昼下がりの少し眠気が襲う頃
そろそろ届く、母さんの好きな花かご
あなたの趣味を思いながら子どもの頃を思い出したよ
ワガママだった僕はずいぶん手がかかる子どもだったろう
母さん、あるときはとても気弱で寝込むこともあったね
姉さんと二人で、布団に横になっているあなたを案じた
家族を養うプレッシャーがどれほどかなんて知ることなく
愛情をいつも求めていたその重さに気づかない子供の特権
あのひ、僕はちっぽけな我が家の庭で椅子にすわって
あなたがさばくハサミの奏でる音に聴き入っていた
なんの不安も抱かず、なんの苦労もせずに
このままいつか大人になるのだろうと無神経に思ってた
リズミカルに、ラララ、時計は幸せを差して止まってた
今遠い異国にいる僕はふるさとの大地を踏めないけれど
スイッチひとつであなたの声や表情を知ることができる
それは味気ないコミュニケーションかもしれない、でも
ゼロコンマ数秒の遅れならその絆に影響なんかないよね
あのさ、ありふれた言葉だけど「げんきかい?」
あのころよりも少ししわがれたあなたの声が聞きたい
いま僕はあの頃のあなたの年齢を大きくこえて
あなたの年齢の半分をとっくに割ったんだ
近づいてるようで、決して追いつくことはない、それが親子
母さん、いま僕は子供を持って、いわゆる親になって
あのころのあなたの気持ちが少しだけわかるようになったかな
大切なものを懸命に守ってきた気苦労を理解してるかな?
少しずつ、少しずつ、あなたの大きさに気づいてきたかなあ?
思い出アルバムは二階の物置部屋に散らかしたままだよね
記憶という思い出を胸の中にフルカラーですべて持ってます
らら、ららら、らら、ららら
るる、るるる、るる、るるる