Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

行政組織の怪しい世界、ひとつ

2007-12-29 12:04:25 | ひとから学ぶ
 矢祭町で議員報酬を日当報酬にするという案が可決されて話題となっていた。現在ボーナスも含めると300万余の報酬が、3万×30日=90万で済むという。全国初というが、この「初」というのは意外であった。全国にはやまほどの議会があって、議員がいるのに、こうした意見がなかったかどうか知らないが、日当報酬制度をとるところがなかったということが意外なのだ。

 そんなニュースを耳にしたなか、知人は町議会において議員年金制度改革に関する意見書が否決されたことについて触れている。国会議員でもこの年金制度に対して議論になっているが、町村の場合は全国の町村議会議員によってその制度が成り立っているようである。常に思うのは、自治体とはいえ、市と町村が別ということだ。市の関係者にとっては町村などというものは自治体ではないと思っているのかもしれないが、もともとなぜ自治体という形式的には同じ組織のように見えるのに、それぞれはことなった組織わ組むのだろう。全国市長会に対しての全国町村会、郡に属している町村とそうでない市、という一般人にはせいぜい住所表記上の違いだけに見えるような部分なのに、実は大きく異なるようだ。そのあたりは専門ではないからわからないが、きっと市町村職員は詳しいのだろう。そもそもそのあたりからして、一般人には見えない世界で、それでいてなんとも初歩的な疑問がわく。

 そんななか、合併によって町村がしぼんでいき、市が増えていくから、そのあたりの組織的な部分は町から市の組織へ例えば議員年金も移し変えていくのだろうか。いずれにしても町村が減少していけば、議員数も減少し運営できなくなるのは必死となる。そもそも町村の方が財政的に厳しいだろうから、議員年金に自治体が補助していくのもつらくなる。果たして議員はそれを生業として生きているのか、それとも名誉職なのか、はたまたサイドビジネスなのか・・・、といった具合に人それぞれなのだろう。ただ思うのは、情報を得やすい立場であることに違いはない。だからまんざらやっていて損はないと思うのだが、議員をやっている人たちは「報酬が少ない」などと口にする人はけっこう多い。矢祭町の試算のように、せいぜい年間30日の仕事である。会社が認めてくれて、その分は給与を安くして休日をくれるのなら、議員にわたしも立候補したいところだ。地方では議員になるとすると、自営業、農業、退職後の隠居人くらいしか対象者はいない。それは生業としてやっていくにはやはり報酬が少ないからだろう。ようは専業ではない。とすれば議員をやっていたことで年金をいただくのではなく、一般人と同じ年金でよいように思うのだが、「それでは立派な自治は築けない」とでも言うのだろう。

 否決とはいえ、議論はほとんどなく採決へ進んだといい、意見書を提出した議員も情けなく思ったことだろうが、こと自分の報酬が少なくなることには口をつぐむ。そんなことは当たり前のことで、好き好んでくれる銭をいらないなどという人はいない。とはいえ、このごろ完了したわが社を展望した長期計画策定では、社員が自ら給与を下げなくてはやっていけないと計算した。自ら会社を潰さないためにどうすればよいのか、引かざるを得ない立場なら早期退職も致し方ない、などということを議論したわけだ。こと税金で報酬をもらったりすると、公的な部分なのだからそれは当然のごとく思うが、それなら議会なんているのか、などとまたまた素朴な疑問もわく。勝手に自治がされようが、財力がなければ自治は潰れてしまう。だからといって乱暴に税金を上げればよいなど考える行政当局はないだろう。勝手にやっていいから税金を下げてくれ、と言いたいこのごろである。「無駄なところに手をかけるな」である。ちなみに、矢祭町の日当の3万もいい報酬だと思うが・・・。

 余談であるが、先日帰宅の電車内でお世話になった知人に偶然あった。忘年会の帰りというなか、わずかな時間言葉を交わしたのだが、県の出先機関のある部署が、さきごろ発掘調査で発見された水路を見学にやってきた。知人はそこの発掘の担当者だったのだが、知人曰く「たいへん熱心でたくさんの人たちを連れて来ていただき、作業まで手伝っていただいた」という。ある意味感謝の意味でそれを語っていたが、別に手を出さなくてもよい仕事に手を出して、それで熱心に勉強していったとわけである。しかしである。それが本来のあなたたちの仕事とはまったく思えない。土日に趣味で勉強に来るのならともかく、仕事中に仕事と関連していることだからとはいえ、お祭り騒ぎのように行動するのはいかがなものか、と思うが違うたろうか。

 違うという人たちもきっといるだろうが、一般人が聞いたら「何それ」みたいなことはたくさんあるわけである。

 そう思っていたら、知人が先に矢祭町のことに触れて日記に記している。そんななかで「今回の日当制の導入は今後の地方議員のあり方に実に大きな影響を与えることになるに違いない」というが、わたしにはそう思えない。おそらくこの矢祭町の影響がでるには10年はかかると思っている。それほど自らの報酬に対しての意識は変化し難い。それほどみな自分のことしか考えていないということである。寂しい限りだがいたしかたない。もうひとつ、夜間議会なるものは必要と思わない。人間はまず昼間に活動するべきであって、加えて夜間に議会をもってきたところで、住民参加になるとは思えない。このことだけは地方においては現実である。
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