a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

かんじんなことは、目にみえないんだ

2008-09-04 16:55:53 | 東京公演







そうなのだ。
あまりにも有名な、
『星の王子さま』のセリフだが、
稽古場でこの言葉を聞くと、
ドキッととする。

いま、稽古場では、
タリさんの思想を追体験しながら
『夜の空を翔ける』に取り組んでいる。
なぜタリさんが、
この芝居の中で、
劇中劇や、サン=テグジュペリの生涯を絡めたのかが、
わかってきたような気がする。

この国では、
かんじんなことは、目に見えないんだ。
サン=テクスの書きつけたこの言葉が、
そのままあてはまってしまう。
誰も、かんじんなことをなかなか教えてはくれない。
見せてくれないんだ。
もったいつけたりしてるわけじゃない。
目に見えたら、困ることが多いからだ。
デジタルで、効率利益優先の現代では、
何事もメジャー思考がはびこっているが、
ぼくらは、結果としてではなく、
好んでマイノリティの精神を追求している。
それは負け惜しみでも、なんでもなく、
メジャー志向の暴力性を感じているからだ。
けれど、芝居にはお客さんがいなきゃいけない・・・。
そんな思いが交錯しながら、
稽古場も葛藤しつつ、苦しんでいる。
日本中のマイノリティの小集団の人たちに観てほしい作品なのだ。

東京演劇アンサンブルにしては珍しくWキャストで臨むのも、
この作品を通して、
劇団を再構築していきたいという意気込みがあるからだ。
ぼくたちは、これからどんな集団を作れるのか。
そのことが詰まった作品なのです。

「あんた、心で見なくちゃ、
ものごとはよく見えないってことさ。」

演劇もやはり、そうありたいと思う。

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夜の空を翔ける

作=広渡常敏
演出=松下重人

キャスト(Wキャスト)
役名=A班/B班
菅原圭介=竹口範顕/熊谷宏平
菱山六郎太=公家義徳/大多和民樹
浅野洋平=尾崎太郎/松本暁太郎
佐藤麦子=ささき未知/清水優華
杉森淳子=洪美玉/樋口祐歌
篠田耕助=浅井純彦/篠澤寿樹
小山由美=冨山小枝

2008年9月11日(木)~17日(水)
ブレヒトの芝居小屋

A班 11日・14日・15日・16日=19時 13日=14時
B班 12日・13日・17日=19時 14日・15日=14時

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子どもキャンプに参加して

 今回、子どもキャンプに東京演劇アンサンブルの仲間と参加できたことは、とても嬉しかった。
 朗読『どんぐりと山猫』『朝についての童話的構図』もあんなにステキなロケーションで聞くとすっかり宮澤賢治の世界に入ってしまう。稽古場では頭の中で広がっていた風景が、キャンプ場では目の前の山や木や心地よい風が、賢治の言葉と一体になっている様だった。朗読の感想を合評会ですぐに聞けたのも良かった。中高生や青年の感想を聞くと普段から子どもサークル会を積み重ねていることがよく分かったし、小学生の意見をまわりが引き出していたのも、5回の班会をしっかり作ってきたからだと思った。
 キャンプファイヤーでの『銀河鉄道の夜』の群読は、劇場の活動とむすびつけられていて言葉が一つひとつ胸に突き刺さってくるようだった。とても感動した。機会があればアンサンブルの他の仲間にも聞かせてあげたいくらいだった。(芸術祭でやらないかな?)みんなの“銀河”への思いを体で感じることができて、作品を作る大きな底力になった。私たちも芝居をしっかりつくっていこう。かわさきに負けない集団をつくろう。
 一緒に参加したアンサンブルの仲間も、私と同じことを感じたのじゃないかなぁ。
 今劇団では、9月公演『夜の空を翔ける』の稽古の真最中です。麦子のセリフに「自分の意見のまわりに他の人々を集めたって、そんなもの、ほんとうの集団じゃないと思うの。肝心なことは自由に喋ることよ・・・<中略>・・・自由に自分の言葉を喋りあえれば、それが集団なのよ。」とあるように、そんな喋りあう集団を私たちもつくっていきたいし、めざしていきたい。稽古場を通して、今回のキャンプを通して感じました。
                                 (Chi)
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