フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

左肩上がり

2020-04-09 08:55:39 | Weblog
コロナの感染者は右肩上がりだけど水彩画展の鑑賞者は左肩上がり。つまり緊急事態宣言が出てがた落ち。やんぬるかなやんぬるかな。これでいいのかもしれないけど日本人ってお上の言うことに対しては昔から従順なんだねと感心。それでもどの時代にも強者っているもんで昨日もスケッチブックをぶら下げた爺さんがマスクもしないで入って来た。見るからに「絵描き」それも剽軽な看板屋さんみたいな脱芸術派。オレと同じタイプだから親近感が湧く。「去年県展に入選した」と言ってスマホの写真を見せてくれた。デカい絵の横にジイサン。抽象っぽいオレンジとブルーの鮮やかな水彩画。「100号?」って聞くと「尺号」って言う。何だか言葉がハッキリしない。色々話しかけてくるけどほとんど聞き取れない。途中で爺さんもそれを察したのか「去年舌癌の手術をしてね」と話してくれた。舌をちょん切って手首の皮膚を移植したんだって。「だから言葉がハッキリしない」「もどかしいね」でも「元気元気、元気に戻れてよかった」って言ってた。頭がツルッパゲだったから「抗がん剤でやられたの?」って聞くと「これは元から」と明るく笑って頭を撫でた。帰り際に「70、ビートルズ世代」と体でリズムをとった。なんだ俺と同い年なの。見かけは80くらいに見えたけど「ビートルズ」って言った時には若やいで見えた。ビートルズって聞いただけで無条件に同志のような感覚。これがビートルズ世代っていうのかな。ビートルズで一括りっていうのもうれしいね。
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