たとえば災害や事故という予測を超えた不条理な運命。
一見、まったくの偶然のように見えるのだが、理不尽をどのうに受け止め、立ち向かっていくかは人それぞれである。
重い病を宣告された時、諦観をもって身をゆだねる人もいるだろうし、とことん病魔と闘う決意をする人もいるだろう。
その対処の仕方そのもに、その人がまさに、その人でしかあり得ぬリアルティ、つまり「宿命」が立ち現れるのである。
「運命」は偶然に支配されるが、「宿命」は実に豊かな必然だ。
そう考えることによって、われわれに訪れる不条理を「自分らしさ」を発現させる契機と捉え直していくことができるのではないだろうか。
作家の個人全集を通読すると、一人の人間の一生を行き直したような不思議な感動に襲われる。
その作家がどのような言葉で自分の「宿命」を問い続けたのか、という関心が、私のその後の文学研究の出発点になったように思う―東京大学 安藤 宏 教授
宿命は生まれる前から決まっているものなので、変えることのできないもの。
運命は人間の意志によって幸、不幸を左右することはできないが、巡り合わせによるものなので、日頃の行いや選択の積み重ねにより、結果として変わるものである。
宿命と運命はどちらも自分の意志に関わらずやってくる避けて通れないものという意味です。
宿命とは自分の意志に関わらずやってきて、避けて通れないもののうち、生まれる前に決まるものを指します。
そして、生まれる前に決まってしまうため、まったく変えることはできませんし、避けて通ることはできません。
ちなみに、宿命の「宿」は「前世からの」という意味を表します。
しかし、宿命が生まれる前に決まるのに対して、運命は生まれた後に決まります。
そして、宿命の例としてはやがて死ぬこと、家族や貧富などの生まれた時の環境、身長や顔など身体の特徴、運動神経などの才能などがあります。
つまり、生まれてからの努力で変えるのが難しいものを宿命と言うわけです。
また、みなさんの中には性格は変えられると思っている方も多いと思いますが、性格はある程度遺伝によって決まっていて、大きく変えることは難しいので、これも宿命と言えるでしょう。