a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

新たな・・・・・・

2014-03-03 01:43:57 | 東京公演


いつもの席に、いつもいるべき人がいない。
考えてみたら、ぼくが劇団に入ってから、
ずっと隣の席にいたのだが、
今回、はじめてその席を離れることとなった。
演劇制作になった僕に、
ほんとにたくさんのことを教えてくれた人が、
今、新しい一歩を踏み出そうとしている。

小森明子、初演出。



最後までタリさんの側で創造をともにした一人。
タリさんがとっても信頼していた制作者だ。
劇団の60周年記念に1作目に、
やはり僕たちはブレヒトの作品を選んだ。
しかも、
これまで上演しようとしながら、
上演できなかった作品。

ブレヒトが1920年代後半のシカゴを舞台に、
資本主義社会に傾きつつある世界の経済のからくりを、
食肉市場を取り巻く状況を描くことで、
世界で何が起きているのかを提示しようとした。
戦争前夜。
小森演出は、まさにそこに切り込もうとしている。
ブレヒトのテキストを読めば、読むほど、
今の世界とリンクしてしまう。
資本家が私服を肥やし、
労働者が失業し、街にあふれだす。
トップが代わっても、
新たなトップが生まれるだけで、
貧しいものは、貧しいままである。
ドイツは、ナチス党が政権を取り、
ヒトラーが大統領となる。
どうだろう?
今のこの国は、どうだろう?
戦争前夜でないと、言えるだろうか。

初演出ということは、
当然ながら、何もかもが初めてだ。
それでも、稽古場での小森は堂々としたものである。
作品を読み込む力は、充分鍛えられてきているし、
自分自身が観たい舞台を要求していく。
そして、疑問に思うことは、すぐに稽古場にぶつけていく。
向かうは、38人の出演者と、多くのスタッフ。
これほど心強い相談相手はいない。
稽古場のいたるところで、
いろんな人たちと話をしている小森の姿を見かける。
何度もテキストを読み込み、
資料を読み込み、
どんなに準備しても足りない。
けれど、全部体当たりで向かっている。
その情熱は、稽古場に熱気をもたらしている。



小森演出は、
軽快なテンポと、遊び心をまじえつつ、
純で無垢なヨハンナを、
心が震えるほど美しく描き出そうとしている。

劇団1年目の研究生から、
創立メンバーの入江洋佑まで、
ほとんど劇団員総出演。
劇団の60周年記念であり、
さらなる新たな一歩となる節目の年に、
これからの劇団の姿を予感させることが出来る作品になる。

いろんな新たなる挑戦を、
絶対に見逃してほしくないのである!!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


TEE東京演劇アンサンブル公演 創立60周年記念公演Ⅰ
屠畜場の聖ヨハンナ

作 ベルトルト・ブレヒト
訳 加藤衛訳
演出 小森明子
構成 庭山由佳・小森明子
音楽 かとうかなこ
装置 池田ともゆき
衣裳 稲村朋子
舞踊 明樹由佳
照明 真壁智恵子
効果 勝見友理
歌唱指導 菊池大成
舞台監督 入江龍太
宣伝美術 スズキコージ・奥秋圭
制作 太田昭


3/20(木)19:00
3/21(金)14:00
3/22(土)19:00
3/23(日)14:00
3/24(月)19:00☆
3/25(火)休演
3/26(水)19:00☆
3/27(木)19:00
3/28(金)19:00
3/29(土)14:00
3/30(日)14:00

前売(一般)=3,800円
前売(学生)=3,000円
☆=Low Price Day = 2,500円
当日=4,500円

全席自由 申込順に整理番号を発行

ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線 武蔵関徒歩7分)  


東京演劇アンサンブル TOKYO ENGEKI ENSEMBLE
〒177-0051 東京都練馬区関町北4-35-17
TEL:03-3920-5232 FAX:03-3920-4433

作品詳細

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