すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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島根原発2号機の新基準適合性審査について中国電力が説明会

2013年12月04日 | 日記

 米子市の全日空ホテルで中国電力が「島根原発2号機 新規性基準への適合性確認申請」についての説明会を開かれたので参加させていただきました。2号機の再稼働に向けて、これまでどんな対策を取ってきたか地元自治体に向けて説明するものです。中電側の出席者は常務取締役兼島根原子力本部長、島根原子力発電所所長、島根原子力本部副本部長兼鳥取支社長、副本部長らで、中電の原子力管理の主要メンバーが全員揃った感じです。

まず原子力本部長は「7月8日に新しい法律が施行されました。適合性の確認を受ける必要があります。様々な安全対策をしてきたし、シビルアクシデント対策をしてきました。その法律の基いて申請の準備が整ったので、安全協定に基いて報告をさせていただきました。その事前報告について、本日、説明をさせていただきますが、今後、普段の安全対策を進めるとともに、丁寧に説明をさせていただきたいと存じます」などと話されました。

 

 具体的な説明は長谷川副本部長からお聞きしました。以下はその概要です。

 原子力規制委員会の資料を引用して、まず新基準を説明させていただきます。福島第一原子力発電所は、地震により外部電力が喪失、津波で内部電源(発電機、蓄電池、配電盤)が喪失、水素爆発しました。原子炉と使用済み核燃料は常に冷却しなければなりませんが、それができなくなったわけです。それが事故の原因で、ここから学ばなければなりません。

 新基準では安全機能が一斉に消失しないような対策を強化、シビアアクシデント対策、テロ対策を講ずることになりました。今回の申請は、設置変更許可(原子炉の基本設定)、工事計画許可(詳細設計)、保安規定認可(運転管理)の3つです。安全協定では設置変更許可だけが対象ですが、あとふたつも連携しているので、合わせて説明いたします。

 島根原子力発電所ですが、1号機については可動から39年で、40年を超えるとより厳しい基準が適用されることもあって、現在、どうするか検討中です。2号機は申請書の作成が整ったところで、今日、説明させていただきます。3号機は工事はほぼ完成し、新基準対応の工事などをしています。おって可動の申請をすることになると思います。

  設計変更の基礎となる想定です。地震の評価は、3キロ離れた地点にある宍道断層(長さ24キロ)、海底の3つの断層の連動での地震を想定しました。されに14箇所で震源が未定の地震があるので、こちらも調査しています。鳥取県西部地震の解析をもしている。1000メートルのボーリングで地下構造も解析しています。これにもとづいて、対策を講じています。

 津波評価は、海抜9.2メートルの想定を9.5メートルに変更した。ですが、対策は15メートルでしています。1.5キロにわたって高さ15メートルの防波壁を設置しました。建物は水密扉に変更しました。引き波はマイナス7.2メートルを想定。海水シャフトを伸ばし、マイナス8.32メートルまで海水が汲める対応ができるようにしました。火山評価、竜巻評価もしました。竜巻は最大69m/秒で評価しましたが、問題はありませんでした。火災溢水対策を強化した。海水ポンプは地上面に2メートルの防水壁を設置して、溢水に対応しています。

  シビルアクシデント対策は、高圧注水機能を強化するために代替注水ポンプを設置したほか、注水管の多重化を図った。逃がし安全弁駆動用の蓄電池を新設、駆動用の窒素ガスボンベも設置した。熱交換器はトラックに積んだ代替機を準備した。パスル式の水位計も設置して監視機能を強化した。格納容器内への注水配管の敷設工事を実施して多重化したほか、気密性を維持するため、窒素ガスを注入するための可搬式窒素の供給装置を設けた。送水車で冷却できるよう配管をした。フィルタ付きベントを平成26年上期までに設置する。地下式で4基設けて除去率は99.9%。水素爆発の防止対策として、ブローアウトパネルに加え、水素を酸素と触媒で再結合させて水蒸気にする装置を18基設置した。格納容器が破損した場合、発電所外に放射性物質の拡散を抑制するため、放水銃とポンプ車を配備し、取水槽制水設備も配備した。原子炉へ注水する淡水を確保するため、貯水槽の耐震補強工事を実施し、非常用ろ過水タンクを設置した。代替電源確保のため、高圧発電車やガスタービン発電機を配備し、蓄電池(バッテリー)を強化した。緊急時対策所としての機能を有する免震重要棟を設置するほか、オフサイトセンターや各自治体、警備機関などとの情報通信ネットワーク設備を配備した。

 質疑応答も致しました。以下は主な内容です。

Q 地下水対策として地下構造の調査はしたのか、対策は、具体的な知見が得られるまで申請は控えるべきでは。 

A 地下水の存在は確認しているところで、効果的な地下水対策を検討している。国の方針は原則に取り除く、放射性物質は地下水に近づけないということなので、その方針でやっている。事故が発生しても、原子炉建屋の中で受けるタンクを設けているので、そこに留まり、建屋の外には出ないように確認していくようにしている。

Q 基準地震動の評価はこれでいいのか

A 福島の5号機、6号機は驚くほど被害が少ない。国の基準に照らしても問題はない。

Q 宍道断層の評価はそれでほんとにいいのか

A 宍道断層は平成24年9月の意見聴取会において、当時の原子力保安院より「とっとり沖の断層と連動を考えることはない」という評価をいただいている。

Q 緊急車両を配備しても、福島原発のように道路が損傷すれば使えないのでは

A 重大事故時の道路損傷に対しては、ホイルローダーなどを設置、緊急時の補修が可能になる。福島は津波被害が大きかったが、防潮壁があるので、福島のようにはならない。

フィルタ付きベントは、半減期の長い物理的性質であるセシウムを取ることが大事。希ガスは沈着の可能性はなく、一時的な対策で対応できる。

Q 立地自治体と隣接自治体でなぜ違いがあるんでしょうか。

A 原子力対策基本法で、3月15日に立地自治体と同様の対応をさせていただきますと回答した。現状、立地自治体と同様の対応をさせていただきますとお願いしたい

Q 原子力安全対策費はどれくらいなんですか。それは電気料金に跳ね返ってくるんでしょうか。

A 平成24年は289億円の赤字で、原発が動かないともっと赤字になる。安全対策費は1000億円以上かかっているが、増分の燃料費として1200億円かかっている。

Q 原子力発電なくてやっていく想定はされたことはないのだろうか

A 石油火力は半分以上が古い発電所。島根原子力発電所3号機稼働を前提に設備投資をしてこなかったので、綱渡りのような状態。余裕電力は7~9%しかない。

Q 安全協定は立地自治体並ということは、鳥取県が同意しなければ可動は待って頂けるんでしょうね。

A 皆様のご理解を得るように真摯にやっていきたい。

 質問に対する回答は私には納得できるものでは到底ありませんでした。これだけ福島原発では地下水汚染が問題になっているにもかかわらず、地下水汚染対策の説明は全くなされず、質問すると、現在調査をやっていますということ回答でした。だったら、調査が終わるまで申請は待つべきで、なぜ、そんなに急ぐのかとお聞きしましたが、満足のいく説明はいただけませんでした。地元自治体同様の対応をしたいと話されながら、「鳥取県が同意しなかったら、再稼働しないんですね」という質問が出ると、ここも明確な返答はなく、不満の残る説明会でした。

コメント (2)
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