発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

永遠の0

2013年12月21日 | 映画
 永遠の0、試写会。都久志会館。
◆12月はじめ、クリスマスイルミネーションがきらきら輝く、博多駅博多口広場の片隅に零式戦闘機が登場した。タイムスリップしたのではなく、映画の撮影に使われたものが展示されたのである。平和と繁栄の象徴のような博多駅前の電飾の中に置かれた小さなプロペラ機の姿は、戦争を忘却することへの警鐘ともみてとれた。
◆戦争映画であり、ホームドラマである。進路に悩む弟と、ライターの姉さんが、お祖母さんが亡くなったときに、残されたお祖父さんは実のお祖父さんではなく、お祖母さんは再婚で、自分たちの母親の父である実のお祖父さんは特攻で戦死していたことを知る。彼らのお母さんは、母親に戦死した父のことを聞いたことがあるが、笑うだけで答えてくれなかったと言う。(いまの)お祖父さんは「私も知りたい。調べてもらえないだろうか」と言う。それで、きょうだいは、特攻で亡くなったお祖父さんのことを調べはじめるのだが……まず彼らが聞いたのは「海軍一の臆病者」という、罵りに近いことば。そういう話を何回か聞いた上で、会った老人に、祖父は臆病者だったんでしょうと言うと、老人は激昂する。「帰りなさい! お前に話すことは何もない!!」どうなってんの?である。さて、彼らがたどりついた真実とは???
◆21世紀と戦時中を行ったり来たりしながら物語は進む。
◆どういうわけで感動を呼ぶのかなんて、ここには書けませんよ。映画を観るか、本を読むか(まだ読んでないけど)してください。
◆亡くなった祖父の戦争時代のときのことを聞く映画といえば「真夏のオリオン」があった。潜水艦艦長の話。もちろんあの時代のことで、人間魚雷を搭載しているのだが「もったいないでしょう」と言って、出撃を許さない。誰に対しても丁寧語を話す、穏やかな軍人を、玉木宏が演じていた。実在の人物にモデルがいるが、この人は戦争から帰ってきて、天寿をまっとうした。
◆まったく同じ人物がもし天才パイロットで、しかも結婚していて子供もいたら、という話だな「永遠の0」は、と思った。
◆しかし、とうに亡くなった人であるので、謎が多い。
◆いくつかのループを描いて、物語は原点、0に還ってくる。ああ、そうだったのかと。
◆帰って来るということはどういうことだったのか。このお話はファンタジーではなく、そういう話は本当にたくさんあったのか。
◆ともかくおすすめの映画です。2時間20分あまりが、あっと言う間でした。
コメント (1)
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