野菜生活

まだ薄暗い店に、１人の男が現れる。

男はパン職人。この街で小さな夢を叶えて、２年が過ぎた。

毎朝、朝陽が登る何時間も前から、この小さな小さな店に入り、自慢のパン生地を こねる。まぁるく形づくり、間隔をあけて並べ、オーブンへと入れる。

一心不乱にパンを焼く。いろんな形のパンを焼く。
クロワッサンも人気だし、おかずパンも朝から並べる。クルミの入ったパンは、先ほど香ばしく焼き上がったところだ。


いつの間にか店には、男の後を追って店に やって来た妻が、店内の準備を始めていた。パンを並べる棚を拭いたりして、かいがいしく働いている。



やっと朝陽が登り、今日も いい天気だ。始発電車も走り始めた。朝早く自転車に乗って仕事場へ向かう おじさんや、部活動の朝練に急ぐ野球青年の姿も見られる。小さな街の この小さなパン屋さんからは、焼きたてのパンの いい匂いが漂ってくる。


準備が一段落した妻は、おもむろに店先に、折りたたみ式の小テーブルを広げる。テーブルにクロスをかけ、野菜ジュースをグラスに注いだ。そこへ、やはり仕込みが一段落した夫が、微笑みを浮かべて近づいてくる。店はもう、いつでも開店できる手はずが整っている。夫婦の表情は、ようやく和らいで見える。



「おはよう」


「おはよう」




えっ？！



ここまで見て、私の中に疑問がわくのである。



普通は、店に入った段階で、「おはよう」って挨拶しや しませんかっ？ てコト。(-"-;）



朝は ご主人の方が先に そっと寝床を出て、店に向かったのだろうけど、追っかけ その店に入った妻は、その時点で夫に朝の挨拶を せんのだろうか？


明るく朝の挨拶できるような雰囲気ではなく、殺気走った夫のあまりの一心不乱振りに、とりつく島がなかったのか？


このようなシチュエーションで声をかけるなら、

「お疲れさま」

か、

「ご苦労さま」

では ないだろうか？



それでは『“朝”の雰囲気が出ない』という、制作者側の思惑なのだろうが、現実的には やや変テコな仕上がりに なっていることは否めない。


まだ続きがあった。

野菜ジュースを ひと口飲んで、妻は慌てる。朝一番の お客さんが、早々に やって来たのだ。夫も慌てて立ち上がり、常連であろうお客さんに頭を下げる。さぁ、今日も１日が始まった。朝から野菜ジュース飲んで、今日も頑張ろう！ってか。




以上が《野菜生活》という野菜ジュースのＣＭに おける、私の素朴な疑問であります。皆さんは、どう思われます？


長くなりましたが、今日も１日、お疲れさまでしたぁ～。(*^-^)ノ