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いつだって感じる
アナタとワタシの距離は
近いようで遠いようで
でもそれが大事で大切な
アナタとワタシの距離

天国行きのチケット‐第五部‐5

2008年12月31日 19時45分59秒 | 物語系
二人はハモるように一字一句ズレることなく話始めた。『お疲れ様でした。あなたの心の中のシコりとして存在していた未練も、懺悔とも言える二人に対しての気持ちと共に綺麗に無くなりました。これからあなたは天国に旅立ちます。そのためには来世であなたの根本となる思いを一つだけ持って行けます。どのような思いを持っていきますか?』

私は涙を拭き、扉の前まで行った。扉に手をあて『来世では、家族と向き合える人間でありたい。』二人は『その思い、承りました。それでは逝ってらっしゃいませ。』と言って、私に頭を深々と下げた。今度は、今度こそは、もっと笑顔の溢れる家族を築きたい。もっと向き合って話をたくさんしたい。私は扉を開け、眩いばかりの光に包まれ、同化し、生まれ変わるために静かに消えていった。


‐天国行きのチケット 完‐

天国行きのチケット‐第五部‐4

2008年12月31日 15時02分57秒 | 物語系
二人の泣いている声が聞こえる。段々と声のボリュームは上がり、私の周りを囲うように響いてくる。とても悲しくて辛い声。二人に会いたい…、会いたい…、会いたい!私の息は荒くなり体は後ろに向きかけた。胸ぐらあたりをギュッと握り締める。その時だった、何か紙のようなものを一緒に握った感触があった。三人で写っている笑顔の写真だ。

私は写真を手に取り、何も見えないのに写真に向かって涙を流しながら何度も謝った。『ごめんね、ごめんね。二人を残して先に逝ってしまって。ごめんね、ごめんね。』その直後不意に写真が輝き出した。写真はどんどんと輝きを増し、闇を払った。私は辺りを見回した。霞みがかった柔らかい光に包まれ、白い床の上に私はいた。前の方に目をやると、白い扉の前に男の子と女の子がいた。


天国行きのチケット‐第五部‐3

2008年12月31日 01時56分58秒 | 物語系
あれからどれくらい時間が経ったのだろうか。【先無しであり後無しである道】に入った時、タヌキの顔をした眠そうな男にロウソクを一本渡され、炎が風でなびく方へ進めと言われた。しかし進んでも進んでも出口は見つからない。小さかった不安がいつの間にか大きくなり、私は来た道を戻ろうとした。が、その時、強い風が吹き、ロウソクの火が消えてしまった。

真っ暗な闇の中で私は動けないでいた。どこが前で、どこが後ろなのかも分からなかった。今度は自分を視覚で確認できない本当の闇。私の後ろと言えば良いのだろうか。微かに声が聞こえてくる。どこかで聞き覚えのある声だ。私は残っていた虹色の果実を手探りで見つけ、かじった。とても苦い味がして意識を失いそうになるも、何とか踏み止どまり、耳を傾けた。あの声は、妻と息子の声だ。


VIVA 仕事納め

2008年12月31日 01時19分51秒 | 仕事系
日付変わっちゃってなんですが、今年は30日まで仕事やったんすよね~。ホンマしんどかった。

んでもって17:30から忘年会。センターパレスの4Fにあるカニが食えるところに行ったような行ってないような。

20:30過ぎに二次会へ。大門のスナックっすわ~。んで帰ってきたらこの時間と…。やっと仕事終わってホッとしております。

ただね~…、行きたかったイベントに行けなかった。四日市で友達今日やってたらしいんすけどね。会いたかった…。

まぁでもそのうちまた会えるだろうからと、湿気たスナック菓子のように切ない思いを適当に流していたり。

会いたい人に程、会えないもんですかね

天国行きのチケット‐第五部‐2

2008年12月30日 15時35分32秒 | 物語系
『長居をさせてしまったね。【先無しであり後無しである道】はあそこのドアから行くと良い。』オウズがそう言うと、右の奥に白い扉が現われた。私が席を立つと、霧で出来たテーブルとイスは静かに消え、コーヒーカップはプカプカと宙に浮き、オウズがいる机までゆっくり飛んでいった。私はその場でオウズに礼を言い、扉の前で頭を下げて、【先無しであり後無しである道】へと進んでいった。

とても薄暗い明かりが上の方から差している。蛍のような光る虫が空間中を飛んでいる。ついては消え、ついては消え。私は虫達に導かれるように歩いていく。突然虫達は一斉に光を消した。と同時に、湿った強い風が吹いた。左手にロウソクを、右手で鈴を鳴らしながら、タヌキの顔をした眠そうな男が近付いてくる。『駄目だよ、闇の虫が飛び回ってるのに迂闊に歩いてちゃ。闇の虫は光る雌が人の心に隙を作って雄が記憶を食べてしまうんだ。』タヌキの顔をした眠そうな男はそう言いながらロウソクを私に渡してきた。『はい、これ持って。闇の虫はこのロウソクの火に弱いから。鈴も貸してあげたいんだけど、僕が自分の身を守る術をなくしちゃうんでね。ふぁ~…、じゃあ気をつけて。』タヌキの顔をした眠そうな男は欠伸をしながら私を見送ってくれた。


天国行きのチケット‐第五部‐

2008年12月30日 12時27分44秒 | 物語系
『…まぁ、リラックスしてくれと言っても少々無理があるか。』オウズはやや下を向きながら私に話しかける。『今から君は天国に行ってもらうのだが、天国に行くためには通らなければならない道があるのだよ。【先無しであり後無しである道】と呼ばれる処なんだが…。』オウズはそのあとの言葉を言うことにためらっていた。沈黙が二人のいる空間を冷たく重たくしていく。

『私に言えることはきっとこれだけかもしれない。君に未練がまだ残っていれば、振り返ればいい。しかし君に未練がなく天国へ行くことを望んでいるのなら、何があっても前に進んでほしい。』二人の間に沈黙が居座る。


完成~!

2008年12月29日 21時01分25秒 | 物語系
たった今【天国行きのチケット】書き終えました。いや~、疲れた(笑)最後尻すぼみになってへんかな~。なってたらすみません。

睡眠時間も削り~の、ケータイの充電も消耗しまくり~の、やるべきことそっち置いとき~の、で、トツギーノ(ドーン!)

嫁げるもんなら嫁いでみんしゃーい!誰がだよ(笑)若干風邪治ってないんで頭がおかしくなってます。

【天国行きのチケット・最終部】、明日・明後日でアップします。見てくれている人はもう少しのお付き合いを。見ていない人は是非見てみて下さると有り難いです。

天国行きのチケット‐第四部‐4

2008年12月29日 20時31分40秒 | 物語系
『さて今度は私が君に質問をさせてもらおうか。質問と言っても確認事項のようなものだから、身構えないで答えてもらいたい。一つ目は天国へ行くためのチケットを持っていたら私に見せてくれないか。』私はオウズに言われ、写真を渡した。『うむ、皆良い顔で写っているな。ありがとう。次にさっきの質問の返答をしておいてどうなのかとは思うが、現世に行きたいか?家族に会いたくないか?』私は断った。オウズは『それを聞いて安心した。』と言っていたが、その言葉を言った直後オウズはとても真面目な顔で『最後は…、これは質問でも確認事項でもなく、君がこれから天国へ行くために言っておかなければならないとても重要な事だ。心して聞いてほしい。』私の体は硬直気味になったまま話を聞いていた。


‐第四部 完‐

天国行きのチケット‐第四部‐3

2008年12月29日 12時27分52秒 | 物語系
私は最初戸惑ったが、ネズミの顔をした運転手に質問した内容と同じことを、今度はオウズに質問した。オウズは黙り込んだ後『最初の質問は確か、現世に行きたいかどうかということだったね。その質問をされた時にもし現世へ行きたいと言っていたら、君は二度とこちらには帰ってこれなくなっているのだよ。君の事を覚えている人間の命が終わるまで彷徨い続けなければならない。その後は地獄に行くことになっている。天国へ未練を持っていくのは重罪なことなのでね。』私は心底、あの時自分を信じて良かったと思った。

オウズは少し間を置いて再び質問の返答をした。『箱のことだったか。君は気付いているかどうかは分からないが、今は無くなっているだろう?暗くなっていく通路で箱は小さくなり、此所に入ってくる時の光で最後は消滅してしまうのだよ。』私がオウズに言われて箱が無くなっているのを確認している時にオウズは微笑んでいた。『最後の質問は特別許可証だったか。もう君には関係ないかもしれないが、此所の空間に入ってきてもなお、箱が無くなっていない者にだけ発行するものなんだ。現世に行ってちゃんと未練を断ち切るためにね。』


天国行きのチケット‐第四部‐2

2008年12月28日 20時59分19秒 | 物語系
フクロウの顔をした老人は書類を書き終えペンを置き、私の方を見ながら話しかけてきた。『すまなかったね。随分と不測の事態が重なって全てが後手に後手になってしまった。寿命などで自然死した者は最初から案内役として付き人がいるのだが、君のように事故などで此所に来た者達は訳も分からず名無しの停留所で、一旦此所に来るまでの手続きをしなければならないのだよ。このシステムをいい加減見直してくれと上層部に言っているのだが…。』私が呆然と話を聞いていると、フクロウの顔をした老人は『あー、すまなかった。自己紹介がまだだったね。私の名前は【セプテンバー・オウズ】。気軽にオウズと読んでもらってかまわない。此所で再審判員をしている者だ。主に君のような事故死者の行き先を決めている。今から私がいくつか質問しようと思うのだが、その前に君からいくつか質問に答えようと思う。どうするかね?』


天国行きのチケット‐第四部‐

2008年12月28日 10時40分02秒 | 物語系
あまりにも眩しい光だったので、私はしばらくの間目を開けることが出来なかった。目が開けられない間、他からいくつか情報が少しづつ察知できた。耳から入ってくるのはクラシックのような音楽が、匂ってくるのは…コーヒーだろうか。

『いや、すまないね。暗い場所がいきなり明るい場所になったもんだから、目を開けられない状態にしてしまって。もうそろそろ慣れてきたんではないか?目を開けて、こちらに来てコーヒーでも飲んでくれ。』落ち着いた老人のような声で言われるまま、私は恐る恐る目を開けた。

ぼやけた視界で私は辺りを見回した。ここに入った時の室内とよく似た造りになっている空間。クラシックのような音楽はやや小さいぐらいで心地よく流れ、霧で出来たテーブルとイスが目の前に備えられている。その少し奥に目をやると、大きな体をした、フクロウの顔をした老人が書類を書いていた。『さ、冷めない内にそこに座ってコーヒーでも飲んでいてくれ。話をするのはこの書類が終わってからにしようか。』


あれ?

2008年12月27日 21時32分15秒 | 物語系
天国行きのチケットが終わらない…。頭の中に住んでいるどっかの誰かさんが半端にストーリーを妄想させるもんだから、あやふやな内容が出てくる出てくる(笑)

でも、霞みを掴むようなもので、頭の中に拵えたストーリーを120%に伝えられないもどかしさ。正直…、ツラいっすね~。

あ、若干喉が痛かったり、気を抜いたら視界がぼやける程度なんで、壊れたかと思わないで下さいね。

天国行きのチケット、もう少しだけお付き合い下さい。年内には終わらせるつもりなので

天国行きのチケット‐第三部‐4

2008年12月27日 19時53分32秒 | 物語系
私は奥へ進んでいる時、この道はまるで人生のようだと思った。暗い場所から扉を開き、明るく広い室内の奥へと進めば進む程光は徐々に失われ、暗いところへ還っていく。まるで私が歩んできた人生そのものだ。暗くなっていくこの道は、私の考えまで暗くしていった。

周りから光が無くなり、完全な暗闇の中に私はいた。しかしなぜか、私は私自身を確認出来た。普通暗闇の中にいると、自分の手さえも視覚でとらえることが出来ないのに、私は全身を確認出来ている。不意に暗闇の中で小さな穴が空いた。そこからは光が漏れている。恐る恐るその穴に手を伸ばしてみた。触れるか触れないかぐらいで、穴は急に大きくなり、私は眩しい光に包まれた。


‐第三部 完‐

天国行きのチケット‐第三部‐3

2008年12月27日 12時29分16秒 | 物語系
『さ、着きましたよ。荷物はワタクシが持っていきますから、降りて門の前で待っていて下さい。』そう言うとネズミの顔をした運転手は急くように降りてハッチを開けに行った。私は言われた通り門の前に行き、上の方に目をやる。何メートルあるのだろうか。門の上部は真っ暗な空間の中に溶け込んでいるみたいな感じだった。『あ、入り口はここですよ。』声のする方へ目をやると、2m程の扉が門の一部についている。ネズミの顔をした運転手は『C-7-7866です。扉を開けて下さい。』と言うと、扉はゆっくりと開き始めた。さっきのは名前のようなものだろうか。

扉の中を進むと中世ヨーロッパの城の内部を連想させる造りだった。床には一直線に1m程の幅で朱色の絨毯が、ずっと奥まで続いている。ネズミの顔をした運転手は入り口で立ち止まり『ここから先はお一人で行っていただかなくてはいけません。しばらく進むと徐々に光は無くなりますが、臆せずお進み下さい。あ、箱は持って行って下さいね。それでは失礼します。』そう言ってネズミの顔をした運転手は箱を置いて出ていった。