Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

田んぼの水持ち

2006-05-21 13:10:17 | 農村環境
 先週「代掻き作業の人々」でも書いたように、代掻き後の梯子引きをした。ところが、水をつけても次の日になると水が漏ってしまってなくなってしまうということで、この土曜日に再び代掻きをした。代掻きをすれば漏らなくなるというものでもないが、原因は「そうだろう」という想定でもう一度代掻きをすることになった。先週と同じように義弟がトラクターで代掻きをし、わたしは梯子を引いた。傾斜地の田んぼだから、田んぼと田んぼとの段差は2メートル以上ある。土手を見れば漏る場所がわかったりするが、では田んぼのどこから漏るのかはよくわからない。だから代掻きをしなおすことで、漏る穴が埋まると想定するのである。そうした穴は、モグラによってできたりする。山間においてはモグラとも戦わなくてはならない。

 昨年中条村の現場を何日も訪れていた際、お婆さんが現場で働いているわたしのところに来ては、「田んぼの水が漏って困るんだ」と何度もやってくるのだ。確かにお婆さんの家の田んぼの下の道には、水がじわじわと流れている。「モグラの穴でもあるんじゃないですか」と答えると「そーかなー」と言うのだが、しばらくするとまたやってきて「どうしてなんだ」と独り言?を言っている。妻の実家の田んぼも同じように漏るので人事ではないのだが、一箇所からどんどん漏っているのならともかく、じわっと出ていたりすると原因は簡単にはわからない。

 思い出せばわたしの実家の田んぼでも昔はよく漏ったものだ。そのころは、秋になればスガレが土手に巣を作ったりして、その巣をとったりしたから、そんな場所はとくに土手が弱くなっていて水を溜めると漏った。スガレ追いに父は遠く新潟の方まで行ったが、よそ者に土手を掘られるのは迷惑なもので、北信や新潟の人たちにとっては「松本」ナンバーの車は要注意だっただろう。その後実家の田んぼはことごとくほ場整備が行なわれ、土手が重機によって固められたため、水持ちは極端に変化した。だから水が漏るなどということはもう20年くらいないだろう。妻の実家の田んぼも、中条村のお婆さんの田んぼも、どちらも昔のままの田んぼである。だから水持ちはよくない。毎年水が漏らないようにと気を使い、そして戦うのである。田んぼの水の必要量というものも、水路で漏水する以上に田んぼの漏水が大きいかもしれない。まあ田んぼの場合、上の田んぼで漏れば下の田んぼで受け止めてくれるからロスにはならないかもしれないが、どこの田んぼも漏っていたら大変なことだ。
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