Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

音姫

2008-01-12 16:46:19 | ひとから学ぶ
 「萌えるモノづくり」という中日新聞1/9記事では、〝乙女のはじらい〟を隠すモノづくりの話が紹介されている。男性には縁がなく遭遇したことがないのかもしれないが、公共施設や百貨店、あるいはオフィスビルの女性用トイレには、便器脇の壁に手をかざすとセンサーが反応して水洗の音が鳴り響く装置があるという。水洗が作動しているのではなく、音だけが鳴り響くというものだという。この装置、衛生設備会社が開発した「音姫」という商品という。排泄時の音を消すための擬音装置なのである。開発陣によれば、こうした発想は男性には解らない世界だったというが、実は記事の最後で「20歳から60歳代の男性500人余りのうち4割近くが恥じらいや、におい対策として、余分な水を流していることがわかった」という開発陣の最近の調査結果を載せている。

 女性にとっての排泄音というもの、例えば同性だけの空間であっても人に聞かれるのはしのびないというものなのだろう。そう考えて自らはどうかと問うてみると、確かに好き好んで人に聞かせるものではないだろうが、たとえばどういう音を対象にしているのだろうと悩んでしまう。小便だとしたら、もともとオープンスペースに横に人が立っていたりしたら、音よりも違うことに気がとられるだろう。そして、男性用小便器の音などたわいのないほど小さなものである。では大便器ではどうか。このごろは和式の便器は少なくなって様式のものが増えてきた。音を発散するタイプの和式に比較すれば、音をふさいでしまう様式の便器で、どれほどの音がするだろう。このごろの都会のトイレ事情というものをあまり知らないからそんなことを思う。地方とその環境にそれほど差があるとは思わないのだがどうだろう。

 記事では江戸時代のお姫様の音消し用のつぼのことや、屁負比丘尼のことが触れられているが、雑音がなく、自らの血が流れる音も聞こえたといわれる時代と現代では音の大きさ量ともに違うだろうし、その音への敏感さも異なるだろう。それでもその音が気になるというから、むしろその音とはどんなものなのか聞いてみたくななる。とはいえ、男性の意見にあった〝匂い〟についてはわたしにも理解できる。便秘ぎみで、排泄に時間のかかるときに、一度排泄したものが便器に残っていると、自らの匂いなのになぜがモノを流したくなる。しかし、音姫ではにおいはけせないだろう。むしろこの時代の便器事情からいけば、匂い消しの方が求められるように思うのだがどうだろう。
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