寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3605話) 幸せの香り

2023年12月29日 | 行動

 “季節は巡り朝晩の冷え込みが厳しくなった10月下旬、石油ストーブを出しました。この時季のわが家での一番の楽しみはストーブの上でイモを焼いて食べること。早速私と同居の娘2人が大きいものや甘さが人気の品種などのサツマイモを買い求めてきました。イモはアルミホイルに包んで焼きますが、焼き芋の食べ方もさまざま。粒あんをのせたりホイップクリームを付けたり・・・。休日なら朝早く起きて頬張るのも良く、食後のおやつとして皆でコーヒーを飲みながら食べるのもまた一興です。
 来年3月ごろまでストーブで焼くたびに部屋に充満する焼き芋の匂いを、長女は「幸せの香り」と呼んでいます。”(11月30日付け中日新聞)

 長野市の細谷さん(女・74)の投稿文です。石油ストーブの上で、サツマイモを焼く。その匂いを「幸せの香り」という。何とも情緒のある風景、素晴らしい表現である。この風景、昔は多かったろうが、今や貴重な風景ではなかろうか。わが家でも石油ストーブは石油ファンヒーターになってもう何十年であろう。安全や匂い、効率でファンヒーターは勝るであろう。ファンヒーターでは焼き芋は作れない。ボクの家では焼き芋は別の方法で作り、石油スト-ブにはもっぱら餅が乗っていた。そしてヤカンが乗っていた。焼き芋は別と書いたが、それは風呂を沸かす竈(くど)の中で作った。火が直接当たるので、表面のかなりの部分が真っ黒、炭になった。知らない人にはこの文は理解できないかもしれないが、いずれにしろ懐かしい風景である。我々には、今の人には無縁な素朴な思い出が多いのである。若い人も、そんな昔のことと拒否するのではなく、昔の話を聞くのもいいのではなかろうか。


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