エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

始まったハクチョウの北帰行

2008-02-17 | 自然観察
【猪苗代湖 笹山】


【冷たい風に向かって勢揃いするコハクチョウ】


昨日の信濃毎日新聞の「今日の一枚」タイトルは「コハクチョウの北帰行始まる 安曇野」だ。

安曇野市田沢の犀川には白鳥湖という湖があるそうだ。夏の広い犀川の河原へは何度か行ったことがあるが、アルプスを背にハクチョウの季節もいいものだろうと想像した。コハクチョウの北帰行は、例年こんなに早かったろうか。もうそんなに早く帰ってしまうのかと思いつつ、急に白鳥に会いたくなった。

 大雪注意報がでているが、朝、雲に隠れていた磐梯山も昼近くになり晴れてきた。思い立てば、すぐに別世界が広がる幸せを思っている。猪苗代湖まで約10分、ときどき地吹雪の雪道を笹山の浜へ直行した。



手袋を忘れてしまった。零下5度、北からの厳しい風がでシャターを切る手は数分でかじかみ、感覚がなくなってしまった。しばらくこんな経験はなかった。
厳寒の湖畔に30分ほどいたが、山頂付近に雲がかかっり、瞬く間に視界がなってしまった。これから積もりそうな予感がした。
いつも水鳥たちとの別れはせつない。まだ全部が飛び立つまでには間がある。もう何度かは愛おしい水鳥たちに会いに行きたいと思っている。


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愛おしい水鳥たち   (2004/3.4福島民報)
 
猪苗代湖の崎川浜に水鳥を訪ねた。しばらくぶりだったが、大自然のすべてが昔のままだった。遙かに真白な磐梯はどこまでも麗しく、対岸の雪の山並みが紺碧の湖水に低く浮かんでいた。
 神々しく聳える磐梯を背に、数羽の白鳥が湖水に舞い降りた。湖水、水辺、雪の原に数百羽のオナガガモが鳴き交い、つぶらな瞳で何かを訴えるように私を見つめた。寒気に包まれる冬の使者たちを見つめながら、愛しく切ない感動がこみ上げてきた。なぜにこんなにもこころ動かされるのだろうか。
 どう生きたらよいか訪ねる私に、大自然は答え癒してくれるようだった。水鳥たちが何の邪心もない純粋な清らかなこころで、一人たたずむ私を励ましてくれるように思えた。
厳しい寒さももう少しだ。ほどなく北へ帰る白鳥たちの叫びがいっそういとおしく厳寒の静寂に響いた。いつまでもなごりが惜しく、再会を願い湖水をあとにした。