発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

しづこころなく花の散る

2019年04月07日 | 日記
 桜が散る。
久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ
 
 と、呟いたところ、メロディーが乗っかってきた。昔のサントリーワインのテレビコマーシャルで、与謝野晶子の歌に五輪真弓が曲をつけてた、その曲が、紀友則にピタっと合う。

柔肌の熱き思いにふれもみでさびしからずや道を説く君

 カタブツの先生だか先輩だかに片恋してる女の子の歌。どうも綺麗だったり可愛かったりしても太刀打ちできそうにない手ごわい相手らしい。恋が才能に磨きを掛けることもある。動機が不純? そんな言葉に騙されてはいけない。


 フィツジェラルドの短編に『冬の夢』というのがあって、少年が高嶺の花の先物買い的な美少女に一目ぼれ、その瞬間から上昇志向になり、一念発起して仕事を成功させ、彼女と再会するが、の「が」なお話。いわゆるひとつのアメリカンドリームの一類型であると思われる。『グレート・ギャツビー』ほど極端な悲劇じゃない、もっとありそうな。
 かくも恋の成就は難しい。


  今日は寄るところがあるので、これで失礼するわ。
  どこに?
  ちょっと横恋慕に。
  
 高校1年かせいぜい2年の彼女はスキップするように図書館を後にする。見送るあの子はヨコレンボが漢字変換できてないねきっと。試験に出ない語彙だから仕方ないわ。

 できれば横恋慕はティーンズのうちに済ませておくように。荒井由実の「待ちぶせ」がドロドロしてないのは、登場人物が中高生だから。成人するとスト-カーである。見よい大人になるために。 

 
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