二人はハモるように一字一句ズレることなく話始めた。『お疲れ様でした。あなたの心の中のシコりとして存在していた未練も、懺悔とも言える二人に対しての気持ちと共に綺麗に無くなりました。これからあなたは天国に旅立ちます。そのためには来世であなたの根本となる思いを一つだけ持って行けます。どのような思いを持っていきますか?』
私は涙を拭き、扉の前まで行った。扉に手をあて『来世では、家族と向き合える人間でありたい。』二人は『その思い、承りました。それでは逝ってらっしゃいませ。』と言って、私に頭を深々と下げた。今度は、今度こそは、もっと笑顔の溢れる家族を築きたい。もっと向き合って話をたくさんしたい。私は扉を開け、眩いばかりの光に包まれ、同化し、生まれ変わるために静かに消えていった。
‐天国行きのチケット 完‐