セイナルボンジン

時代を逆行する大きなお友達ブログ。宇宙戦艦ヤマトや東映特撮ほか。

夏の恐怖劇場

2008-06-11 00:31:52 | 特撮
最近入手したDVDは「恐怖劇場アンバランス」の第一巻です。

「怪奇大作戦」の後を受けて、円谷プロが一時間の大人向け怪奇ドラマとして製作した一話完結型作品なのですが、あまりのアバンギャルドさにスポンサーがつかずお蔵入り、数年後にひっそり深夜枠で放送されたという不遇の作品です。

立ち寄った古本屋でたまたま見かけ、何気なくスタッフ欄をみてびっくりしました。まず第一話の監督が巨匠・鈴木清順、キャストに大和屋竺(ルパン第一シリーズの脚本家)、第二話の主人公が世界の蜷川幸雄(俳優時代のね)、財津一郎、名古屋章などなど。さらには「世にも奇妙な物語」のタモリにあたる、案内役に青島幸男が登場。
意外な発見とばかりに、勢いで購入してしまいました。

第1話の「木乃伊(ミイラ)の恋」という話は、難解ではあるけれど、作品としての完成度は高かったと思います。内容は、江戸時代の怪異譚「春雨物語」と、それを下敷きにした現代劇の2重構造です。

「春雨物語」の時代。田舎のインテリ息子が、数百年前の即身仏(高僧が生きたまま棺桶に入って仏になったもの)を発掘し、復活させます。僧は最初のうちこそあがめられたのですが、既に知識も徳も失われ、食欲と性欲だけで動くあさましい存在となりはてていました。村人からさげすまれる僧は、精神障害の女と七日七晩交わり、子を生ませるのですが、それはこの世のものではありませんでした・・・

ところは変わって現代。江戸時代の怪異譚を現代語訳する高名な国文学者と、その助手を務める未亡人の話。国文学者は、今は病気で余命いくばくもない状態ですが、最期の力を振り絞って、密かに懸想してきた未亡人に迫ります。未亡人も一度は逃げたものの、夫を失ってからというもの自分の性欲を抑えられなくなってきていたことを自覚していました・・・

要は、時代が変わっても、あるいはどんな地位・名声・徳のある人間にも、性の渇望というか、ある意味こっけいな、情念があるのだという話。テーマがテーマだけに、描写もなかなかエロいので、家族と見たら気まずくなること請け合いです!

監督したのは、過激な作品作りすぎて映画界から干されてた、ある意味全盛時代の鈴木清順。重くてシュールな話をコメディ交えて描くのだから恐れ入ります。
「ピストルオペラ」なんかよりは、はるかにわかりやすく、楽しめたけども。

DVDでは上記の第1話と、第2話を見ましたが、「怪奇大作戦」の痛烈な社会性から一転、より怪奇色、エログロナンセンスの度合いが増しており、万人にお勧めできる内容ではありません。
画面も不気味ですし、話の結末も、「あれはどういう意味だったのか?」視聴者の判断にゆだねる突き放した終わり方で、いまいちすっきりしないし・・・続きのDVD買うことはしないと思います。多分。

この作品をみて思うことは、円谷プロ恐るべしということです。