われた予算執行をすれば、無駄も生じかねない。やはり重点になる施策を絞って進めるべきものなのだろう。

 同紙によれば「平成二十年十二月二十六日付の瀧野欣弥総務事務次官名の各都道府県知事、各指定都市市長宛の「一通の文書」で実質的に始まった」としている。これが途中辞任した鳩山プランの一つだったというのは知らなかった。正式に立ち上がったのもごく最近のことであるとともに、政策がころころ変わる姿が見て取れる。世の中は総選挙で政権交代が実現しそうだ。不安定な国の視線の先はまったく見えてこないわけである。同紙はさらに「その一方で、「広域行政圏計画策定要綱」と「ふるさと市町村圏推進要綱」は「平成21年3月31日をもって廃止することとします」とした。突然の廃止だったという。今回の定住自立圏構想は、「そうした事がない様に」祈る」とまとめている。政権交代が見えているだけにそうした「突然」のお触れが今後たくさん下されるのかもしれない。同じようなことを繰り返してもどこか違う。それを判断しがたいと感じ受け止める自治体もあるのだろう。そもそも定住自立圏構想の文書が各指定都市市長宛に出されたというあたりからして、この施策が中心市に主眼をおいたものであることは歴然としている。考えるほどに慌てた行動と思えてくるのだが…。
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