宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

要望書(知事)回答書

2015年03月25日 | 鍬ヶ崎の防潮堤を考える会

この知事からの回答書は「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の要望書には答えていない。立ち止まって要望者の真意を汲み取るのではなく曲解し、地元鍬ヶ崎地区民(県民)の切実さに寄り添うではなくはぐらかしている。百年一日の決まりきった事を決まりきったやり方で書き連ねるだけの県庁の役所仕事を見せつけられると腹が立つ。人によってはアタマにくるというし、心臓にもくる、胸も悪くなる。しかし、ブログ訪問者のみなさんには、(体にさわらないかぎり)、一瞬でいい、目を通してもらいたい。後の反論をよりよく理解してもらうために…


 鍬ヶ崎の防潮堤を考える会 様


平成27年3月17日 

 岩手県県土整備部河川課総括課長  
八重樫 弘明  

御要望への回答について

 このたびは、県政に関する御要望をお寄せいただき、ありがとうございました。 御要望いただいた件につきまして、次のとおり御回答いたします。
                       記
 1  宮古港海岸鍬ヶ崎地区における地質調査について 

当地区における地質調査については、平成 26 年 11 月4日に宮古市役所大ホールにおいて開催した説明会において調査地点を示しており、震災前の既往調査結果の活用について御説明したところです。

東日本大震災津波においては広域的な地盤沈下が発生したところですが、局所的な著しい沈下や隆起は確認されていないため、既往調査における土層構成の変状は極めて小さいと考えられること、また、調査も同様の手法であることから、既往調査結果については設計に反映させる情報として有効と判断しています。

当事業では、概ね 100m間隔の地質調査を踏まえた設計により工事の発注を行っているところですが、基礎となる鋼管杭の打ち込み前に追加調査を概ね 50m間隔で実施し、支持層をさらに確認して設計に反映させています。

なお、打ち込み時に鋼管杭の支持層への到達を確認することとしていることから、当初設計の杭長で支持層に達しない場合は不足分の鋼管杭を適切な方法で溶接することにより延長して支持層まで打ち込むこととしています。

また、施工時に支持層が浅く出現した場合には、支持層に杭として必要な長さを打ち込んだ上で、必要に応じて杭を切断することとしています。

2  宮古港海岸鍬ヶ崎地区における防潮堤の構造について

当地区における防潮堤の構造については、上記の説明会において、標準的な断面や杭式の直立堤を採用した理由、プレキャスト製品を採用した理由等について御説明したところ です。

御指摘の扶壁(かすがい的斜め壁)は一つの手法でありますが、当地区で採用している逆T型の構造は一般的に用いられている構造の一つであります。今回採用した工法は、(100年前から)定められた基準に基づいた構造計算を行っており、津波によって作用する荷重に耐えられる設計となっています。

3  今後の対応について

平成 26 年 11 月4日に宮古市役所大ホールで開催した説明会において求められた地質調査結果については、説明会の際には提供について検討すると回答したところでありますが、 平成 27 年2月 19 日に地質縦断図を貴会に御提供したところです。

鍬ヶ崎地区の防潮堤計画については、平成 26 年 11 月 4 日に開催した説明会において防潮堤の構造等について御説明し、「1日でも早く防潮堤を整備してほしい」という御意見を頂戴するなど概ねの御理解をいただいているところです。

今後も県では、事業の進捗に応じて広く皆さまに情報提供を行い、さらに御理解を深めていただくよう努めながら、事業の進捗を図っていきます。 

以上



知事「回答書」の解説ならびに反論 

「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」

全般的な事は冒頭に述べてあるので以下はとりあえず事実問題から入る。


 1  宮古港海岸鍬ヶ崎地区における地質調査について 
当地区における地質調査については、平成 26 年 11 月4日に宮古市役所大ホールにおいて開催した説明会において調査地点を示しており、震災前の既往調査結果の活用について御説明したところです。
東日本大震災津波においては広域的な地盤沈下が発生したところですが、局所的な著しい沈下や隆起は確認されていないため、既往調査における土層構成の変状は極めて小さいと考えられること、また、調査も同様の手法であることから、既往調査結果については設計に反映させる情報として有効と判断しています。
 地盤沈下 垂直に1m内外の地盤沈下があった事は事実だが基準水平から1m内外の落差は無視は出来るという。また地盤は水平方向(東側)にも移動した事について宮古土木センターでは「何もかも地表のものは全体的に動いたので」問題はないと幼稚に答えていた。いずれも責任官庁のなんの根拠もない無責任発言。見た目も明確な地盤沈下については追認調査も検証もしていない事が明白になった。地元はどのくらいの地殻変動だったのか? 局地的な移動やひずみがなかったか? はいまだに深刻な疑問のまま。昔の防潮堤のための調査データ(「既往調査結果」)もルートから外れてていても大した事がないから有効といっている。根拠のない判断である。

当事業では、概ね 100m間隔の地質調査を踏まえた設計により工事の発注を行っているところですが、基礎となる鋼管杭の打ち込み前に追加調査を概ね 50m間隔で実施し、支持層をさらに確認して設計に反映させています。
それこそ平成 26 年 11 月4日の説明会においてきっぱり「調査終了」を宣言し、下図のような刷り物を配布したのではなかったですか?
ルール違反 50m間隔で追加調査をしているとは初めて知った。調査間隔の粗雑さを指摘されてから、あるいは、工事が始まってから、という事に口を拭っているのはルール違反である。説明会でも勉強会でも説明はなかったものである。追加調査のボーリングの日時、場所、理由、経緯を至急明らかにするべきである。
 

図は「宮古港地質調査について」
(宮古土木センター資料より作成)2014.11.4
震災前後あわせて約100m間隔という調査地点のポイント図

 
 なお、打ち込み時に鋼管杭の支持層への到達を確認することとしていることから、当初設計の杭長で支持層に達しない場合は不足分の鋼管杭を適切な方法で溶接することにより延長して支持層まで打ち込むこととしています。 また、施工時に支持層が浅く出現した場合には、支持層に杭として必要な長さを打ち込んだ上で、必要に応じて杭を切断することとしています。

ボーリング調査から鋼管杭打ち込み優先へ 「なお」ではない、ついに本音が出てきたと言わざるを得ない。(「地質調査なんか当てにしていない」という本音?)鋼管杭は岩盤に到達しなければ到達するまで溶接しながら継ぎ足していく、やってみて岩盤が浅い場合は必要なところで切断する、という。これは鍬ヶ崎防潮堤の基礎工事の世界がこれまでの説明と全く別のものである事を言っているのだ。あまりにも「あたりまえ」ありきたりな工法である。プレキャスト工法ではなく原始工法を頼りだしたというわけである。最初から防潮堤基礎工事の説明をし直さなければならない事態である。ボーリング調査をそっちのけにして手探りで地層調査をするという事である。逆転の方法で、鋼管杭を打ちながら岩盤の存在とそのかたさを調べていくという訳である。鋼管杭を打ち終わってから初めて鍬ヶ崎宮古港海岸部の地層が分かるという事になる。…それならそれで、どのような地層分類法で進めるのか、どのように鋼管杭の位置が決まり、かたさ(stability)が得られるのか明確にするべきである。単純な結果論ではない。結果オーライな結果論を容認するなら恐ろしくてそのような防潮堤を容認出来ない、というのが私たちの立場である。どっちの方法にせよ足場の不安な鋼管杭を信頼する事は出来ないのだ。

定まらない5年越しのボーリング調査 当初説明はこうであった。鋼管杭を地下8mから40mの支持層(岩盤等)へ打ち込みその横バネで上部防潮堤を下から支える。そのためにボーリングによる地質調査を厳密にして鋼管杭の長さだけでなく太さも一本一本異なる鋼管杭になる。その先きはかたい支持層に埋め込んで固定する。(後に鋼管杭の太さは一律直径80cmと訂正)埋め込む深さも鋼管杭の直径と同じ80センチと説明していたが、その説明はウソであったのか? 本当は打ち込み優先の行き当たりばったり工法だったのか? 説明はウソであった。今は打ち込み優先で進捗している…

予備知識がなかった岩手県 結論的なことを言えば、工法が決まらないほどこの土地の地層が複雑で、ボーリング調査では不可能、打ち込み優先でも結果を得られず、支持層の把握はますます絶望的な状態である事を示している。しかし元を正せば岩手県に元々3D的立体地層調査のニーズと意欲があったのか疑わしいということだ。プレキャスト工法で4本足鋼管杭基礎であれば「既往調査結果は有効」などの寝言は言えない事は子供でも分かる事なのだ。それと、一般に岩手県沿岸の特に海岸線の隆起、陥没の複雑な岩盤地層の地学的蓄積が岩手県庁の書類棚にない事である。外観的にも宮古港海岸の岩盤地層は北方からの、また陸地側からの急峻な土地構造に連なっており、岩盤が切り立って海に落ち込んでいく岩層を想像できなければおかしいのに、岩手県はそのための準備を何もしていない。ユニット巾 6 m、逆T字底版奥行き 7 m、用地巾10mを無視する事は許されないことだ。その範囲で海底岩盤地層は大きく上下している…

私たちの再要望はこうである (1)50m間隔の追加地点を速やかに公開すること (2)鍬ヶ崎「その1地区」120mの鋼管杭の打ち込み状態の公開 (3)鍬ヶ崎「その1地区」120mの詳細縦横断地層図の公開



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(参考)鍬ヶ崎防潮堤ユニット図 

 

註 1)鍬ヶ崎防潮堤の建設予定場所は江戸時代(元文年間1736~)から明治、大正、昭和、平成とつづく沿岸埋め立て工事の海側への歴史的到達地帯であり、直近では埋め立てのために上町、仲町にあった大島、小島、そして日立浜前浜の巨大岩礁を爆破してならしたという記録がある。清水川、小山の沢の扇状地も広く、太古から閉伊川からの堆積砂・堆積泥の層も厚く押し寄せている。より古い埋め立て地の礫石や砂利、鉄筋コンクリートの残滓などの堆積も重なってここ一帯は相当に複雑な地下地層である事を覚悟するべきである。予定敷地内には8m以下のかなり浅い岩盤も広く横たわっていると思われる。


 註2)2014.5.29 には、日立浜町前浜でボーリング調査中に作業員の痛ましい死亡事故が起きた。事故は防潮堤建設に伴う岩手県発注の船揚場の沖出し予定地の地質調査中の出来事で、上記複雑な埋め立て地の地層に安易に調査用やぐらを組ませた発注者岩手県の重大なミスであると言わざるを得ない。



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