エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

静かな時の流れを求めて

2008-02-28 | 日々の生活
              【気づけば夕闇迫る】



明日で平成20年2月も終わる。月日の流れの何と速いことか。
何か辛いとき、沈みがちなとき、一人になりたくて図書館へ行ことがある。
今日も夕方、思い立って大学図書館へ行った。

 図書館の大きな全面ガラス張りの窓越しに、雪をかぶった植え込みが見える。今日もチラチラ雪が舞っていた。同じ庭を、何度同じこころで眺めたことか。ぼんやりと目に映る自然に目をやりこころを見つめる。そんな時間がとても有難かった。
 いつもこんな生活ではいけないと思うとき、一人になり気持ちを整理してみる。

 指定席のようにソファーに座り、何冊かの本をみる。書籍に目を通し、ときどき広い窓越しに小さい雪の庭を眺める。そんなひとときがあまりに貴い。

 今日も、目に映る文字、写真から、いろいろな思いを巡らすことができた。
 約2時間、気づけば表は夕闇が迫り、硝子窓に部屋の照明が明るく映っていた。

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 文藝春秋3月号〈読書メモ〉
○ 書道家・武田双雲は言う。「感謝 感性 感動」この態度を志すことこそ、人類の普遍的な価値を示す日本人のスピリットだと。
○ 歌人・岡野弘彦のエッセイ「父子墓と没後の門人」にこころ動かされた。
 同居していた愛弟子、能登出身の藤井春洋は太平洋戦争の末期に応召して金沢で入隊したが、この時覚悟のあった折口は急いで春洋の養子縁組の届けを出した。
 春洋の部隊は硫黄島に送られ、洞窟の中で全滅し、春洋は還ってこなかった。
折口信夫の子を思う歌
 「きさらぎの はつかの空の 月ふかし また生きて子はたたかふらむか 」
折口は春洋の故郷の能登一ノ宮に父子の墓を建た。その碑文に
「もっとも苦しき たたかひに 最もくるしみ 死にたる
むかしの陸軍中尉 折口春洋 ならびにその 父信夫の墓」 とある。
○ 芥川賞受賞作、川上未映子の「乳と卵」 少し読みかじったが、好みでない。選評は各人各様だったが、石原慎太郎に共感?、読むのを止めた。

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