発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

映画「運び屋」 「ダメ、ゼッタイ」な荷物

2019年03月08日 | 映画
◆映画「運び屋」試写会。2月26日、Tジョイ博多

 クリント・イーストウッド様が、麻薬運送業を開業するお話。
 アメリカでは、90(主人公アールの年齢。演じてるクリント・イーストウッド様は御年88)歳でも、日本のように車に高齢ステッカーはつけないのね。
 家庭を顧みずに花き栽培農園を経営してた爺さんが、商品をネット流通に乗せることができなかったため、農園をつぶしてしまう。娘の結婚式もすっぽかしといて今さら家族に頼ろうとて冷たくされるだけ。残ったのはポンコツのピックアッブトラック。途方に暮れていたとこで、エルパソのタイヤショップからシカゴまで「あるものを運んでもらうだけ」というお仕事に乗ってしまうのだ。

 報酬に爺さんびっくり。荷物はヤバい麻薬だったのだ。で、そのギャラで、壊れそうなポンコツカー(いきなり往路で故障したらどうするのよ、とハラハラさせられた)は、すぐに黒くてピカピカのリンカーンのピックアップに変わった。ビックアップは、この辺ではあまり見ないし、走ってても大概トヨタハイラックス。でも、高級車ブランドのピックアッブは、アメリカじゃ普通に走ってるみたい。
 エルパソはテキサス州のメキシコ国境の町で、スペイン語っぽい地名が示す通り、もともとはメキシコだったところだ。そこから東北にずんずん進み、ミシガン湖に当たればイリノイ州シカゴ。地図で見ると鹿児島〜稚内くらいなのか。結構な距離である。
 とてつもない末端価格のブツを輸送するのだから、報酬も半端なく、2回目の仕事で家と農園の抵当をはずした。それから、火災に遭った退役軍人サロンの再建資金を出して解散から救い、孫の学費を出した。
 もうそのあたりで十分でしょう、お金の問題はほぼ解決したでしょう、と思うのだが、爺さんは運び屋を続ける。電波が届かないところで車をパンクさせた家族を助け、麻薬犬をやりすごし、監視についた麻薬組織の若者に絶品ポークサンドをごちそうし、荷物チェックしようとしたおまわりさんに「これうまいぞっ」とキャラメルコーンを渡し、顔色ひとつ変えずにヤバい橋を渡りながら、まだまだ続けるのだ。そのうち、麻薬の大量輸送をしている「タタ(アール爺さんのコードネーム。スペイン語でパパって意味)」の存在に麻薬取締局が気づく。
 麻薬取締局の権限は強大である。何せ特殊部隊を持ってる。さあどうなるのか。それとも組織にハチの巣にされてしまうのか? どうやってこの話を終わらせるのか? 映画館で楽しい大陸ドライブと、スリル満点手に汗握る運び屋稼業を体感しませう。

 アール爺さん、家庭人としてはいい加減で、経営者も失格なのだが、運転は無事故無違反、その他の逮捕歴もない、社会的には善良な市民なのだから当局もノーマーク。失うものもないし、老い先短い。だから組織にスカウトされたんだろう。この映画をみた上で「ダメ、ゼッタイ」な運送業をやってみる蛮勇のある方はいらっしゃらないでしょうね。


 ある意味ハッピーエンドなんですよこの話。


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