発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

はるか宇宙の海往かば、にまつわるエトセトラ

2015年07月21日 | 日記
◆組曲「惑星」

 ホルストの「惑星」は中学校のときにレコードを買った。平原綾香が歌詞をつけて歌ってヒットしたのですっかり有名な「木星」第4主題は、そのころは、テレビの洋画劇場のエンディングに使われていた。また「木星」の冒頭と最後のところは、テレビ「オレたちひょうきん族」のなかの「ひょうきんニュース」で使われていた。
1曲目は「火星 戦争をもたらす者」である。
 この曲は、大編成のオーケストラで演奏される。福岡にきて、アクロス福岡シンフォニーホールで、九州交響楽団の「火星」を、はじめてライブで聞いた。

◆5拍子脳内アレンジャー

 ダダダダンダンダダダン、「火星」冒頭のダダダは1拍3連符で4分の5拍子を刻むこの曲。同じ5拍子でも、ジャズの「テイク・ファイヴ」ツタンタタンツータッとはかなり印象が違うよね。あと5拍子といえば、ラロ・シフリンの「スパイ大作戦」または「ミッション・インポッシブル」のテーマ曲。
 同じ5拍子ということで「火星」第1主題を、「スパイ大作戦」のリズムに乗せると、やっぱりサスペンス調になる。「テイク・ファイヴ」に乗せると、かなり軽快になる。ぜひジャズ演奏していただきたい。で、「テイク・ファイヴ」が「火星」のリズムに乗るかというと、かなり難しそうな感じがする。「スパイ大作戦」は、全然別の曲になってしまう。

◆そして「海往かば」についての素人の勝手な解釈

 成立年代を知らないで聞くと、「火星」の作曲者が「海往かば」の旋律を入れたと思うかも知れないけど、ホルストの「火星」の成立から20年以上を経て「海往かば」の作曲は、1937年。作曲者の信時潔は、ヨーロッパにも行ってるし、レコードも聞いてないわけないから、たぶん意図して「海往かば」に「火星」の旋律をちょっぴり織り込んだに違いないと私は思ってる。
 ちょっぴり織り込んだのである。偶然じゃないと思ってる。
 パクリじゃないよ。
 たとえば「パッヘルベルのカノン」のコード進行が踏襲されている曲はあまたある。スタンダードナンバーと化している長渕剛の「乾杯」1980年は、ロッド・スチュアートの「SAILING」1975年に近い。クイーンの「キラー・クイーン」は、おフランスの香りを織り込むために「オー・シャンゼリゼ」を示唆する旋律が入ってると、アルバムの解説書にも書いてあったことだし。
 1937年、NHKから嘱託されたその曲「海往かば」が、その後どういう扱いをされるのか、信時潔は予測していたのか。それを音楽関係者、音楽愛好家にはわかるように「火星」の旋律を織り込んだのではないか。美しい「海往かば」は「戦争をもたらす者」から派生している、と。
 それから8年間、日本は戦争に明け暮れることとなる。
 

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