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いよいよ秋めく気候に、部屋を開け放ち
ゆっくりと時を過ごしたかったのだが、
どうしても、天神に出かけなければなら
ない用事ができた。
普段は、甚平か、浴衣に兵児帯で、町内
をうろつく私なのだが、さすがに九州一
の繁華街天神まで出かける勇気は無い。
仕方なく、半袖の柄シャツにスラックス
といういでたちでバスに乗った。
朝夕は確かに秋となったが、日なかはそ
うもいかない、早々に地下街へ降りた。
賑やかなことこの上ない。
さすがに九州一の人の寄りである。
何処の地下街もそうであるが、これだけ
の地下空間が出来上がるのも、建築工学
の発展の賜物である。
何人がその事に気付いているのだろう⁈
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そう思っている矢先に、待ち合い広場の
フレスコが目にとまった。
パリの街並みが描いてある。
地下街は、まさにパリのパサージュだ。
パリのガイドブックには、必ずパサージ
ュが紹介されている。
冬場は零下になるパリでは、ここが人々
の集いの場であり、憩いの場であった。
パサージュの女王と言われるギャルリー
・ヴィヴィエンヌは1826年に完成され
ているし、パサージュ・デ・パノラマは
1800年の完成である。
以来、200年間パサージュはパリの誇り
として愛されて来た。
天神の地下街は、贔屓目ではなく良く出
来た地下空間だと思う。
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この子たちは当然のように、生まれた時
から、ここを往来する。
これから世紀を超えて、ここを守って行
くのが、この子たちの努めなのだろう。
〈愉しやな 地下の街でも 秋めいて〉
放浪子 季語・秋めく(秋)
8月27日〔日〕晴れ
今日も、愉しかった。
不本意ながら、街に出たのも良かった。
郡山からも、素敵な夕暮れのが届いた。
いずれ読者に届けたいものだ。