青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

西上州のトリックスター。

2023年02月14日 17時00分00秒 | 上信電鉄

(浅間山遥か@上州福島~上州新屋間)

下仁田の駅に滞泊していたデハデハコンビ、以前から上信の運用については少し掘り下げて自分で調査していた事もあり、総合的な情報を鑑みるとこの電で出て来そうだな・・・というアタリは付いていました。冬の遅い日の出は、下仁田側だと山を越えずに太陽が線路に回らなさそうだったので、少し場所を移動して構えたのは上州福島の田園地帯。旧道のR254と現道の富岡バイパスを結ぶ陸橋の上から西上州の山並みを臨めば、碓氷峠の向こうに真っ白に雪を纏った浅間の山が見えます。高崎方面からやって来た107系のジオパーク電車。上信では700系を名乗りますが、そう言えば初代のジオパーク電車は元西武の701系だった事を思い出す。

予想では、上州福島の駅でジオパーク電車と交換するダイヤでやって来るはず。福島方からタイフォンの音がして暫し、踏切の向こうから予想的中、デハデハコンビがやって来ました。デハ251+252の独特の箱型ボックス車体、濃淡のオレンジとマルーンのラインでサンドイッチされたサイドのデザインがスタイリッシュなデハ251と、シンプルなホワイトとライトブルーのツートンのデハ252。現行の阪神青胴車を思わせるカラーリングで、「上州のジェットカー」と言われていたりいなかったり。

明けの月浮かぶ冬の西上州。もう一個のカメラでは広角で。独特の突兀とした稜線を見せる荒船・妙義の山並みに浅間を入れ込んでみました。自社発注車天国・上信電鉄で、初めて拝めたデハデハコンビのランデブー。いつ走るか分からない、上信電鉄きってのトリックスターだけど、機会を見て追い掛けたくなりますね。

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西上州、暁の頃。

2023年02月12日 10時00分00秒 | 上信電鉄

(部活少女、寒風に立ち@南蛇井駅)

早朝の下仁田界隈をウロウロ。デハデハコンビの出動を待ちながら、上信電鉄の沿線に展開します。上信の沿線って何回かは撮影した事あるけど、意外に住宅の立て込む市街地を走るので、写真が撮りやすい場所というのは限られているような感じがする。富岡の盆地の入口に当たる南蛇井の駅。早朝、高崎方面に向かう女子高生一人。部活の朝練か。最近、自分の子供も部活の朝練とかで早く家を出る事が多いのだが、自分の趣味で早起きするならいざ知らず、この寒い中で大変だなあ・・・と思うことしきり。この駅、「なんじゃい」という駅名からして非常に特徴的なのだが、かつてはこの辺りを「那射井(なさい)郷」と呼んだ事に由来するとかなんとか。なさい→なんじゃい。という事らしいのだが、「なさい」で良かったのでは?(笑)。

東の空がほの明るくなって来る頃合いを見て、空が広い神農原の田園地帯に出てみる。冬の妙義颪の吹き抜ける枯野の寒さよ。それだけに、物凄く透明感のある夜明けのひとコマ。蒼い世界に、一滴ずつ太陽のオレンジが湧いて来るかのごとく、じんわりと夜が書き換わって行く。この空気の澄み渡った感じが、いかにもな冬場の北関東の風景だよなあ。農道の踏切が鳴り、高崎発の始発電車が下仁田へ向けて駆けて行きます。

マゼンタな世界へ、元西武新101系が向かって行きます。上信電鉄って、他社からの譲渡車では西武系の中古が過半を占めていましたけど、JR107系の大量譲渡によって、現在では唯一新101系が残るのみとなっているんですよねえ。かつての401・701なんかも結構味わいがあって好きだったんですけど。これは個人的な意見になってしまうのだけど、地方私鉄にJRの譲渡車が入って来るのってなんかあんまりそそられないんだよなあ。長電のJR253系とか、富士急行のJR205系とか、あまりカメラを向けた記憶がない。正直、みんな追っかけてるんだけど、小湊鐡道のキハ40とかもなんかなあって感じになる。サイズ感なのか、イメージの問題なのか、なんなのか・・・

そういう意味では、JR107系の攻勢は受けたとはいえ、未だに250系、1000系、6000系、そしてこの7000系と4形式もの自社発注車が残っている上信電鉄は「神」と言わざるを得ないのかもしれない。神農原と言えば、宇藝神社の大鳥居。地元の鎮守様の参道を横切る、上信電鉄のレール。富岡製糸場の世界遺産登録に合わせて、国と群馬県の公的補助で作られたのがこの7000系。補助金の関係で1年に1両ずつしか作れず、ロールアウトに時間が掛かったというエピソードがいかにも日本的お役所仕事のカタマリみたいな話なのだが、普段は三セク向けのNDCなんかを主力とする新潟トランシス製造の「電車」という極めて珍しいポジションにあり、その独特のフォルムが異彩を放っています。

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神出鬼没のデハデハコンビ。

2023年02月10日 17時00分00秒 | 上信電鉄

(払暁の 妙義荒船 影にして@下仁田駅)

長野電鉄の帰り道。小布施の「穴観音の湯」で充分にホカホカとなった後、翌日も休みなのでゆっくりのんびりと家路に就くことに。無理に高速道路を使う事はせず、小布施から須坂、須坂から夜の菅平を抜け上田、上田から小諸・佐久を通り、真夜中の内山峠を抜けてR254で下仁田へ。「道の駅しもにた」にてマルヨしたんだが、さすがに1月の北関東は氷点下6~7℃くらいまで下がるんで毛布二枚重ねでも寒くてしょうがなかったですね(笑)。翌朝、まだ夜も明けやらぬ上信電鉄の下仁田駅へ。帰りにちょっと下仁田に立ち寄りたかったのは、上信電鉄の「デハデハコンビ」ことデハ251+デハ252のコンビが運用に入っているらしい・・・という話を小耳に挟んだから。

お、いたいた。下仁田駅の一番南側の留置線に入っていたデハ251+252。今でも何種かの自社発注車が現役で残っているというだけでも上信電鉄というのは貴重な地方私鉄な訳ですが、その中でも昭和50年代の上信らしい独特の箱型車体と毛抜き型ストライプを持つデハ251は、お好きな人にはたまらないというコアな人気を持つ車両。元々は2連の1000形に対するラッシュ増結用で作られた車両なので、両運転台を持ち単行運転が可能という上信の車両ラインナップの中では異端児的存在。基本的には元国鉄107系が中心となっている現在の運用の中では、サブ的な扱いの中でもサブ的なポジションにあり、その運用は神出鬼没。自分も何度か上信に来たことはあるけども、だいたい高崎の車庫の奥の方で動かない姿しか見ておりませんのでね。

高崎と下仁田を約一時間で結ぶ上信電鉄。朝は下仁田→高崎に向けての上りの流動が中心になるため、下仁田側に5編成の夜間滞泊を溜め込んで放流する形式を取っています。そうでもしないと、車両のやりくりが間に合いませんですからねえ。以前は石灰石の積み出しもあり、貨物ホームを含めて広い構内を持つ下仁田の駅。その広さが、現在は余裕のある車両の滞泊を可能にしています。

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あんかけの 雨が降る降る 権堂に。

2023年02月08日 17時00分00秒 | 長野電鉄

(郊外電車@信濃吉田駅)

村山橋を渡り、しな鉄北長野駅前の「ノルテながの」にクルマを放り込んで、ここからは暫し長野電鉄の乗客になります。北長野の駅に隣接する信濃吉田駅。長野市の副都心的な地域で、再開発された高層マンションや住宅街が立ち並ぶ様は、東京の近郊風景とそう変わりありません。こうして見ると、長野電鉄が「地方鉄道の雄」として優秀な経営基盤を持ち、意欲的な車両への投資や地下化などの近代化を進められたことが何となくでも分かる。橋上駅舎から眺める信濃吉田の駅、3000系の信州中野行きが進入して来ました。

信濃吉田から、意外にも若い男女でそこそこの混雑だった上りの長野行き3000系。善光寺下から地下鉄になる長電を、権堂の駅で降りた。権堂と言えば、善光寺の門前町として広がる長野市の中心街。正月明けのアーケード、正直開いている店は昔に比べると減ってはいるのだろうけど、そぞろ歩きの人やクラブのお姉さんが歩いてる様子に、初春の繁華街の華やかさみたいなものが感じられて・・・

久し振りに権堂に来たのは、決して長野のお姉さんのいる店が目的ではなくて、長野市民のソウルフード「いむらや」のあんかけ焼きそばで味のみちくさをキメに来たんですよね。パリパリポキポキの揚げ麺に、甘く煮たキャベツとキクラゲの餡を乗せ、錦糸卵と絹さやと焼豚をトッピング。これを酢でゆるゆるに溶いた和辛子とウスターソースをかけながら食べるという謎が謎を呼ぶ長野名物。もんじゃ焼きとちらし寿司と中華丼のハイブリッドみたいな味がする。美味いのか・・・?と言われると好みが分かれそうな味(笑)。いわゆる中華料理屋の「固焼きそば」をイメージして食べるとひっくり返る。この店はシュウマイも名物なのだが、これもやたら玉ねぎが効いていて、甘くてフヤフヤしてて肉っ気が少ない不思議なシュウマイで、崎陽軒のシウマイみたいな「肉とホタテの旨味でプリップリ!」みたいなイメージで頼むとひっくり返る。

不思議な固焼きそばとシュウマイで腹を満たし、権堂のアーケードをブラブラ。権堂と言えば長野大通りを挟んだ本社の真向いにイトーヨーカドーがあって、おそらく長野電鉄の大事な不動産収入になっていたと思うのだが、いつの間にか綿半スーパーセンターになっていた。権堂のイトーヨーカドーってそこらのデパートくらいの大きさがあったのだが、綿半になってかなり建屋が小さくなっちゃったなあ。権堂のイトーヨーカドーは「ながでん買い物きっぷ」とかやってましたよね。買い物した金額の10%が乗車券で戻ってくるヤツ。今でも須坂のイオンではやってるみたいだけど。

長野市の中心部。特に権堂あたりは、長野電鉄を利用してのショッピング・街ブラ的需要で発展した街で、それこそ長野市の衛星都市である須坂市や中野市を商圏にして大きなニーズがあったものと思われます。だからこそのイトーヨーカドーであり、買い物きっぷであったのでしょう。ただ、地方はどこもクルマ社会ですからね。どちらかと言うと上信越自動車道とか国道18号バイパス沿いに進出した大型店舗への遷移が目立ちますし、電車を使って繁華街にやって来るのは年配者と若年層が中心です。コロナ禍によって本数が減ってしまった長電ですが、ダイヤ改正後は電車1本逃すと結構待つなあという印象が。せめてこの区間(長野~須坂)だけは20分に1本とか、もうちょっとフリークエンシーが欲しいなあと思う。長野~朝陽の区間便でもいいけど。

本家東急田園都市線では、先日全車両が引退した8500系。長野ではまだ健在。
一日だけのショート・トリップだったけど、結構楽しめた長野電鉄でした。

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Silhouette Romance

2023年02月06日 10時00分00秒 | 長野電鉄

(シルエット・ロマンス@村山橋)

恋する女は夢見たがりの いつもヒロイン

ああ 貴方に 恋心盗まれて 

もっとロマンス 私に仕掛けて来て

ああ 貴方に 恋模様 染められて

もっとロマンス ときめきを止めないで

 

信濃の大河、千曲を渡るシルエット・ロマンス。

夕焼けの茜空をキャンバスにして、ゆけむり号が走り去って行きました。

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