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失敗の本質

2005年10月21日 | 読書ノート
失敗の本質―日本軍の組織論的研究

中央公論社

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  オリジナルは1984年の出版だが,この本が文庫になったの世にでたのは,1991年のこと。ちょうどバブルが弾けた頃だったので,文庫になってはじめて読んだとき,それまで,モテハヤサレテイタ日本的経営の失敗の本質を言い当てているようでもあり,そんなことを重ねてあわせて考えて,この本の内容にいたく感心した覚えがある。

 失敗の本質の要旨は,「日露戦争という過去の成功体験に過剰反応した結果,日本軍は失敗を回避できなかった。」ということにあり,「日本的経営という過去の成功体験に過剰反応した結果,株式会社ニッポンはバブルの崩壊を回避できなかった。」と読み替え感心したわけである。

 原著から約20年の歳月を経て,その原著者らによって,このほど『戦略の本質』なる本が上梓された。いま,読み始めたところであるが,果たして,失われた15年に有効な処方箋を提供できているのだろうか。冒頭に,ロートルにばかりまかせず,若い世代も一緒に考えてほしいとメッセージがあるので,解決策は我々への宿題ということで結ばれているのかもしれないが・・・。

 


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2 コメント

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同感です (toru_moon)
2005-10-29 13:00:43
 半藤一利の『ノモンハンの夏』では、中央の統制の利かない現場の暴走が良く描かれていました。辻政信の暴走です。

 一方、『踊る大捜査線に学ぶ組織論』では、むしろ、現場の情報が伝わらない中央への苛立ちと表現されていますが、ノモンハンはその逆で、現場が勝手な判断で暴走し、無為な犠牲を払うということへの教訓になっています。



 アンビバレンスな失敗の教訓を、どう生かすのかは、今に生きる我々の宿題ですが、そんな人(辻政信)を国会議員に当選させない、良識は持ちたいような気がします。



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同じ本読まれてたんですね (Guestです)
2005-10-28 17:48:20
僕も大昔読みました。近代戦争は大量の人と物量を動員するだけに,マネジメントの巧拙がすごく分かりやすい形で結果に出ますよね。ノモンハンやミッドウェイの教訓はそれぞれ別の側面をもち興味深いのですが,やっぱレイテ海戦の問題,なぜ中央と現場が戦略目標を共有できなかったのかというのは,現代的課題として大きいですね。

岩波新書の最新刊は吉田茂の評伝で,さっそく読んで見ましたが,その中での日本の戦争マネジメントの拙さについての指摘がありました。ナチ・ドイツでの軍需大臣シュペーアの例がこうした事例ではどうしても比較されますが,成功体験より,過去の失敗に何を学ぶかということは大きい課題ですね。
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