巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
【連絡先】
cosgyshow@gmail.com

昨日よりも今日、今日よりも明日

2016-12-10 23:35:25 | 
燃え尽きていく炎のように
君の希望の灯火は日々勢いを失うけど
夢を決して諦めず戦い続ける君は勇者
僕は君の傍でいつも君の成功を祈る

でも愚かな僕は考えてしまうんだ
いつの日か君が総てを諦めたなら
僕はどんな言葉を掛ければいい
エールを送ることすら許されない
総てを失い、総てを受け容れた君に

生とはかくも残酷なものだ
誰もが夢見たヒーローにはなれない
それでも強く生きよ、と説く先生方
あなたの瞳は淀み、生の色をしていない
結局は誰も生と死など語る資格はないんだ

僕は少ない人生経験で妄想に耽る
夢破れた夜、涙に明け暮れる君に
君は生きているから涙を流すんだと
生とは何かを考えるヒントを捧げよう

この世では夢を叶えた勝ち組の人々が
負け組の僕達を心の中でせせら笑う
僕はその口惜しさをグッと堪え
今僕にできることが何かを考える

人生の目標、それは
今日を精一杯生きること
明日を精一杯生きること
自分に関わる総てに対し全力で打ち込むこと

夢に向かって全力で走った君は
夢を叶えた誰かよりもきっと輝いている
昨日よりも今日、今日よりも明日の自分が
誰と比較する訳でもなく輝いていると信じたい

永遠旅人

2016-12-10 18:08:11 | 
僕は無から有を創り出す旅人
一万光年の彼方に僕の幸せはあるのだろうか
僕は本当の自分を探し求めながら
街に雪を降らせ、寒風を吹き付ける
僕は誰、何故旅をし、何かを生み出すの

僕は長い旅の途中で君を待ちながら
白い息を吐き、行き交う人々を眺めてる
街はスローモーション、平和の象徴
こんな日は長くは続かないというのに

ショーケースに子供達が群がっている
所狭しと並ぶクリスマスプレゼント
店内に流れる音楽は愛と平和を訴え
そのハーモニーにひと時耳を傾けてみる

ねえ、君達。僕は思わず声をかける
頭上の赤いサインがいつまでも灯るといいね
垂れ下がった雪の結晶はゆらゆらと揺れ
家路に着く人達にサヨナラをしている

こんな時は淹れたての珈琲が美味しい
喉に滲みる独得の苦味と香り立つフレーバーが
僕の過剰に敏感な感覚を麻痺させて
実際にはあるはずのない永遠の時を演出する

実は僕にはもうあまり時間がない
生活費を稼ぐための仕事を捌くことも
この旨い珈琲を待つ行列に並ぶことも
何処かの誰かの為に哀しい詩を綴ることも
君とともに儚い夢を語り合う時間すらも

すべてが大切なことだとわかっているのに
無駄なものとしてゴミ箱に処理しなければ
その瞬間、僕が僕でなくなってしまう
壊れた古時計は永遠に時を刻まない
僕も動かし続けてきた秒針をじきに止め
永遠の休息にこの身を委ねるだろう

心の在り処

2016-12-10 15:43:07 | 
極地から遠く、遠く離れて
僕達は現在に今帰ってきた
すべての夢と希望を置き去りに
時間という概念だけを持ち帰る

無駄に多いだけの君が集めたコスメ
悪趣味だな、自然のままがいい
僕を優先するのなら無垢なままで
飾る必要など、どこにもないだろ

心の奥深く、見つめて今すぐに
複製したような薄っぺらい感情じゃなく
誰かを大切に想う、数え切れない粒子
同情でも、共感でも、愛情でもない
この伝えきれない切ない想いは何だろう

誰かが奏でるシンフォニー
心に沁み入る音と音の調和
誰かを想うシンパシー
同情でなく、心からの共鳴

僕は自分の心の在り処を何処までも探す

たとえば僕が君を愛するのなら
そんなことは決してないけれど
どんな逆風にも立ち向かってやるさ
何が自分を駆り立てるのか解らぬままに

非対称な二人

2016-12-10 13:30:00 | 

果てなく照らし出す夜明けの光が
身勝手な二人の姿を優しく包み込む
すれ違い生きてきた強がりばかりの二人
いずれ重なり合うなんて誰が一体信じよう

君が僕に向ける鋭い視線は
冷たい木枯らしのようだった
僕が君に向ける冷めた視線は
冬枯れした木々のようだった

感じ合う、ただそれだけのことが
何故かできなかったあの頃
素直になれなかった、お互いに
僕には君しか、君には僕しか
守り、頼るべき者はいなかったのに

君はもう強がらなくていいよ
僕もすべてを曝け出すから
傷口を舐めるように慰め合いたい
僕らの心が非対称だったとしても
もう振り向かない、視線を逸らさない

僕らには縁のない情熱という言葉
今なら当てはまるような気がする
君とともに創る人生のイメージ
いずれこうなる運命だと今気付いたから

贖罪

2016-12-10 11:52:27 | 
黄昏
滲んだ地平線の彼方に僕がいる
僕は傷付いた君を守りたい
狂気の沙汰で懊悩する君
今君の味方になれるのは僕だけだ

窓の外に聳え立つ摩天楼
僕は君の生き様を否定しない
スマートに生きていたはずの君も
そんな無粋な一面を見せるんだね

君が犯してしまった罪は
君自身が贖罪すべきことだ
社会を揺るがす赦し難き蛮行に
誰もが憤慨を隠せずにいる

暮色
ピカピカに磨き上げたその笑顔は
醜く歪み、角膜の奥には憎悪の影
本当に辛いのは君だということを
社会に流されない僕だけが知っている

秘密主義の僕の行動は
誰に悟られるものでもない
こだわりのカレンダーに書き込む
星空に舞う星屑を拾っては
空白のページにそれを移すのだ

静かに黄昏行く夕闇の中で
君を救い出せるのは僕だけだ
背中に重く背負った重圧と責任を
僕なら切り離すことができる
君はそれ以上苦しまなくていいよ
世の晒し者になる理由など君にはないから