ジーコ寅の「鹿島アントラーズよ永遠に」

昨年四月まであった、ジーコ寅の「名曲探偵アントラーズ倶楽部」に続いて開設したブログです。音楽部門は今回はやめました。

ショパン  「マズルカ 第47番 イ短調 作品67-4」

2012-04-05 22:25:58 | 日記
 全部は見なかったが、なでしこジャパンが、ブラジルを4-1で破って、キリンチャレンジカップ2011に優勝した。正直言って

4-1の完勝という結果は少々驚きだ。出だしの頃はブラジルのパスワークはレベルが高く、ボールへの寄せの早さ、足元に激し

く来るサッカーに苦戦しそうに思ったが、1-1の同点になった後、持ち前の粘りと集中力で3点取ってしまった。


 ちゃんと見ていなかったので言う資格はないが、なでしこの細かいパスワークを使っての崩しと精神力は、やはり女子サッカー

では世界をリードし始めているということになるのだと思う。ワールドカップでスペインのパスワークを使ったサッカーと、なで

しこを比較したら、サッカーに本当に詳しい人は怒るかもしれないが、なでしこのスタイルは女子現代サッカーのスタイルとして

は、先端を行っていると言えるのではないか?


 とにかく相手が主導権を握っている時も、あわてず騒がずじっと耐え、小柄ながらもでかい女をふっとばして、ここぞという時

には必ず決める底力には驚きという他はない。「サムライジャパン」という言葉は、なでしこにふさわしいものになってしまっ

た。アントラーズに比べるのも変だが、例えば有効な縦パスがズバッと入るようなシーンは、なでしこの方がはるかに多い。

男子と女子のサッカーは違うと言ってしまえばそれまでだが、試合全体の流れを読む力や、精神的なタフネスさでも、日本代表を

はじめとして、男子のサッカー選手も学ぶべきものは多いと思う。











 マズルカは、ショパンが祖国ポーランドの農民色の強い舞曲のマズルカを、ピアノ独奏用に高度に芸術的に洗練させた音楽と

言ってよい。マズルカはもともとマゾフシェ地方の四分の三拍子の舞曲で、1600年頃には農民ばかりでなく、次第に一般市民

や上流階級のあいだでも踊られるようになったという。その後、ロシア、ドイツ、イギリス、フランスなどでも社交的な踊りと

してもてはやされた。ショパンのマズルカにも、ポーランドの民族主義の土着性と、洗練されたサロンの精神の混合が見られる。

 
マズルカは三拍子だがアクセントの置き方が独特で、第二拍や第三拍にアクセントを置いたり、第二拍と第三拍に同時にアクセ

ントを置くことを交替に行うなど、非常に独特なアクセント感覚を持っていて、演奏にはマズルカに関する知識と、演奏家独自の

柔軟な即興性がないといい演奏にはならないと言う。ショパン独特の高貴な詩的精神もふんだんに盛り込まれているので、ピアニ

ストの資質や才能があらわになる作品だと思う。

 
 永遠のスタンダードともいえるルービンシュタインのマズルカと、哲学的なエロチシズムにあふれたアファナシエフの演奏が

素晴らしい。この両方の解釈を許すマズルカという作品は素晴らしい。彼の練習曲集や前奏曲集とは性格が全く違うと思う。

 第47番のイ短調のマズルカは、1864年の作品だが、ショパンの死後に遺作として発表された作品で、非常に美しくかつ

官能的な作品だ。CDではやはりルービンシュタインとアファナシエフの両極的な演奏がどちらも素晴らしい。アファナシエフ

はマズルカについて、「マズルカは着色された思考である。それは困難な諸問題に近接しつつも、無意識の最奥の秘密を探りなが

ら踊るのだ」と述べている。