セイナルボンジン

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怪奇大作戦①

2017-04-08 16:37:16 | 特撮

『怪奇大作戦』
1968年 「ウルトラセブン」の後番組として制作された
円谷プロの社会派SFミステリー。30分完結のオムニバスで、全26話。

唐突に全話レビューします。
何故なら私がこのシリーズを愛しているからです(真顔)
ネタバレには一切配慮しませんので、ご注意ください…

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人体発火現象や亡霊の呪いなど、様々な怪事件に
SRI(科学捜査研究所)のメンバーが立ち向かう、
「日本版Xファイル」とでも呼ぶべき物語です。

怪獣ブームの後は怪奇モノだ!という制作サイドの意向からか
結構おどろおどろしい雰囲気ですが、事件は超常現象(オカルト)ではなく、
科学を悪用した人間の起こした犯罪という位置づけがなされています。
ドラマの中核は社会や人間の心の闇を鋭く描いており、
半世紀近く経った今でも、見る人の心を深くえぐる作品です。

SF考証については、1968年制作という事を差し引いても
凄い適当だなーという部分は多々あるのですが、科学的な正確さよりも
出演者の一人・岸田森が評するように、「シリアスな空想劇」として
楽しむのが正解かと思います。

一方で、シリーズ全体を見ると出来・不出来の落差が激しくて
「ちょっとなー」っていう話も多いので、個人的に

(=´∀`)好き。愛してる。
(^ω^)普通。
( ´_ゝ`) ビミョー。

と、備忘録代わりのメモをつけて書いておきたいと思います!

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■第1話「壁ぬけ男」
怪盗キングアラジンが、予告状通りに次々と盗みを働く。
彼は追っ手の眼の前で、壁の中をすり抜けて見せた!

途中までは「昭和のミステリーね、特撮のアナログ感が味わい深いね( ^ω^ )」
なんてほのぼのしてたら、ラスト5分で
「え、えらいモン見ちまったァー!」と驚愕したのが忘れられない。

ただ一度の失敗から名声を失ってしまった奇術師が、
「幻の喝采」を求めて湖に消えていく話。
彼の狂気を知りつつも、寄り添い続ける奥さんのキャラが好き。
犯罪に使われた技術を与えた科学者は罪に問えないが、
「僕は憎むね」という牧の台詞で締める所まで、
色々ツボを刺激される第1話(=´∀`)


■第2話「人喰い蛾」
毒蛾に仕込まれた細菌が人間をドロドロに溶かす!
ショッキングな連続殺人の謎を追う話。

人間溶解シーンは結構グロかったですが、
話は「敵対企業の妨害目的による殺人」という単純なもの。
赤ん坊を蛾から救い出すシーンのサスペンスが白眉。
シリーズ構成的には、主役格である
行動派の熱血漢・三沢と、
冷静な科学者・牧の、
2人のキャラをちゃんと立たせるのが狙いかな。
普通!( ^ω^ )


■第3話「白い顔」
美女の周辺で起きる連続怪死事件の謎を追う。
事故で大火傷を負った科学者が、娘に執着するあまり
彼女に近づく男を次々と殺していた、という話。

最終的に父親は報いを受け、隠し続けてきた素顔をさらす。
娘は、そんな父の孤独や醜さを受け入れ涙する…
甘いオチではあるけれど、私は好き!(´∀`=)
最後に娘を抱きしめる父の表情がまた、何とも言えずイイのよねー。

あとレーザーの描写が、科学特捜隊みたいな
手描きのビームじゃなくて、着弾点が突然発火する所が
リアルで良かったかな!


■第4話「恐怖の電話」
受話器から奇怪な音が響いた瞬間、人間が炎に包まれる!
連続焼死事件の謎を追う。

話は、戦時中に行われた金品横流し事件の仲間割れですが、
何といっても実相寺昭雄監督の執拗な演出にゾクゾクします。
幾何学的な防音室ですとか、電話交換機の神経質な音や
ビジュアルが緊迫感を高めます。

唯一の目撃者である被害者の娘を、拷問まがいのやり方で
追い詰める牧がちょっと怖い。ヒロインはウルトラマンの
フジ隊員の人ですが、影のある美女って感じが色っぽかったです。
ギリギリまで緊張感が高まった後の、
静から動への鮮やかな転換そして終幕。
うーん素晴らしい(=´∀`)

今の若い人は、ダイヤル式の電話を見てもかけ方がわからないんだろうなあ…


■第5話「死神の子守唄」
歌手・高木京子の歌う子守唄になぞらえ、
次々と娘たちが殺されていく。それは、
胎内被曝(※)による白血病で死ぬ運命にある京子を救うため、
京子の兄・吉野が行う人体実験だった。

(※お腹の中にいる時に、お母さんが広島で原子爆弾の被害にあった)

見るたび打ちのめされるんですけど、超好きな話(=´∀`)

この回で1番好きなのは、SRIの牧が、
吉野を説得しようとするシーンかな。
牧は吉野の怒りと絶望に完全に飲まれてしまって、
自分の無力さにうつむくしかないという…
もう、とんでもないドラマだなあと思いましたねえ。
京子に手を差し伸べようとする、三沢との淡いロマンスも印象深い。

少し駆け足ではあるけど、実相寺監督による
全編スキのない濃密なドラマです…!

この話は「特捜戦隊デカレンジャー」の「ハードボイルド・ライセンス」
という回でまるっとオマージュしてるので、そちらの方が入りやすい、かも。
デカブルー主役回で、男っぽい雰囲気の、いい話でしたね。
最後は「京都買います」だったしw

〜つづく〜

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