”玲瓏”管理人のつぶやき

"玲瓏:羽生善治(棋士)データベース"管理人たいがーの独り言(HP更新情報含む)

兵どもが夢の跡  

2007年09月28日 | 羽生善治
 第48期王位戦(三社連合・日本将棋連盟主催)七番勝負はフルセット、第7局は最終盤まで形勢不明の大熱戦の末、挑戦者深浦康市八段が悲願の初タイトルを獲得した。渡辺竜王以来の新タイトル保持者となった深浦新王位を祝福したい。

 深浦新王位は準タイトル戦であり今年をもって終了した棋戦である朝日オープン選手権で第21回のタイトル保持者になったこともある実力者で、プロ棋士の中ではいつ七大タイトルの保持者になっても不思議とはされず、むしろ今回初タイトルということに少々の驚きをもたれる、折り紙つきの実力者である。

 その深浦挑戦者をむかえうつ羽生三冠は言わずと知れた棋界のスーパースターであり、この二人の過去の対戦成績から激戦必至と戦前から予想された。

 結果は羽生王位失冠。羽生前王位は次のように対局後感想を述べられた。

 「7七桂(105手目)がうまい手で、これが詰めろ逃れの詰めろになってしまいました。中盤、しのぎに回ったあたりも、つらいような気がしていました。結果は残念ですが、力を尽くしたので、仕方がないというところです。」

 常日頃から勝敗決めるだけならじゃんけんでいい、勝敗よりプロセスを重視したいと語る羽生さん。そのプロセスにおいて自分の出せるものを出し切った清々しさがあった。何より将棋ファンを最終盤までどきどきはらはらさせ、将棋ペンクラブで話題賞を受賞した渡辺明ブログで竜王は「最終盤の攻防は白眉。記者の方々はこの膨大な変化をまとめるのは大変だが、しっかりと取材して頂くことを期待したい」と述べているくらいプロ棋士をも唸らせる戦いだったのだ。

 玲瓏管理人としては、羽生さんの対局結果をいち早く反映することを心がけているが、しかしながら敗退の結果をなかなか受け容れられず更新を滞らせることもある。それでも、今回タイトル失冠というマイナスの結果を、そのプロセスにおいて受けた感動というプラスの要因が上回り、将棋の奥深さを改めて気づかされ、いつもどおり速攻の反映を何の躊躇もなく行うことができた。

 今更ながら羽生さんの将棋は面白い。皆が気づいてこなかった引出しをタイトル戦という大きな舞台に臆すことなく開けてくれる。勝負ごとに勝敗結果は重要だ。しかしそれ以上に珠玉のプロセスにファンは感動するのだ。
 

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