「原発と映画」プロジェクト準備ブログ

原発に関する映画の紹介をメインに2011年から書いているブログです。

原発に関する映画その68 「セシウムと少女」

2015-09-23 09:30:47 | 原発と映画

セシウムという言葉も日常会話ではなかなか出せない雰囲気もある中、映画の題名が「セシウムと少女」というそのものずばりの題名にひかれて、事前知識なく、みてきました。

監督がこの映画で監督デビューだということは知っていたものの、どんな人なのかも知らないでみたので、あまりに突飛な展開をみていくうちにこの監督は何を考えているのだろうと監督の存在が気になりつつ映画をみていました。

最初のうち、主人公の高校生ミミちゃんがあやしげな「神様」に出会うあたりなど、これでは高校の映画部の作品ではないかと、ちょっとつぶやきたくなったりもしました。


ところが後半どんどん見せる映画になっていき、見終わったときは大きなものをずしりと受け取った気がしました。

簡単にストーリーをまとめると以下のような感じです。

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まっとうな感性や理性をもっているがゆえに、学校では「浮いてしまい」生きにくい17歳の少女ミミちゃんを主人公に、

ミミちゃんが不思議な神様たちに出会い、タイムスリップして若いころのおばあちゃんにであって人生の大切なことを気づかせてもらったり、

戦争の時代・広島長崎の原爆・第五福竜丸・原子力推進の時代・福島原発事故と社会問題に向き合い絶望感にとらわれる経験もしながらも、

今あるものを大切にしていきていこうとするまでを描いています。

「セシウムはやっぱり測定しなければ」と、測定器とホットスポットファインダーで測定しまくる場面がでてきたり、新聞も真実を書いてくれない時代ということにもさらりとふれられていて、貴重と思いました。

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やはり高校生くらいの方たちにこそ一番にみてほしい映画と思いました。
みたい人がみるのではなく、全員に学校での団体鑑賞の時間などにみてもらったらいい映画ではないかと感じました。


最初登場したときにはくたびれた異様な雰囲気の神様たちが、ミミちゃんと一緒にだんだん輝いていく様子も興味深く、監督にお聞きする機会があったので、おたずねしたら「定年以降の方たちへの応援歌という意味もこめた」とのお返事に納得しました。

http://cesium-to-shyoujyo.com/#

監督の才谷遼氏のプロフィールを上記HPよりご紹介します。

1952年大分市生まれ。
日大芸術学部映画学科在学時より岡本喜八監督に師事。1982年、株式会社ふゅーじょんぷろだくと設立。まんがアニメ専門誌「COMIC BOX」を創刊。1998年、複合施設ラピュタビル(映画館・小劇場・レストラン)をオープン。映画館「ラピュタ阿佐ヶ谷」では邦画旧作上映に注力するとともに、国内外の短編アニメーションを集めた映画祭を開催。2006年「アート・アニメーションのちいさな学校」を開校、事務局長を務める。

才谷監督は、311前から核のことに関心をもっておられたそうで、原発事故後さまざまな行動に参加もしたけれども、やはり自分の専門分野でなにかやらないとだめなのではないかと思い至り、この映画をつくるにいたったそうです。

たくさんの思いのこめられた映画「セシウムと少女」が広がって、放射能はその辺にあるのだから、タブーとされるのではなく、あたりまえに語れ、あたりまえに測定し、あたりまえに考える時代になってほしいと願います。

コメント
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