a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

知識の曙を再び迎えるために

2018-09-04 12:29:50 | 東京公演
いよいよ迫って来ました。

これを書いているのは9月4日、朝刊配達のバイク音が聞こえています。

本番前はいつもこんな感じ。

しかも今回は劇団員がほとんど出演。

ブレヒトの作品は登場人物が多い!

衣装も小道具も点数が多い多い!


私は事情があり稽古場にいる時間が少なかったのですが、この小屋での公演のカウントダウン、そして私がこの劇団に入ったきっかけになったブレヒト作品です。

1999年に見たブレヒト作「セチュアンの善人」強い衝撃を受けました。

「善人であれ!そして生きて行け!」


神様からのオーダーを懸命に果たそうとするものの、二つの人格に分裂してしまう。

この世界で善人でありながら同時に生きてゆく(稼ぐ)ことがどれだけ困難であるか!

そしてそれは何故だ?を問いかける芝居でした。

絶望的なエンディング、しかしそれは観客に思考を促すエンディングでした。

私だって考えることが出来る、この結末にしないためにはどうすればいいのか、どうしたいのか。

それを芝居で投げかけられた時、希望がわいたのです。

ヒトラー政権下、亡命を余儀なくされ作品を書き続けたブレヒト、だからこそ長持ちする言葉を書こうと努めたという。

この物語はもちろん彼の生きた時代を彷彿とさせるが、同時に今現在の日本の腐った政治、歴史修正主義、それに群がる金儲けばかり考える知識人(脅されているのかも)、watchが役割なはずのメディアが御用メディアに成り下がっていること。

ばっちり当てはまってしまう嫌ーな感じ…。

他の劇団員のブログにもあったと思いますが、「ガリレイの生涯」が知識の曙なら、この作品は知識の黄昏が描かれていると…。

もう一度、曙の時を迎えるには私たちはどうすればいいのか、どん詰まりの時代の中で何か回復の契機があるのか?

でも私はこの時にしか生きられない。ならどうする?この作品の上演を通じてまた自分の希望を探りたい。

みんなから遅れをとっているのを肌でピリピリと感じながら、あと三日集中しなければ!

みなさん、是非足元お運び下さい。お待ちしております。

洪美玉



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劇団を移転することになりました。
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よろしくお願いします。

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作 ベルトルト・ブレヒト
訳・ドラマトゥルク 黒田容子
演出  公家義徳
音響  島猛
作曲  多良間通郎
照明  真壁知恵子
衣裳  稲村朋子
映像アドバイザー・撮影 飯名尚人
制作  小森明子・太田昭

■キャスト
トゥランドット姫      正木ひかり
皇帝            永野愛理
皇太后           志賀澤子
ヤウ・イェル        三木元太
総理大臣          竹口範顕
宮廷学者フィー・イェイ   篠原祐哉
アー・シャー・ゼン(農夫) 伊藤 克
エー・フェー(彼の孫)   山﨑智子
ゴーゲー・ゴーグ(ギャング)和田響き
マー・ゴーグ(彼の母)   原口久美子

浅井純彦
雨宮大夢
大橋隆一郎
小田勇輔
上條珠理
坂本勇樹
仙石貴久江
永濱渉
奈須弘子
町田聡子
真野季節
洪美玉

9月7日(金)19時開演
9月8日(土)14時開演 (西堂行人さん 演劇評論家)
9月9日(日)14時開演 (内藤洋子さん ドイツ現代文学)
9月10日(月)  休演日
9月11日(火)19時開演☆
9月12日(水)19時開演☆

9月13日(木)19時開演
9月14日(金)19時開演 (初見基さん ドイツ文学・演劇)
9月15日(土)14時開演 (飯名尚人さん 映像作家)
9月16日(日)14時開演
9月17日(月)14時開演


ブレヒトの芝居小屋

全席自由 開場は開演の30分前 整理番号順の入場

料金

前売一般 3800円 前売U25→3000円〈25才以下の方対象〉

当日4500円

☆Low Price Dayは一律2500円

()はアフタートーク
★9/8土14時
西堂行人(にしどう こうじん)さん
1954年東京生まれ。演劇評論家。2017年より、明治学院大学文学部芸術学科教授(演劇身体表現コース)。70年代末からアングラ・小劇場運動に随伴しながら批評活動を開始。1980年代後半から海外の演劇祭などを視察し、独自の世界演劇論を構想。1990年より、ハイナー・ミュラーのプロジェクトを組織し、2002年と2003年に「ハイナー・ミュラー/ザ・ワールド」を金沢と東京で開催。同じく1990年より韓国との演劇交流に力を注ぎ、現在「日韓演劇交流センター」の副会長を務める。
著書に『演劇思想の冒険』『ハイナー・ミュラーと世界演劇』『韓国演劇への旅』『現代演劇の条件』『劇的クロニクル』『証言;日本のアングラ』、編著に『近大はマグロだけじゃない! Alternative KINDAI』他多数。近著に『唐十郎特別講義』『蜷川幸雄×松本雄吉 二人の演出の死と現代演劇』がある。

★9/9日14時の回
内藤洋子(ないとう ようこ)さん
ドイツ現代文学専攻。ブレヒトをはじめとして、主に東独出身の詩人たち、S.キルシュ、P.フーヘルらの詩を翻訳・研究。その傍ら、現在ドイツ語圏の演劇界を牽引する劇作家たちの戯曲の翻訳にも携わる。F.リヒター『エレクトロニック・シティ』(世田谷シアタートラムでリーディング上演、2005)、M.v.マイエンブルク『醜男(ぶおとこ)』(世田谷パブリックシアターで上演、2010)、L.ベーアフス『親たちのセックス・ノイローゼ』、K.ブルナー『幽霊だって人間だ』(東京ドイツ文化センターでリーディング上演、2017)。B.ブレヒト『下田のユーディト』は、志賀澤子・演出で、本邦初上演された。((演目:「唐人お吉の神話」、ブレヒトの芝居小屋で、2016)。 明治薬科大学名誉教授。

★9/14金19時の回
初見基(はつみもとい)さん
1957年埼玉県生まれ。近現代のドイツ文学・ドイツ社会思想史研究。現在日本大学教員。目下の研究主題は,戦後ドイツにおける〈戦後責任〉の思想史的検討。
ブレヒトとの係わりはあまりなく,数年前に詩「後から生まれる者たちに」にまつわる駄文を執筆したことと,一昨年アウクスブルクのブレヒト生家に行ったことくらい。あっ,彼とヴァイゲルのお墓のまえは何度も通ってますし,ベルリーナ・アンサンブルの舞台は数え切れないほど観ています。でも「トゥランドット」は未見。どちらかと言えばブレヒトにTuiと呼ばれる側,かな。
著書に『ルカーチ—物象化』(講談社),訳書に『アーレント=ブリュッヒャー往復書簡』(大島かおり氏との共訳,みすず書房),ボート・シュトラウス『終合唱』(論創社),カール・シュミット『ハムレットもしくはヘカベ』(みすず書房)他。

★9/15土14時の回
飯名尚人(いいななおと)さん
映像作家・演出家・ドラマトゥルク・プロデューサー
映像デザインとして佐藤信、小池博史、川口隆夫、タケヤアケミ、東京演劇アンサンブルの作品に参加。ドラマトゥルクとして川口隆夫『大野一雄について』『Touch of the other・他者の手』。自身の作品では『ASYL|アジール』『熱風』などジャンル横断的作品を演出。2003年にDance and Media Japanを設立し「国際ダンス映画祭」を主催。「コンサート・自由な風の歌13」では、ピアニスト崔善愛とのコラボレーションし、詩人・尹東柱の世界を舞台化。日本・台湾共同製作による台湾演劇『同棲時間』では台湾ロケによる映像デザインを手掛けた。東京造形大学映画専攻、京都精華大学、座・高円寺劇場創造アカデミーで教える。


チケット申込

東京演劇アンサンブル TEL:03-3920-5232 FAX:03-3920-4433

ticket@tee.co.jp

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