寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
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(第3249話) 生まれ変わったら

2021年12月23日 | 人生

 “夫が一年前に十ヵ月の療養の後に、あっけなく肺がんで亡くなった。六十三歳だった。私たち夫婦は仲の良い方ではなかった。夫が亡くなっても正直、あまり悲しくなかった。むしろ、夫は奥さん孝行で、あまり私に世話をさせずに亡くなったと思った。
 そんなある日、風呂場の水道が水漏れするようになった。パッキンを交換しなくちゃいけない。夫がいれば簡単に交換してくれたなあと思いながら、私がやってみた。蛇口は外せたけど、中のねじが動かない。こんなことで水道屋さんに頼むのも悪いと思って、姉のご主人に頼んだら「やったことがない」と言う。
 「あー、どうしよう」と困った。夫を亡くしたんだと、しみじみ思った。そういえば、器用な夫は自転車の電気や勝手口の網戸をつけてくれたり、衣紋掛けを曲げてタオル掛けを作ってくれたりした。いなくなって初めて夫の良さが分かる。
 私が仕事、仕事と言っておらずに、もっと旅行に行ったり、夫の話を熱心に聞いてあげたりすればよかった。お互い、もう少し違う生き方をしていれば、夫は長生きできたのではと後悔する。今度生まれ変わったら、夫と家族ともう一度、違う人生を生きてみるのもありかな、と思う。”(12月1日付け中日新聞)
 
 名古屋市の主婦・森さん(61)の投稿文です。夫婦仲はあまり良くなかったと思っていた奥さんが、旦那さんを亡くされて懐かしく思う、夫婦とはこんなものかと改めて思う。ボクは親よりも子どもよりも、配偶者であろうと思っている。何と言っても一緒に過ごす時間が長い。そして養われる親より養う子より、共同作業が多いのである。夫婦は元々他人である。共に健在の時は、葛藤や喧嘩もあろう。でもそれを繰り返しながらも夫婦を保っていけば、森さんのような思いになろう。
 最近は「その年に結婚した夫婦と離婚した夫婦を比較すると3組に1組が離婚している」ことになるという。それも熟年離婚が増えているという。離婚するにはいろいろな状況があると思うが、一時の感情ですることではない。特に高齢者はこれからこそ相方が必要になる。女性は強いからまだいいが、まず男から言い出すことではない。また女性から言い出されないように、気配りが常に必要である。


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