「米スタイル」2013 冬 Vol.4 (お米マイスター情報誌)より転載
森谷 敏夫教授 京都大学大学院 人間・環境学研究科
私がごはん食をすすめる理由②
ごはん(糖質)を抜くとすぐに体重が落ちるのは何故?
確かにご飯などの糖質を減らすと体重はすぐに減ります。
しかしこの場合、減ったのは脂肪ではなく、筋肉や肝臓に貯蔵されている糖質燃料のグリコーゲンとそれに結合している水なのです。
筋肉は、活動するために摂取した糖質の70%近くを必要とします。そのため、人間の体は、非常事態に備えて常に糖質を体に蓄えておこうとします。
その保管庫ともいえるものがグリコーゲンで、特に肝臓のグリコーゲンは、糖質しか利用できない脳の非常食でもあります。
そのため、ご飯を少量しか食べなかったり、極端なご飯抜きダイエットをすれば、脳や筋肉に糖質が不足するため、それを補うために蓄えられたグリコーゲンが消費されるのですが、、その時にその3~4倍にあたる水分を同時に脱水するため、見かけの体重は4倍近くも減少します。
1日405Kcalしか摂らない超低エネルギー食ダイエットを4日間続けた実験では、減った体重の3~4kgが水で脂肪はごく僅かしか消費されませんでした。
そして、再び糖質を摂ると体は優先的にグリコーゲンに糖質を蓄え、その時には、また4倍近い水分子と結合するので、すぐに体重が元に戻ります。
つまり、ご飯を抜くダイエットでは一時的に体重を減らすことはできても、脂肪を減らすことはできないのです。
これが体重がすぐにリバウンドする所以で、せっかく体重を減らしても「水の泡」なのです。