Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

大柄な娘の雪形

2006-05-09 08:01:58 | 自然から学ぶ


 「島田娘」について先日触れたが、わたしは連休中の間、女性の姿を現す雪形を毎日自宅から見ていた。写真は中央アルプスの赤椰岳あたりを写している。中央左手の嶺がその山で、左端が南駒ケ岳、右端は空木岳になる。赤椰岳の右手の山の肌にそれこそ島田娘と同じような女性の姿が見え、上体から下体に和服姿のように見える。この雪形をなんと呼んでいるのか聞いたことがなく、加えて少し資料でひも解いてみても出てこない。この山肌は南向きのため、雪解けが早い。おそらく数日で姿を消してしまうかもしれない。加えて伊那谷は南北に展開していることもあり、南向きの山肌となると、正面からやや左手に傾いた斜面になる。したがって見える範囲は島田娘のように広範囲とはならない。

 この写真は上下伊那郡の境あたりから撮影したもので、下伊那郡松川町上片桐あたりが真正面となる。ここから北へ向かって移動していくと、しだいに女性の姿は棒状に縦長に変化していき、上伊那郡飯島町七久保のJR七久保駅あたりまでくると、島田頭の姿はほとんど崩れてしまう。そして、さらに北へ向かうと、写真のような女性の雪形はまったく姿を消してしまうのだ。そんなこともあってか、雪形として農事暦に登場することがないのだろう。そうはいってもこれだけの形を見せているのだから、何らかの伝承もあるのではないかと思う。もう少し調べてみることにする。

 いずれにしても雪形は現れる斜面の位置によって少し位置を変えるとまったく姿を消してしまうと、「島田娘」でも述べた。その典型的な雪形が今回の「大柄な娘」の雪形である。南駒ケ岳から空木岳にかけての嶺嶺には、西駒ケ岳一帯に比較すると雪形の数が多い。それだけ「山の表情が豊か」ともいえるのだろう。この娘の姿が消えたころには、「日々を描く」でも紹介しているような「稗蒔き女」や「五人坊主」が現れる。しばらは山の表情の変化を楽しめる季節である。ところで例年なら連休には稗蒔き女や五人坊主は姿を見せ始めているのだが、今年は残雪が多い、そんな印象は強い。

 撮影 2006.5.6 AM
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