発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

震災半年

2011年09月12日 | 日記
 終日、資料集め。
 絶版本をネットで探し、発注する。

 石巻には、一度だけ行ったことがある。
 友人の結婚式で仙台に行き、ひとりでもう一泊して、仙台市博物館に行った。それから仙石線に乗り、石巻の海辺に、再現されたばかりの南蛮船サン・ファン・バウティスタ号を見学に行ったのだ。支倉常長の乗った慶長使節船である。その場所にできた石巻の博物館は、津波で休業、まだ再開していないそうだ。

 震災から半年経ってみれば、生活自体は、それ以前とほとんど変わらない@福岡。まあ、もともと簡素にして質素な生活ぶりである。
 変わったことは、以前よりもさらに節電節水節ガスに気をつけていることと、お米の値段が地味に高くなったこと。それくらいで。
3月、地震、津波から原発爆発の映像を見てて、地球が滅亡するかもしれないと本気で思ったのだけど、そんなことで死ぬのはいやだと、つまり自分は死にたくないのだとはっきり知ったのは収穫だった。

 原子力発電については、
「……無理」
 という言葉がジャストフィットだという結論に達した。今後人為ミスや想定外の天災が起きない保証は何もないのだが、仮にどう安全に運用されたとて、年間500トン出る高レベル放射性廃棄物の処理方法が決まっていないのだ。
 原子力発電所を現状維持して年間500トン。誰がどこで引き受けてくれるというのだ。この事実は、事故が起きても起きなくても変わっていない。
 それでも大丈夫、地球温暖化を防ぐ原発をすすめよう、といってるから何かまだ大丈夫な根拠があるのかなあ、と思っていたら、全然大丈夫じゃなかったということがわかってしまったのだ。
 少しずつやめていくしかあるまい。続けたい人は誰か私を説得して下さい。
 そのせいで、企業の生産性が落ちるとしても、それが本来の姿なのだ。
 まだ燃料が日本に入ってくるうちに、発電衛星なり地熱発電なり超伝導なりの技術が進展すれば、と切望している。
 原子力はちっともコストが安くないことがバレバレになってしまったのだから、それぞれの新技術の最大の課題だったコスト的ハードルはうんと低くなってるはずだし。
 ただ、いまだに原発は収束などしていない。作業は続いている。チェルノブイリのリクヴィダートルたちのことで心を痛めていたが、それがそのまま日本のこととなってしまったのだ。現在進行形で。そのおかげでここで平穏な生活を送れているに過ぎないのだ。

 それでもまだ、最悪ではない。
 もっと「悪い」最悪がある。

 ○○について賠償を。
 そんなニュースを見るにつけ、そんなもので償いになるのか、という気持ちと、ところで財源はどこから持ってくるのよ、という気持ちが同時に発生する。
 税金も電気代も物価も上がるだろう。つまり、東電と国家のために余分に働かないといけなくなって、それで全国民は相対的にビンボーに甘んじることになるのである。食べて行ける限り、文句をいうつもりはないけど、甘い汁を吸ってた人たちは、それを放出しないと、承知しないよ。
 
コメント
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