列島強靭化論

2011年06月20日 | 活動報告

先週、京都大学大学院工学研究科・都市社会工学 藤井聡教授の震災復興に関する政策勉強会に参加してまいりました。

その一つのテーマである東日本復活5年計画の概要

1.東日本復活5年計画  「東日本大震災」は、被災地への直接被害に加えて、日本経済全体にも大きな経済被害をもたらしている。
「復興計画」は、この両面に対処すべき。

☆ヴィジョン=ふるさと再生(この明確化が不可欠。現政府の議論はこの点が不明瞭。)

・東日本は、日本のふるさとの象徴
・「ふるさと」は、人々の暮らしの有機的連携であり、「暮らし」の中心には人々の「生業(なりわい)」がある。
・だから地域の「生業」の再生が、復興事業の中心に
・「奇をてらった新ヴィジョン」ではなく、地域の思いに十分に配慮した、ごく普通の復旧・復興(インフラ復旧→実情に即した復興プランを策定)を=「まち・田園の復旧」をベースとしつつ、可能な「改善」を=「復興まちづくり」    

<理由:1.迅速な対応 2.不測事態発生リスク回避 3.合意・納得形成の容易性>
(*専門家の助言を参考にして現地の高台活用・堤防強化等を導入しつつ、地域全体でまちづくりを推進)

☆アプローチ=就労支援型の復興事業
まずは、地域産業の徹底的支援(補助・融資)それでも生じる「被災失業者」の雇用を復興事業(ソフト+ハード)を中心に創出。

☆体制=東日本ふるさと再生機構の設置(特別な法律に基づく機構)
広域的・長期的な復旧・復興事業を柔軟に遂行。雇用を被災地内外に提供。
出資=政府、および民間企業  職員=多様な機関から出向 ・政府・自治体の中にも、復興専属部署を設け、連携を図る

*留意点「お金を集めるのが難しいから、復旧・復興事業の規模を縮小するしかない。。。」となってしまうようなことは全力で回避すべし。
要するに、こういう「急場は」、「借りる事」=「国債発行」を基本に。

さらに、阪神淡路大震災の復興対策の教訓を忘れてはならないことを述べておられました。
デフレ化で阪神淡路大震災が起こり、歳出が増加。その対策を含めて、公共事業を大幅削減(1997年)、同時に、消費税を3%から5%に増税(1997年)。その結果、日本は未曾有のデフレに突入した。今回も「増税+公共投資削減」を行い、「震災による需要の縮減を放置」すれば、毎年毎年、数十兆円もの被害が生することは目に見えている。

したがって、需要を創出できない民間に変わって、政府が「公共投資」を行って、景気を下支えすることが必要。今は、増税も、公共事業削減も絶対ダメ。少子高齢化対策のための増税が必要だとしても、それは、景気回復を待ってからにしないととんでもないことになると指摘しています。「積極財政」をして最終的に「財政再建」は可能かという疑問には、可能というよりも、むしろそれが最も効果的な財政再建策と述べられています。さらには、日本の過去2000年に東日本太平洋側にてM8以上の地震が4回あったが、いずれもその前後10年以内に首都直下型地震が起きているそうです。以上教授の講義を聞かせていただき強く思うことは、対策を誤れば日本経済の大打撃になることはもちろん、日本の存亡の危機に繋がる危機意識を持たなければなりません。その状況の中、国会は、いまだに政局に奔走して国民の不信を増長させ続けている姿は、誠に見苦しい限りです。一刻も早くヴィジョンを示し具体的政策を実行することを望みます。