deep-forest

いつだって感じる
アナタとワタシの距離は
近いようで遠いようで
でもそれが大事で大切な
アナタとワタシの距離

君の額にピストルを突きつけよう9‐3

2010年01月12日 03時29分46秒 | 物語系



「どうなってんだよ…。」
『これが、私の【黒い石】の能力だよ。【黒い石】がなくても、誰かに能力を与えることができるの。でも万人に適応される能力じゃなかったんだ。適合者には能力を与えられ、不適合者には死んだあと…、私の言いなりになるの。止める術は二つしかないよ。友達を殺すか、私を殺すか。』
「こんなのっ…て。」
『ホントはね、万人に適応する能力だったの。でも、私のところから【黒い石】が消えて。どこにあるのか探してたら、偶然君が持ってた。』
「そんな…。じゃあ俺がもらった【黒い石】って。」
『そ、私の石だよ。返してほしいんだけど、君に馴染んじゃって取れなくなってるから。まさかあのオジサンが勝手に持ち出して君にあげてるなんて思いもしなかった。気付いた時には、君は能力者になっちゃってるし。君が死んでくれたら、友達も元に戻せるけど、どうしよっか。』
「俺は…。」

俺が死ねば、リュウジは安らかな眠りにつける。でも彼女に能力が戻り、事の顛末は良くない方向に進むのが目に見えていた。
「俺は…。」
その時頭に鈍い痛みが走る。
「…って!ちっくしょ…。なんでだよ。なんでお前までここにいるんだよ、タケオ。」
『その子も、不適合者だった。君の友達だから、素質があるかと思ってたけど。やっぱり関係ないんだよね。どうする?二人を救うためには、私を殺すか、自分を殺すかだよ。』

「…俺は。自分を殺さないし、君も殺さない。それでも二人を、救う。」
『アハ、アハハハハハ。無理だよ。ホント君って面白いね。こんな状況でも、冗談が言えるなんて。』
「冗談なんかじゃないよ。」
彼女は笑うのを止めた。
「タケオ、リュウジ。思い出してくれ。セット。」
頭の中で引き金を引く音が聞こえる。

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