これが回天でござった。
実物を見るのは初めてでござったのだ。
黒い筒というか、拙者にはまさに鉄の棺桶に見えたのでござる。
乗り込むスペースもこの中にあるということで、素面もあったので見たのでござるが、まさに棺桶サイズのものでござる。
その人の乗る容積より少々小さいのが爆発をする炸薬の入っているところでござった。
何ともいえぬものでござるな。
ご近所に、その生き残りと言われる方が今もご健在でござるが、そのお歳となるとご存命の方はそうそう居られるものでもなかろうと存ずるのでござる。
その方には不名誉な噂も聞いたことがござったが、この回天を見て、その噂はおそらく全くの嘘の噂でござろうと感じた次第でござる。
この中へ乗り込んで一旦発進すれば、その先に人生はないのでござる。
狭い潜水艦の中で暮らして、「いざ敵艦発見」となれば母艦である潜水艦からこの狭い回天の操縦スペースへもぐりこみ、とめてあるバンドが外れれば発進となるのでござる。
一旦発進すれば、絶対に生還は無いのでござるな。
ただ、長い間海水に使っているものでござるからして、時たまバンドが外れずに発進が出来ないことがあったということでござる。
件のお方はその事のように思われるところでござる。
この大和ミュージアムには、戦艦大和の30分の1の模型の他、ゼロ戦の最新型というものや、この回天、砲弾の実物大模型(本物であれば恐ろしくて近寄れぬ)などとともに、遺書の類も多数展示されていたのでござる。
ここで、当時の科学の粋やそこでの兵士となった人達の感性の一端などを感じたところでござる。
そしていくつか感じさせられたのでござるな。
その一つは、これだけの日本の科学で作り上げたものが今では世界の常識的科学というのか、、それがあって初めて今成り立っているものがあるのだという事でござる。
例えば、大和の球状船首でござる。
これは、波によるエネルギーの損失を8%あまり改善するという事で、今では漁船から超大型タンカーなどまでこれになっているのでござる。
もう一つは、「戦争とは破壊と殺戮でござる」と思う感がなお強くなったことでござる。
これだけのものが破壊されて海の藻屑となるだけではなく、そこにいる人間はほとんどが死なねばならぬのでござる。
それも映画の中のようにそこそこ綺麗に死ぬのではなく、カエルを叩き潰したり踏みつけたりしたように死なねばならぬのでござる。
道端で大型車に引かれてつぶれた狸やイタチのような姿なのでござろう。
それともう一つは、遺書でござる。
特攻という死に望んで、あれだけきっちりと遺書を書けるその精神状態は拙者には想像を超えるものでござる。
拙者など、「嫌だぁやぁ!止めてくでぇ!死にたくにゃー!うぎょー!」などとわめき倒すのでござろうな。
そう考えると、今の永田町にとぐろをまく「おっさん」「おばはん」がた、戦死された方たちがあって今の平和があるなんて事を嘘で言わずに、心からそう思うなら、今の日本を何とかして頂戴でござる。
拙者達貧乏人が何の憂いも無く生活できるようにして欲しいのでござる。
決して贅沢な生活をさせろなどというつもりはござらぬ。
明日に安心して暮らしたいのでござる。
と愚痴ったところで、明日の心だ!
実物を見るのは初めてでござったのだ。
黒い筒というか、拙者にはまさに鉄の棺桶に見えたのでござる。
乗り込むスペースもこの中にあるということで、素面もあったので見たのでござるが、まさに棺桶サイズのものでござる。
その人の乗る容積より少々小さいのが爆発をする炸薬の入っているところでござった。
何ともいえぬものでござるな。
ご近所に、その生き残りと言われる方が今もご健在でござるが、そのお歳となるとご存命の方はそうそう居られるものでもなかろうと存ずるのでござる。
その方には不名誉な噂も聞いたことがござったが、この回天を見て、その噂はおそらく全くの嘘の噂でござろうと感じた次第でござる。
この中へ乗り込んで一旦発進すれば、その先に人生はないのでござる。
狭い潜水艦の中で暮らして、「いざ敵艦発見」となれば母艦である潜水艦からこの狭い回天の操縦スペースへもぐりこみ、とめてあるバンドが外れれば発進となるのでござる。
一旦発進すれば、絶対に生還は無いのでござるな。
ただ、長い間海水に使っているものでござるからして、時たまバンドが外れずに発進が出来ないことがあったということでござる。
件のお方はその事のように思われるところでござる。
この大和ミュージアムには、戦艦大和の30分の1の模型の他、ゼロ戦の最新型というものや、この回天、砲弾の実物大模型(本物であれば恐ろしくて近寄れぬ)などとともに、遺書の類も多数展示されていたのでござる。
ここで、当時の科学の粋やそこでの兵士となった人達の感性の一端などを感じたところでござる。
そしていくつか感じさせられたのでござるな。
その一つは、これだけの日本の科学で作り上げたものが今では世界の常識的科学というのか、、それがあって初めて今成り立っているものがあるのだという事でござる。
例えば、大和の球状船首でござる。
これは、波によるエネルギーの損失を8%あまり改善するという事で、今では漁船から超大型タンカーなどまでこれになっているのでござる。
もう一つは、「戦争とは破壊と殺戮でござる」と思う感がなお強くなったことでござる。
これだけのものが破壊されて海の藻屑となるだけではなく、そこにいる人間はほとんどが死なねばならぬのでござる。
それも映画の中のようにそこそこ綺麗に死ぬのではなく、カエルを叩き潰したり踏みつけたりしたように死なねばならぬのでござる。
道端で大型車に引かれてつぶれた狸やイタチのような姿なのでござろう。
それともう一つは、遺書でござる。
特攻という死に望んで、あれだけきっちりと遺書を書けるその精神状態は拙者には想像を超えるものでござる。
拙者など、「嫌だぁやぁ!止めてくでぇ!死にたくにゃー!うぎょー!」などとわめき倒すのでござろうな。
そう考えると、今の永田町にとぐろをまく「おっさん」「おばはん」がた、戦死された方たちがあって今の平和があるなんて事を嘘で言わずに、心からそう思うなら、今の日本を何とかして頂戴でござる。
拙者達貧乏人が何の憂いも無く生活できるようにして欲しいのでござる。
決して贅沢な生活をさせろなどというつもりはござらぬ。
明日に安心して暮らしたいのでござる。
と愚痴ったところで、明日の心だ!
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